魂の契約
第三章、第17話『魂の契約』です!
誰にも選ばれず、“呪われた弓”と呼ばれてきた一本の大きな弓を選んだヨル。
その弓へ手を伸ばしたヨルを待っていたのは、思いもよらない出会いでした!
ぜひ最後までお楽しみください!
武器庫は静まり返り、ヨルは膝をつきながら、朽ちた弓を見つめたまま動けずにいた。
「今、この弓が……喋ったのか?」
ガルドも異変に気付き、ヨルへ視線を向ける。
再び、ヨルの頭の中へ男の声が響く。
【これで契約完了っと!全く、100年以上待たされた気がするぜ】
突然の言葉にヨルは目を見開く。
「は?何言ってんだ?」
【やっと成功したか...待たせやがって、鳥野郎】
ヨルは咄嗟に武器庫を見渡す。
が、やはり誰もいなく、聞こえる声は、間違いなく目の前の弓からだった。
ヨルは恐る恐る尋ねる。
「お前は一体誰なんだ?」
男は笑いながら答える。
【俺はライデル、今日からお前の相棒になる男だ】
次から次へと起こる出来事に、ヨルは混乱する。
「相棒?」
ライデルは軽く笑いながら説明を始める。
【さっきお前が俺を握った瞬間、お前と俺の魂は契約した】
【今のお前は俺の契約者だ!契約は簡単には切れねぇぞ!】
「契約!?」
【魂と魂を繋ぐ契約だ、だからお前だけは俺の声が聞こえてる】
ヨルがガルドを確認すると、確かにガルドは不思議そうな目で見ている。
【そして又俺は、お前の考えてることが少しだけ分かる】
ガルドは少し不審そうにヨルに質問する。
「おいヨル、さっきから誰と話している」
ヨルはゆっくりと弓を持ち上げガルドの方に向ける。
「この弓だ」
ガルドは驚きながらも、どこか先程までのヨルの不思議な行動に、納得したような表情を見せる。
二人の会話を聞いたライデルは続ける。
【安心しろ、この声は契約者しか聞こえねぇし、俺達は口で話してるんじゃない、魂同士で会話してるんだ】
ヨルはライデルとの会話で一つ気になることを口にする。
「じゃあこの弓を握ってないと話せないのか?」
ライデルは少し笑いながら返す。
【勿論、普通ならそうだ、その武器の声を聞けるのは、武器を握ってる間だけ話せる】
【ただ俺達はもう契約した】
ヨルは頷く。
【離れてても関係ねぇ、俺はいつでもお前に話しかけられる】
「初めて聞いたよ、そんな契約があるなんてな」
驚いたヨルの言葉に、ライデルは少しだけ黙った後、珍しく真面目な声で返す。
【その代わりこの契約には代償もある】
ヨルは眉をひそめる。
「代償?」
【あぁそうだ、俺達は魂でこの弓の中に存在しているんだ、だから魂が減れば減るほど、この弓と共に朽ちていく】
「なら、いずれ魂がなくなれば...」
ヨルが食い気味に質問する。
【俺の声も届きにくくなるし、最後には……何も話せなくなり、弓と共に死ぬだろうな】
ヨルは思わず弓を見ると、確かにそこには、ボロボロに朽ちた姿の弓があり、それがただ古いからではないと知った。
ヨルは少し怒ったように言う。
「だったら余計喋るなよ!」
そんな言葉にライデルは笑う。
【バカか!黙って消えるくらいなら最後まで喋らせてもらうさ、俺はそういう男なんだよ!】
少しだけ空気が和らぐと、ヨルは改めて尋ねる。
「お前は何者なんだ?」
【そんなに沢山はまだ話せねぇ、今のお前じゃ全部聞いても理解できないだろうしな】
少し鼻で笑うかのように馬鹿にしながら返す。
【まずは強くなれよ】
【お前の魂が俺達と共鳴すれば、俺もこの弓も少しずつ力を取り戻すし、そうなりゃ話せることも増えてくるさ】
ヨルはため息をつく。
「よく分からんが、勝手な奴だなお前」
ライデルは豪快に笑う。
【安心しろ、今日から毎日、お前は俺と居るし、契約した以上、お前はもう逃げられねぇんだからよ!】
ヨルは苦笑する。
「なんだよそれ。」
【とりあえず修行だよ、鳥野郎!俺を使いこなしたきゃ、お前自身がもっと強くなれよ】
ヨルはゆっくり立ち上がると、ガルドはそんな姿を静かに見つめ、小さく笑う。
「やはりヨル、お前が選ばれたんだな」
ライデルが最後に一言。
【これだけ聞いてもいいか?】
「ん?改まって今度は何だ」
ヨルが少し警戒しながら返すと
【お前の名前は何だ?】
その言葉を聞いたヨルは、朽ちた弓を握り直す。
「なるほどな、俺の名前はヨル、黒の戦士ヨルだ、よろしくな!ライデル」
【あぁ、よろしく頼むぜ】
ヨルは少しニヤリと微笑む。
【ところでな、ヨル】
また呼びかけられる。
【早速なんだが久々のお目覚めでよ、見ての通り腹が減った、もうちょっと吸わせてくれ】
「見てわかるかよ!これ以上吸われたら今度こそ倒れるわ!」
何て二人は笑い合う。
こうして、ヨルと少し変わったライデルの新たな終生武装は始まる。
今回も読んでいただきありがとうございます!
ヨルが手にしたその武器はライデルと名乗る男がついていて、尚且つ契約まで結んだとなると、今後のヨルがライデルと弓を経てどうなっていくのか是非続きを読んでくださると嬉しいです!!
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