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『百合オタクの私は、女主人公と悪役令嬢のカップリングにLOVE注入いたします』 ~二人をくっつけようとしたのになぜか二人に狙われている私~  作者: サッサン
第1章:プロローグ

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第1章 第3話:主人公との出会い

本日3回目の投稿です。

そして迎えた、王立学園の入試日当日。

リリーを溺愛する両親や家族、さらに彼女を慕う多くの使用人たちに見送られながら、子爵家の馬車に乗って王立学園に向かっていた。馬車で約1時間の距離である。

15歳になったリリーは身長も伸び、ひとたび、彼女が奇麗な淡い青色のボブカットの髪をたなびかせて街中を歩けば、男女問わず皆の瞳を奪ってしまっていた。

しかし、本人はそのことに全く気が付いていない。


(今日はリリーがセシリアと出会って親しくなるイベントのある日。たしか試験会場に向かう途中で事件に巻き込まれたセシリアを助けるのよね)


ゲームでは盗賊がセシリアの乗る乗り合い馬車を襲い、金品などを奪おうとする。それを勇者であるセシリアがバッタバッタと切り倒していくのだ。ただ途中で人質を取られてしまいピンチになったところを、たまたま通りがかったリリーが機転を利かせて、人質を取っている男の意識をそらさせる。その隙をついてセシリアが人質を助け出し、最終的に一人で盗賊を壊滅させてしまうといったイベントであった。このイベントを通して二人は知り合い、リリーの馬車で一緒に学園へと向かうのである。


王都まであと約5キロほどのところまで来た時、前方で何やら複数の人間が争っているのが見えた。

リリーの護衛として付いてきたストリングス家の騎士の一人が馬車の外から声をかけた。


「前方の方で何やら盗賊に襲われている馬車がいるようです。近づくのは危険ですので少しの間様子を見ましょう」


その言葉にリリーは遺憾の意を示した。


「なにを言っているのですか!あの者たちはおそらく我が国の民。であるなら貴族の令嬢である私が助けないわけにはまいりません」


「しかし、危険です!ご自重下さい」


「なりません。ちょうどいいですわ。あなたが私をその馬に乗せてあの場所へ向かいなさい。何があったとしてもあなたに一切の責任を負わせないことを誓いましょう」


そういうと、今言ったことを紙に書き留め専属メイド兼護衛のクロエに渡した。

ちなみにクロエはリリーよりも小柄な少女であった。クロエは吸い込まれるような黒髪をショートカットにし、クリっとした大きな瞳が特徴の童顔で可愛らしいメイド服がよく似合う美少女である。

元々は奴隷だった彼女だが、相棒だった男に騙されて奴隷に落とされる前はA級冒険者として活躍していた実力者である。

そのクロエを、リリーが奴隷商で見つけて買い取ったのが今から約2年前のことであった。

それ以降は奴隷の身分から解放し、専属のメイドとして雇っていた。

ちなみにクロエは一切ゲームに中には出てきていない。


「何かあった時にはこれを父上に」


「かしこまりました、お嬢様。もしあれなら私が行って蹴散らしてきましょうか?」


「いいわ。私が行ってくるからあなたはここで待っていなさい」


「わかりました。お嬢様がいないと私が寂しいので、お早いお帰りをお待ちしています」


クロエは心の底からリリーに感謝し、すでに崇拝すらしていた。

そんな彼女の密かな趣味は、リリーの脱いだ後の衣類や使用後の枕の匂いを嗅いで堪能することなのだが、……当然ながらその異常な愛情表現について、当のリリーは知る由もなかった。


「すぐに済むわよ」


そう言うとリリーは馬車の扉を開けて馬に乗っている騎士の後ろに飛び乗った。

ここまでされては仕方がないと諦めた騎士は、リリーを乗せて争いの起きている現場へと向かった。

盗賊たちのいるところまで約100mほど手前で馬を止め、そこから先はリリー一人で向かうことにした。


「あなたはここで待機しなさい。そして私になにかあった際にはすぐ馬車に戻り、そのことをクロエに伝え、その後の指示はクロエに従いなさい」


「しかし、それはあまりに危険では……」


リリーを止めようとした騎士に対し、リリーはアイテムボックスから剣を取り出すのと同時に高速で移動し騎士の背後からその首に剣を押し当てた。


「これでもあなたは私が信用できないと?」


一瞬死を直に感じた騎士は言葉を失った。


「それでは行ってきますね」


リリーは高額で購入した認識阻害の腕輪を装備し、盗賊たちのもとへ一気に近づき状況の確認を行った。

ちなみにこの認識阻害の腕輪はゲーム内でも出てきたアイテムで、効果としてはエンカウントした敵に気づかれることなく先制攻撃できるというもので、実際にセシリアを助けたシーンでもリリーが使用していたアイテムである。

リリーの視線の先には15歳ぐらいの娘を人質にとった盗賊の親分と思われる大柄な男と、燃えるような赤い髪をポニーテールでまとめ、髪と同じ赤い瞳をした美少女が対峙していた。


(さすがは主人公ね。顔も小っちゃくて、目鼻立ちがキュッと整っててめちゃくちゃ可愛いじゃない! 私の好みど真ん中だわ!)


盗賊の親分と思われる男がセシリアに要求を突き付けた。


「おい、女。この娘の命が惜しかったら剣を捨てるんだ!さもなくば……」


そう言うと男は持っていた剣を娘の首元にあてた。

「ヒィッ」という声を上げて青い顔をして震える娘。

その光景を見て悔しそうに顔をゆがませるセシリアであった。


(さすがは私の推しの美少女ね。悔しがる顔も様になってるわ。確かゲームではこっそり近づいて盗賊の親分の視線をセシリアから外させたのよね。でもそれだと完璧に安全とはいいがたいし、あれなら一気にあの男を制圧した方が確実ね。相手は盗賊だし、ドラゴンより強いってことはないでしょう……)


リリーは作戦を決めると一気に盗賊の親分の前に踊り出た。

そして盗賊の親分がリリーの接近に気が付いた時には、リリーの右の拳が彼の顔面を捕らえるところであった。

ガコッという鈍い音を残して10メートルほど吹き飛んでいく盗賊。

白目をむき、すでに意識を失っていた。

リリーは倒れそうになる娘を優雅な動きで支え、「あなた、大丈夫だった?」と女神のような笑顔で安心させるように問いかけたのであった。

問いかけられた娘は頬を真っ赤に染め、頭の上から湯気を出しながら「は、はい」と答え、その後もリリーをぼーっと呆けたような表情で見つめていた。

一方、親分を素手で倒された盗賊たちは浮足立っており、セシリアが次々に討伐していくのであった。

あらかた決着がついたところで馬車を呼び、護衛の騎士たちに生きている盗賊を縛り上げさせた。

そこでリリーがセシリアに近づき挨拶を交わす。


「初めまして。私はリリーよ。あなたのお名前をうかがっても?」


リリーの美しさと、その優雅な動きに見とれてしまうセシリア。


「え、あ、……ウォホン。私はセシリアよ。リリーさんはとても強いのね。あの盗賊の親分『俺は今まで騎士や冒険者を30人以上倒してきた』って自慢していたけど、その相手を素手でのしちゃうなんて驚いたわ」


「リリーでいいわ。それよりあなたの方が凄いじゃない。あれだけいた盗賊を全部ひとりで片付けちゃうんだから。さすがは勇者様ってところかしらね」


その言葉に顔を緊張させるセシリア。


「なぜ私が勇者であることを?」


そんなセシリアに優雅に微笑み返しながらリリーが答えた。


「私の家は貴族になる前から代々商人をやっていてね、その関係でいろいろ情報が入ってくるのよ。今年勇者の称号を持つセシリアという名前の女性が学園を受験することになっているのも把握済みよ」


その言葉に納得し、緊張を解くセシリアだった。

その後、騎士たちに盗賊を王都の衛兵たちの詰め所まで連れて行くことを命令し、自分はセシリアと共に馬車で先行することを伝える。


「しかし、それでは護衛がいなくなってしまいます」


「それなら大丈夫よ。どんな護衛よりも頼りになる勇者様がご一緒して下さるのだから」


こうしてリリーはセシリアと共に王都へと向かうのであった。

ここでリリーが砕けた口調でセシリアに話しかけた。


「ああー、疲れた。馬車での移動っていうのも面倒なものね。ところで、よかったらこれから私のお友達になっていただけないかしら?」


そんなリリーをクロエがたしなめる。


「お嬢様、言葉遣いがはしたないですよ」


「いいじゃない。ここにはセシリアとクロエしかいないんだから。クロエは本当の私を知るただ一人の人物なんだし。だからお願い」


リリーに潤んだ瞳でそう言われ、頬を赤く染めるクロエ。


「仕方ないので今だけ許してあげます」


「ありがと、クロエ」


そんなやり取りを見ていたセシリア。


「二人とも仲が良いんだね。でも、私は単なる平民よ。それでもいいの?」


「そんなつまらないこと気にしないわ。クロエなんてもとは奴隷だしね。それにあなたは学園を卒業したら男爵になるんでしょ」


そう言ってリリーは微笑み返した。


「わかったわ。私でよければこれからよろしく、リリー。それにしてもリリーはなんでそんなに強いんだい?」


「ああ、それはお父様が良い講師をつけてくれたのと、これは内緒なんだけど私こっそり冒険者もしてるのよ」


「単なるお嬢様ではないと思っていたけど、冒険者までやっているとはね。リリーはかなりのお転婆なのね」


セシリアはリリーに驚いた顔を向けたのち、楽しそうに笑っていた。


「でもまずは今日試験に合格しないといけないわね。お互い頑張りましょ」


「ああ、私も勇者としてリリーに負けないように頑張るわ」


馬車が試験会場の入り口に到着すると、二人は馬車を降り徒歩で試験会場に向かっていった。

受験の受付を済ませた二人はそれぞれ違う建物での受験となった。


「それじゃあ、ここで一旦お別れだね」


「ええそうね。次に会えるのは入学式かしらね。お互い頑張りましょ」


そう言うと二人は別れ、それぞれの教室へと向かっていくのであった。

その光景を馬車から見ている一人の人物がいた。

その馬車の紋章はファンデンブルグ公爵家の紋章であった。

馬車の中の人物はリリーをじっと見つめていたのだった。


第1章第3話をお読みいただきありがとうございます。


第3話でとうとうリリーの推しの一人である、ゲームの主人公『セシリア』と出会うことが出来たリリー。

今後の展開がどうなっていくのか、このあとに投稿するお話もお見逃しなく!


お読みいただき少しでも『面白い』『先が気になる』と思ってくださった方は、ぜひブックマークと評価☆にて応援して下さると嬉しいです。

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