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捜査会議だなんて刑事ドラマ程度のイメージしか頭にないので、変だと思われてもサラッとスルーしてください!!
女子学生らの証言で得た情報をもとに裏付け調査が行われた。
その結果は、すぐさま捜査会議で共有された。
「宮部です。保坂なる人物の素性が判明しましたので報告いたします」
「宮部班野村です。保坂智洋20歳。被害者木下莉緒ちゃんを救出した大久保大和氏と同じ大学に通う二部学生で、篠宮玲子とは腹違いの兄妹の関係です」
野村の報告に捜査員たちはざわめいた。
篠宮議員の動静は未だ不明であるが、週刊誌等で既に2人の愛人(浅草・赤坂)がいると報じられている。そこへ、おそらく一番古い関係であろう愛人との間に隠し子がいたことに、捜査員たちは驚きをかくせなかった。
「報告を続けます。
保坂は大学に程近いカフェでアルバイトをしていましたが、事件当日から欠勤が続いています。同様に、大学の講義も事件当日から欠席が続いているそうです。
入学以来まじめに講義を受け成績優秀な学生で教授陣からの覚えもめでたいと評判だったそうで、大学側は本人の安否を心配していたそうです。
保坂と篠宮家との関係についてですが、アルバイト先に提出されていた履歴書の緊急連絡先である実家を訪問し母親と面談しました。母親は保坂が篠宮議員との間にできた子であることを認めましたが、既に議員との関係は切れており、スキャンダル報道の後も議員からの接触はないそうです。また、議員との関係を話したことがないにもかかわらず、異母妹と行動を共にしていたことに大変驚いていました。現在、家族・アルバイト先・大学関係者および篠原家周辺から考えられる立ち寄り先を重点的に追っています。
また、篠宮玲子についてですが、根底には男子高生への恋慕の情があったとしても、同じ相手に、しかも小学4年生の女児に二度も危害を加えていることから執念深さが伺えます。その矛先が、被害者やその家族、または男子高生に向けられる可能性は十分あります。よって、内藤家では総帥の内藤社長の指示で民間のボディーガードをつけていますが、万一の事態に備え、内藤家と連絡を密にし、緊急時の連携について打合せを進めているところであります。
宮部班からは以上です」
野村の報告が終わると、篠宮追跡班が挙手をした。
「篠宮班、迫田です。本日早朝、篠宮夫人と接触することができました」
捜査員たちから、どよめきの声があがった。
「午前6時頃、篠宮家周辺で張り込んでいた捜査員の目の前で、中年女性が高級車から放り出されました。
茫然自失となっている女性に職務質問をしたところ篠宮夫人であることが判明したので、現在進行形で事情聴取に応じてもらっています。
現時点で供述が取れているのは、次の通りです。
篠宮議員には報道された浅草・赤坂以外に2人の愛人が存在し、1人は玲子誕生の3年前に男児をもうけ、もう1人は元同級生で議員との間に子はいない。議員の動向をすべて把握しているのは秘書の松永なので、詳細は松永に聞いてほしい。
スキャンダル報道のあと、家族は離散状態で連絡をとっていない。玲子については、品川のマンションに避難させた後定期的に通いの女中が世話をしているので、何か異変があれば連絡が入ることになっている。マンションは、議員が節税対策で購入した玲子名義のコンシェルジュ付き新築マンションと聞いているが、一度も足を踏み入れたことがないため具体的な場所やマンション名がわからない。女中の小柳に聞けばわかると思う。
以上の情報を踏まえ、現在物件の特定を急いでおります。
裏付けが取れ次第、マンションに立ち入り篠宮玲子の身柄を確保します」
その後、次々と新情報が報告され、管理官は捜査員たちに指示を出しす。
「車両捜索班は、犯行車両の追跡エリアを絞り込め。
篠宮班は、夫人の協力を得て女中の小柳と接触し、急ぎ玲子名義の物件特定と突入の準備を怠るな。
議員班は、議員秘書の松永と接触し居場所を特定してこい。
宮部班は、篠宮と保坂が接点もった経緯を調べるとともに、そこから考えられる潜伏先の候補をリストアップ。それと、携帯会社に通話記録の開示請求を忘れるな。
野村については、引き続き被害者家族および内藤家と連絡を密にし、万一の事態にも対応できるよう綿密に打ち合わせをしてこい。
では、引き続きよろしくお願いします。解散!」
捜査員たちは、管理官の号令で各々割り振られた捜査のために散っていった。
彼らの心のうちは、今日の捜査会議で報告された新事実に進展を感じ「もうすぐ犯人の身柄を確保できる!」と希望を抱いていた。
しかし、犯行車両のエリアも特定できず、元同級生という愛人と議員の所在も松永秘書ですら探している状況に加え、玲子名義のマンションを特定し突入したものの本人の姿はそこになかった。
捜査員たちの懸命な努力もむなしく、手掛かりが途絶えてしまった。
莉緒の事情聴取から8日後、莉緒と奏子は克之に見送られ名古屋の病院に転院していった。
そして同じ頃、状況がわからないまま莉緒と2週間も連絡が取れずにいた隼人のイライラはピークに達していた。
ごめんなさい、これが私の限界だったようです。
読んでいただき、ありがとうございました。




