表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
出来損ないと呼ばれた巫女は、守り神となった妖に溺愛される。  作者: 文字書きA


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

97/100

第九七話:帰宅

「……良かったですね。これで出世できますよ」


「それだけは、なんとしてでも断りたいのですが」


焼津(やいづ)が戸惑いながら発した言葉に、佐藤は苦々しげな表情で返す。土御門(つちみかど)が笑顔で告げた。


「ああ、そこは気にしなくてもいい。琴葉(ことは)ちゃんの例を見ても分かるとおり、神々は欲がないことを重んじているからね。君の昇進については、言いだす人間はいるだろうけど、僕が阻止するつもりだよ。任せてくれ」


「……それは、どうも」


自分の近くに来た、狐と蛇を見つめながら。彼は眉間にシワを寄せる。2匹は彼には構わずに、机の(はし)から飛び降りた。


「……話が一段落(ひとだんらく)したところで、僕たちは帰ってもいいでしょうか」


玲哉(れいや)が苦笑を浮かべながら口を開く。土御門はにこやかな表情のまま、(うなず)いた。


「そうですね。長々と拘束(こうそく)してしまい、申し訳ありませんでした」


「いえいえ、そんな。色々とお話を聞かせていただけて、嬉しかったです」


琴葉が微笑み、少年と共に席を立つ。机の上にいた暁明(ぎょうめい)が、定位置に戻った。それを見て、佐藤もすかさず立ち上がる。焼津が上司に(なら)って、椅子から離れた。


「お家まで、お送りします」


「ありがとうございます。よろしくお願いしますね」


玲哉が答えて、4人は揃って部屋を出る。床の上にいる2匹が、彼らを追って扉を(くぐ)った。土御門はその場から動かず、黙って部下たちを見送る。車のある方に向かって廊下を歩きながら、佐藤は足元に目を落とした。金と銀の小さな生物が、彼の後からついてくる。


「……ところで、ですね。私は政府に割り当てられた宿舎(しゅくしゃ)で生活しているのですが、そこには神棚(かみだな)が無く……」


()らないよ。神であることを理解して接するのなら、それだけでいい」


床を歩く狐が、淡々とした声で返す。琴葉は優しい笑みを浮かべた。


「大丈夫ですよ、佐藤さん。暁明(ぎょうめい)様も宵闇(よいやみ)様も、優しい神様方ですから」


「…………そうですね」


彼女と彼では、状況が違う。役人はそれが分かっていたが、口にはせずに飲み込んだ。玲哉が見かねて、口を挟む。


「ねえ、琴葉さん。家に帰る前に、どこか寄りたいところはありますか?」


「いえ、大丈夫です。ありがとうございます」


琴葉は微笑み、車の後部座席に座る。隣に並んだ玲哉と顔を見合わせて、彼女は続けた。


「神様方と玲哉さんが一緒にいてくださるだけで、私は満たされていますから」


「……そうですか」


少年が嬉しそうにする。前の席でシートベルトを()めた佐藤たちは、2人が発する甘い空気に、多少居心地が悪くなりつつも我慢していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ