00033PITBJDK「計画(一)」
家に帰ると、妹に出迎えられる。
俺の帰りを待っていたのか。
「お兄ちゃん、お帰り!」
と、声が明るかった。
「ただいま。……どうかしたの?」
妹は見るからに嬉しそうな様子だった。
いっそう嬉しそうに、満面の笑みを作って
「うふふ。ナイショ!」
と、言ってくる。
「えっ、教えてよ」
「えーっ、どうしよっかなぁ?」
「お兄ちゃんにだけ。こっそり」
すると、妹はもじもじしながら体をひねる。
「見てて……気づかない?」
「何が?」と言いかけて、気がついた。
妹の服が今まで見たことないのになっていた。
とっても可愛い。
新しい服を着て舞い上がってるんだ。
「買ってもらったの?」
「うん! お母さんが買ってくれたの」
あんまり嬉しそうな顔をして言うものだから、
俺まで嬉しくなった。
「そりゃ良かったな。似合ってるよ、とっても可愛い」
「本当?」
「本当」
妹はさらに嬉しそうな顔をして、
「ありがとう!」
そのまま走り去っていった。
きっと母さんのとこに行ったんだろう。
こんなに喜んでもらえたら、母さんも嬉しいに違いない。
自分の部屋に入って、ベッドに横になる。
今日は本当に良いことしか起きない。
大月はいなかったし、
いじめもほとんどなかった。
津秋ともよく目があった。
……そういえば昨日のあれって、一体どういう意味だったんだろう。
俺のこと、気にかけてくれてるのかな?
と思って、ムフフとなる。
自分の絵を描いてほしいって言ってたな。
練習しとかなきゃ。
琥太朗とも、もっと仲良くなれた。
これも嬉しい。こんなに仲良くなった友達なんて、他にいないから。
絵を描くのも同じだし、たまに本を読むのも似てる。
FPSも上手いし、気前もいい。
一緒に勉強してたら、何故だか凄く捗るし。
俺の来月の模試も、成績はかなり上がってるかもしれない。
日曜が楽しみだ。
何をして遊ぼうか。
そうだ。
日曜は大月を殺さないといけないんだった。
少しシミュレーションしておこう。
まずは朝早く学生服に着替える。
それから月曜の準備をして電車に乗る。
学校に着いたら飛び降りて影世に。
狼のデュースを撫でてジョーカーに会って。
ジョーカーには俺を津秋の姿にしてもらう。
服は妹のをイメージして作ったやつを着る。
一番よく出来たライフルと、ナイフを手に持ち、影世の大月のもとへ。
大月に会ったら演技して、一対一になるよう仕向ける。
後は成り行きだけど、
あいつが一番嫌がることをしてやろう。
たっぷり傷めつけて、その後に殺すんだ。
今までの、倍返し。
明日は土曜。
ジョーカーと最後の打ち合わせをする。
日曜、俺は影世で大月を殺す。
今までの復讐……。
俺は大月を殺すんだ。




