00042RS「霊安室の夢」
夢を、……見ていた気がする。
狭い室内に男が二人。縦長の台を挟んで立っていた。
台の長さはちょうど人間の長さくらいで、
まさにその上に人のようなものが横たわっている。
部屋全体が暗くてよく見えない。
それでもその声から、一人が若い男で、もう一人が、年のいった男だということはわかった。
若い男は言う。
「自殺、なんですね。……これでも」
「まぁ、そうだろうな」
もう一人の声がすぐに応じる。
マッチをする音。タバコに火をつけているようだった。
「佐野さんは、どう思いますか?」
「俺か? ……そうだな」
この男の名前は、佐野というらしい。
言葉に間があいた。佐野は続ける。
「これを見てみろ」
「これは……」
若い男の声は驚いている様子だった。
「黒く滲んでいる。しかし、――銃弾痕?」
「そうだな。
これと同じものが、足と、そしてここ。
髪に隠れているがこの頭部。合計で三箇所見つかった」
「三発。……撃ってますね。ということは、まさか」
「ああ。例の化け物だろうな。まだいる。しかも近くにな」
若い男は聞く。
「人間なのでしょうか?」
「さあな。だが再活発化したと見て間違いない」
佐野は一呼吸おいて続けて言う。
「事件は自殺として公表。
ただし、単なる自殺としてだ。それ以外は全て内密に。
この事件は全て俺が担当する」
「いいんですか?
事件が起きたのは我々の管轄外ですが」
「俺をなめるなよ。
この警察で俺に逆らえるやつなんて一人もいない。
ここではこの俺が法だ」
佐野の言葉に若い男が笑った。
「それに気になることがある。
恐らくだが、今回のは今までのと少し違う。
何か狙いが……。いや、別種、別個体の可能性すらある」
#PFP




