26話
いつもと変わらない朝。
玄関のドアを開けたらいつもの場所に蓮が居て拓哉と塁と合流して学校に向かう。
学校に着くと蓮と教室に入る。
しばらくすると蓮が俺の前の席の奴のイスに座って俺の机に肘をついてダルそうにする。
隣の席の田島が昨日の事を謝ってきた。
今までだったら怒ったような冷たい視線で俺を見るはずの蓮が何もないような普通の目で俺を見る。
クラスの女が俺に話しかけてきても蓮が話に割って入る事はないし不機嫌な感じもない。
途中天谷が蓮を呼び出したけど蓮から事情を聞いてる俺は全然平気だし仏様のような澄んだ表情で蓮が戻って来るのを待っている。
昼になり拓哉と塁が教室に入って来て4人になる。
俺が昨日聞いた蓮と天谷の関係を話すと安心したような納得したような表情の拓哉と塁。
でもなんとなく不安そうな顔で俺を見る塁。
掃除時間になりゴミを収集場に持って行く。
「滝本君」
「ん?」
「今話せる?」
「まあ」
天谷に声をかけられた。
人気のない校舎裏に2人きり。
「なに」
関係ないと知っていても良い気分じゃない。
「蓮の事だけど」
「バイトが一緒なだけでしょ」
冷たい態度をとってしまう。
「今は、ね」
「……………は?」
「私は蓮の事好きだけど」
「……は?」
「今は私に興味ないかもだけどいつ私に興味もつかわかんないし、実はもう私の事好きになりかけてるかもだし、だから今は、ね」
「それはない」
「なんで?」
「蓮からお前に興味あるなんて聞いた事ない」
「そりゃそうでしょ」
「は?」
「滝本君に相談したところでって感じだし」
失礼な女、綺麗なのは見た目だけかよ。
「まあ滝本君が蓮に対してどんな感情を持ってるかは聞かない、けど蓮とあんな至近距離で何も動かないような人には負けたくないし」
「…は?」
「邪魔だけはしないでね」
「邪魔?」
「そのままボーッとしててねって話」
なんだこの女。
「じゃ、あっ蓮には秘密にしてね、蓮ってグイグイくる女苦手でしょ?戦略狂っちゃうから」
はああああ!?
勝手に喋って勝手に去って行ったクソ女。
ゴミを捨てて教室に戻る。
廊下に蓮とクソ女。
「蓮、行くぞ」
「ん?おう」
蓮の腕を掴んで無理矢理教室に入る。
あんなクソ女の戦略から蓮を守らなきゃ。
「俺のだし」
「えっなに?出汁?」
「そうそう」
「は?何の話?味噌汁?」
「そうそう」
「は?」
混乱している蓮を横目に決意を固めた。
「蓮!」
「ん?」
「覚悟しとけよ」
「へ?俺なんかした?」
ビックリした表情の蓮。
嫌われるとかもうどうでもいい。
絶対にクソ女には渡さない。




