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00060JD

 崎本といえば、俺のことを影でボロクソに言ってきたやつだ。

 わざと聞こえるように言ってくるのだから、

 影で、というよりは表から、なのだが、嫌なやつであることに変わりない。


 しかし、あの崎本が影世ではお城のお姫さまだって?


「ジョーカー、

 影世は現世の本質を表すんだよな。

 なら、崎本が影世で、お城のお姫さまになってるってことは」


「もちろん、

 崎本自身にそういう強烈な願望があるから、ということなのだろうな」

 と、ジョーカーが俺の言葉を引き取って言う。


 強烈な、お姫さま願望。

 崎本って、見かけによらず乙女だったのか。

 にわかには信じがたい。


 だが、お姫さまキャラと言われれば、

 確かにそう思えるようなふしはあった。

 正統派のお姫さまというより、

 悪役の令嬢さま、とでも言った方がお似合いなのだが。


「約束通り、

 デュースはしばらく純一に貸そう」

 と、ジョーカーがおもむろに言う。

「デュースも俺といるより、

 純一といる方が嬉しいだろうしな……」


 その言葉を聞くと、

 デュースは悲しげにジョーカーに擦り寄った。

 顔をつけて、ぐりぐりとジョーカーの胸を押す。


「デュースもメスだからな。

 丁重に扱ってやってくれ」


「あ、ああ。わかった」


 どう見たって、ジョーカーの方に懐いているように思えるのだが……。

 デュースは、本当に俺といて、嬉しいのだろうか。


「これから純一を、川辺が居るところまで連れて行くが、

 そのあと、純一が何もかも自分でやってみたい、

 と言うのなら、俺は何も口出ししないように、してやるよ。

 来月、川辺を殺すまでの間は、俺も一人で自分の殺しシゴトをすることにする。

 ただ、一つだけ条件をつけておこうか」


「条件?」

 と聞くと、

 ジョーカーは「歩きながら話そう」と言って、

 城のある森の中に、歩き出す。


 俺も後を追って一緒に歩いた。

 デュースは森の入口に残している。



 森の中を歩き、倒木に足をかけたりしながら、

「三人だな」

 とジョーカーが切り出した。

「来月、川辺を殺すときまでに、

 川辺を含めて、三人、堕とすことが出来れば、立派なものだと、俺は思う。

 やり方は問わない。

 誰を堕とすかも任せよう。

 三人、純一の奴隷にしてみせてごらん」


「三人?

 三人だけでいいのか?」


「ああ。

 能力を習いたてで、

 三人も堕とせれば十分だ。十分凄い。

 それに俺は、人数よりも、

 あと二人、誰を堕とすのかと、

 どうやって堕とすのかを見させてもらうつもりだしな」


 誰を堕とすのかと、

 どうやって堕とすのか、……か。


「ちなみに」

 とジョーカーは言う。

「もし出来なければ、

 キツいお仕置きが待ってるから、

 そのつもりでな」


 俺は、思わず立ち止まって、

 前を歩くジョーカーの背中を見た。


 今のは、冗談だよな。

 ジョーカーの言うキツいお仕置きって、

 それが冗談で言ってるのだとしても、怖すぎて笑えない。

 三人なら、なんとかなりそうだが、

 もし失敗したら、いったい何をされると言うんだよ。

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