第1章 第2話:今後の計画と過酷な修行の果てに
本日2度目の投稿です
時間と共に過去のリリーとして過ごしてきた約10年間の記憶が頭の中に思い出されてきた。
「今の私は10歳。ということはゲーム開始まであと約5年ということね」
リリーはこれから5年間を効率的に生き、二人との距離を縮めるための手段を考えていた。
「ステータスオープン」
リリーはそう唱えながら虚空を見ていたが、一切なにも現れなかった。
「何度試してもやっぱりダメね。この世界では自分のステータスを見ることはできないようね」
ここでリリーは設定資料集に書かれていたリリーの情報を必死に思い出していた。
「リリーは戦闘に一切参加しなかったのになぜか設定資料集には、リリーの初期値が乗っていたのよね。そして何よりリリーの顔って正直めっちゃ私の好みだったから、何度も読んで内容をしっかりお覚えたのが今役立ちそうね」
リリーは設定資料に書かれていた初期ステータスを紙に書き出してみた
名前:リリー プル ストリングス
初期値ステータス
レベル:3
攻撃力:30
防御力:30
知能:40
魔力:30
HP:30
MP:30
幸運値:50
美貌値:35
魔法属性:全属性
ユニークスキル:アイテム販売、無限収納
「こんな感じだったかしらね。確かセシリアの初期ステータスが30~70ぐらいだったからそれに比べるとだいぶ低いわね。あと魔法の全属性持ちは凄いと思うけど、このステータスの低さを見ると器用貧乏って感じかしらね。まあ、一般成人のステータスが10~20ぐらいだったはずだからそれよりは良さそうだけど……」
書き出したステータスを見てこれからのことを考えるリリー。
「まずはこれからやるべきことを書き出してみようかしら」
そう言ってリリーは紙とペンを手に取った。
「私の一番の目的は二人のそばにいて、二人のイチャイチャを特等席で見ること。ということは、まず二人の魔王討伐の旅について行けるだけの強さが必要ね。初期値が二人よりも低いってことは、レベルアップ時の成長率も悪いんだろうから相当頑張らないといけないわね……」
そうつぶやきながら紙に『剣術と魔法の修行』と書き込んでいくリリー。
ちなみに元のリリーの知識によると、この世界では、現実世界と同じく訓練を行うことでも経験値を得ることが出来た。
「次に必要なのは二人の仲を取り持つためにも、私が公爵令嬢であるアイリス様と親しくなる必要があるわね。そのためにはアイリス様の好きなものである美しさと優雅な立ち居振る舞いを手に入れなくては。あとは落ちこぼれだと思われて嫌われないように勉強も頑張らないとね」
リリーはゲーム内で主人公にアイテムを販売する役目と余分なアイテムを預かる役目を担っていた。その役割はこの世界でも同じようで、リリーはユニークスキル『アイテム販売』と『無限収納』を持っており、『アイテム販売』のスキルを念じると目の前に商品の名前と値段が書かれた画面が出てくる仕様になっていた。
そして、『無限収納』のスキルを念じると、目の前に黒いブラックホールのようなものが現れ、そこに手を入れてみると、現在持っている物の一覧が頭の中にでてきて、取り出したいものをイメージすれば取り出すことが出来た。
逆に物を入れる時は、この穴に近づけて念じることで仕舞えるらしい。
仕舞うものの大きさは特に関係ないようだ。
さらにアイテム販売の画面はリリーにしか見えないらしい。
『アイテム販売』のスキルで販売される商品の中にはHPポーションやMPポーション、それに武器や防具、さらには『強さ、守り、美貌』などの様々なステータスを上げるための商品も販売されている。
(ステータスアップアイテムの横に注意書きがあるわね)
注意書きには『リリー本人にしか効果が発揮されません』と書かれていた。
(確かゲームでは裏モードにあたる百合モードでは、主人公のセシリアはじめ仲間たちにステータスアップのアイテムを使えなくなるのよね。でもなんでリリーだけ使えるのかしら?)
リリーはゲームの使用について思い出してみた。
(そういえば、リリー自体は戦いに出てないからそもそもゲーム内ではステータスとかなかったわね。もしかしたらそのせいで、制作側もわざわざ使用禁止のプログラムを作らなかったのね。それならそれで転生特典として活用させてもらうしかないわね!)
ステータスアップアイテムを自分のために使うことを決めたリリーであった。
しかし、いくらリリー自身のスキルとはいえ、当然これらを買うにはお金が必要となる。
「まずはお金を手っ取り早く稼ぐ方法よね。そして稼いだお金でステータスアップのアイテムを買って自分自身に使用するのよ。でも、ただステータスを上げただけではダメ。ちゃんと実践を通して剣術や魔法の操作技術などをしっかりとあげていかないと。それらをまとめて行える方法と言えば、やっぱり『ダンジョン探索』と『魔獣討伐』よね」
ダンジョンはこの世界に複数存在し、多くの冒険者が一獲千金を夢見て毎日潜っていた。
「ダンジョンに入るには基礎的な剣術と魔法を覚えることと、冒険者登録が必要ね。早速明日にでも行って話を聞いてこないとね……。あと同時並行でアイリス様に嫌われないためにも礼儀作法や勉強もしていかないとね」
それからのリリーの行動は素早かった。父親に礼儀作法・剣術・魔法・受験勉強の特別講師を頼んだ。
娘のやる気を見て喜んだ父親は、金に物を言わせて超一流の講師陣を集めてみせたのであった。
将来、セシリアとアイリスの百合カップルを特等席で見るため、超一流の講師の指導のもと、寝る間を惜しんで努力を続けたリリーは、気が付けば12歳になっていた。
(講師の先生方は私のことを『すでに一流です』とか『もう教えることは何もありません』って持ち上げてくれるけど、あれはきっとお父様から高額な報酬をもらっているからこその営業トークに違いないわ。前世での社会人経験者から言わせてもらえば、ああいうお世辞を真に受けるのは危険よ。今の私はきっと、基礎的な技術を身につけたに過ぎないはずだわ)
冒険者登録できる最低年齢である12歳になるまでの約2年間に基礎的な戦闘技術を身に着けたと確信したリリーは、貴族としてではなく単なる『リリー』として冒険者登録をすませた。
その後、魔獣討伐の依頼をこなしたり、ダンジョンに潜ったりして、レベルアップとアイテム購入のための金策にと忙しく過ごしていた。
こうして、10歳からの5年の月日は瞬く間に過ぎていった。
リリーは冒険者ギルドの受付にやって来ていた。
「今日も魔石と魔物の素材の買取お願いね。後このクエスト完了したからよろしくね」
「昨日の今日でもう『赤竜』を倒してきたんですか?さすがは国内唯一の『SSS級』冒険者ですね」
ギルドの受付嬢であるアリアが感心していた。
「アリアさん、私をからかおうとしてもだめですよ。私みたいな女の子がすぐになれちゃうようなランクなんだから、本当は世の中にはたくさんいるんでしょ」
そう言ってアリアの言葉を全く信じていなかった。
リリーは毎日行う過酷な訓練とダンジョン探索や魔獣討伐によるレベルアップ。さらに、そこで得た莫大な報酬をつぎ込んで買ったステータスアップのアイテムによって、すでに人類最強の強さと美しさを手に入れてしまっていたのであった。
しかし当の本人はそのことに全く気が付いておらず、(私も最低限の強さと美しさを手に入れられたんじゃないかな)程度に考えていた。これは日本人であった頃の自己肯定感の低さからきていた。
第1章第2話をお読み頂きありがとうございます。
この後も第3話、第4話を投稿しますのでよろしくお願いします。




