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それから森の中を歩きながら、
誰を堕とそう、どうやって堕とそう、と俺は考えていた。
一人は川辺で、もう一人はやはり、崎本か……?
影世のプリンセスを堕とすのも、なかなか悪くない、小気味がいいじゃないか。
残りの一人は取り巻きの有吉? いや、ここは男よりも、女の子にすべきだろう。
男連中は、大月が死んで川辺まで、となると、もう俺に手を出してこないだろうし、
いじめの中心は大月と川辺だけでやってたから。それなら急いで男を堕とす理由もない。
川辺は肉体的に暴力を加えて服従させるとして、
その実験も、川辺が一人いれば十分。
クラスで一番タフそうなのも川辺だから、
川辺を堕とすことができれば、他のやつらも調教できるようになってるはずだ。
体の部位ごとに違う傷をつけて、現世にどういう影響が残るかも調べようか。
女の子には、他の方法を取りたいところだ。
ジョーカーは、誰を選ぶのかと、堕とし方を見ると言っていたが、
これは俺を試しているとも取れる。
堕とし方は、暴力だけじゃないってことだ。
影世で堕とせば、元居た現世でも堕ちることになる。
俺の言いなりになる。
それなら男よりも、やはり女の子、そんなの、当然だ。
せっかくなら、可愛い子。可愛い子だ。
津秋はやんちゃって感じだったし、
崎本は少し背の低い生意気女子。
普通にしてれば、崎本も顔は悪くないんだ。
可愛い方だと思うし、言ったら怒りそうだけど、中学生みたいに見える、童顔だ。
もしこの二人から傾向を外すとしたら、三人目は清楚で大人しめの子とかか?
そんなやつ、うちのクラスにいたかな……。
そういえば、俺はどうやって影世で探せば良いんだろう。
今まで大月も、津秋も、川辺も、
ジョーカーとデュースがその場所まで案内してくれた。
けど、この次はデュースとだけになる。
こんな広大な世界、あてもなく探せる気はしないし、
言ったらデュースが案内してくれるんだろうか?
「なあ、ジョーカー」と言いかけたとき、
道が開けているのが見えた。
小川が流れている。
この川は澄んでいて綺麗だ。
「どうした?」
と、ジョーカーがこたえた。
「あ、いや、ちょっと気になることがあってさ」
川の上流の方に、水のたまった池のようなものが見えた。
目的地はもうすぐか?
ジョーカーは木を背に立っていた。
「あのさ、ジョーカーたちって、何でここに川辺が居ると、わかったんだ?
影世は広いし、ここも、すごく遠かった。
けどジョーカーもデュースも、迷わず一直線にここを目指してたみたいだから。
何か秘密でもあるのか?」
「あ、ああ。そのことか」
手で招かれ近づくと、
「それは、これを使っていたからだ」
と、ジョーカーは左手で右手を握り、グッと、腕から指の方に向けて左手を引き抜いた。
引き抜いた左手には、半透明の手袋? さっきまで右手につけていたのだろうか。
動物。いや、クマの右手のようだった。
「この手袋に、ターゲットの居場所を記憶させていた」
ほら、と、俺にその手袋を、手渡した。
「それで誰かと手を握り、握手すると、そいつがターゲットの位置を記憶してくれる。
5人まで記憶して、その後は古い方から消える。
今は、純一、津秋、大月は死んだから飛んで、
川辺の順で、三人が記憶されているな」
こんな便利なものがあるのか、と思って、手袋を眺める。
クマの手をかたどってあるが、装着すると見えなくなるらしい。
「まるで魔法の手袋だな……」
試しに手に、はめてみたが、
一度はめると、確かに、はめた感触も消えた。
何も手にはめている感じがしないし、
見た目もただの肌と変わりなくなった。
「記憶させた後の使い方は?」
「手を握って、記憶の順番を念じるだけでいい。
それで方角と距離がわかる。
デュースに教えるときは、その手を体に押してやればわかってくれる」
なるほど。
一番目、と思って手を握り念じてみると、
自分自身に針が向くのが伝わる。
二番目、と念じると、かなり遠く。
三番目のターゲットは、すぐそこだった。
「それは純一にあげよう。他に質問はあるか?」




