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一宮と京ヶ瀬

 一宮(いちみや)が前を行く男の後を追うようにしてやってきたのは、出口の明かりも確認できない真っ暗な道が続くトンネルだった。

 昼過ぎに、いきなり買い物に行くからお前も来い、と言われた。まだ大学のレポートが残っているというのに、彼のいうことにノーと言ってはいけないのだ。


 トンネルの前には草木が蓬々と生い茂り、車などが通らない場所だと一目で見てとれた。ブラックホールのような、何でも飲み込んでしまいそうな闇を前にして騒々しいセミの声がやけに耳につく。

 じとりと嫌な汗が背を伝った。スマートフォンを握る手にも汗がびっしょりだ。

 来なきゃよかったと心底思う。

京ヶ瀬(きょうがせ)さん、もうちょっと、明るいとこ通ってきませんか……そっち側からとか、抜けれないんですか」

「ここからしか行けねえんだよ」

 男、もとい京ヶ瀬は振り返りもせず、臆することなく暗闇へと足を進ませた。

 黒髪、黒いジャケット、黒いスラックス、黒い革靴。ワイシャツは白だったが、後ろから見ると全身真っ黒で、本当にトンネルの闇に飲み込まれてしまうんじゃないかとすら思えた。

「ま、待ってくださいよぉ」

 ひとりになりたくなくて、慌ててその広い背中を追いかける。

 トンネルに足を入れると、空気が触れるような不思議な感じがした。なんというか、例えるなら磁石の同じ極同士を近づけているような、ぶれる感覚。見えない何かに阻まれているような……空気の塊を押しのけて合間を縫って歩いているようだ。前を行く京ヶ瀬も、何かを避けるような歩き方をしている。

「そろそろ、18時になるからな」

「へ……?」

 心の支えにしていたスマートフォンの画面を見れば、17:54:44となっていた。

 どゆこと……。

 ふいに、ヒュウ、と冷気が背後から駆け抜けた。え? セミが大合唱する真夏日に……? と疑問に思ったときだった。

 寒い。

 そう自覚した途端、真冬のような寒さに襲われた。

 歯がガチガチと震え、体がわななく。

 そんなはずがない。セミの声だって、聞こえるのに……? あれ?

 つい先ほどまであんなにやかましかったセミの声がピタッと止んでいた。

 そんなに歩いただろうか。入ってきた方を振り返ろうとしたが、妙な不安感を覚え決心できないでいた。

「京ヶしぇさ……京ヶ瀬さん、寒くないですか、ここ」

 話す息が白い。

 振り返った京ヶ瀬は、「何も寒くなんかないぞ」とだけ言った。


——……おーい


 ふと、後ろの方で声が聞こえた。男性のような、女性のような。子供のような、老人のような。不思議な声だ。


「あ……誰か、呼んでる」


——……おーーーーい


「振り返るなよ」

「え……でも……」


 京ヶ瀬を見上げて、固まってしまう。

 鬼神のような恐ろしい顔で後方を睨みつけていた。


「振 り 返 る な よ」


 京ヶ瀬の発したそれは、大声を出したわけでもないのに、脳に直接叩きつけるような激しさを持っていた。


「…………はい」

 普段から強面な京ヶ瀬だが、その形相に蚊の鳴くような返事しかできなかった。

「狭間ではこの話は禁句なんだ。ギリギリ……セーフとも言えないが、まあアウトでもないな」

 結局、どっちなのか。

 後日聞いたところ、京ヶ瀬曰く、白か黒か決められることではない、ということなんだそうだ。

 同じ条件でも平気な場合もあれば、酷いことになる場合もある。

「お前は運がよくて、よかったな」

 と笑みを浮かべる姿は、映画に出るような悪役そのものだった。


 京ヶ瀬は完全に線を超えていた。それは、目に見えるものではないが、自分のいる場所から明らかに隔てられていた。何がどう違うとも言えないが、早く俺もそっちに行きたいと強く願った。

 俺はまだ、線を超えていない。


「俺はもう振り返ってしまったから、そっちへは行けねえ。お前が自分の足でこちらへ来るしか方法はない」

「そ、なこと、言っひゃっ、へ」

 寒さで呂律が回らない。足を動かそうにも、凍りついてしまったかのように一歩も踏み出せない。

 その間にも、ひたひたと、そのナニかが背後に近づいてくるようで、悪寒がした。

 京ヶ瀬が、線の間近まで寄ってくる。

「手を出せ」

「え……」

「手ぐらいなら出るだろう」

 簡単に言ってくれるよ。

 震える手をやっとの思いで差し出すと、京ヶ瀬の大きな手が手首を掴んだ。

 人間のものとは思えないほどの熱が肌を焼く。

 ジュウッと熱した鉄板に肉を押し付けたような音と匂いがした。

「ギャッ」

 そのあまりの熱さと痛さに悲鳴をあげる。

 思いきり引っぱられると、ウソのように簡単に動いた足は容易に線を跨いだ。

 パッと手が離れると勢いのまま倒れこんでしまう。

「い、った……あっつぅ……」

「暑いか?」

「熱いですよ……!! 一体何なん……あれ……?」

 灼熱のような熱さだと思ったのに、焼けただれていないどころか、熱いという感覚すら存在しなかった。

「寒いだの暑いだの、忙しい奴だ」

「あ、あれ? だって、今……」

 思わず振り返ってしまった。

 すぐに、自分のした行為に血の気がひく。

「あっ、お、俺……」

「もう別に振り返ったってかまやしない。こっちに来たからな」

 足元を見ると、爪先すれすれに、その見えない線があった。見えない、はずなのに認識できる。

慌てて足を自身の体に寄せた。

 入ってきたであろうゲートが、豆粒大の大きさになっている。歩いた距離はさほどでもないというのに。

 自分と光までの間に広がる暗闇に何やら蠢いている。

「行くぞ。その線がこっち側に来たら、狭間に飲まれる」

 飲まれると、どうなるのか。聞く勇気がなかった。


 シン、と静まったトンネル内に二人の靴音だけが響く。

 自分としては、話して気を紛らわせたかったが、京ヶ瀬から黙ってろオーラがひしひし伝わってきて諦めた。

 靴音に被せるように後方からパタパタパタと足音が聞こえる。パッと振り返っても、誰もいない。足音もやんでしまう。京ヶ瀬に伝えると「あまり気にするな」とだけ返された。


 歩いていくうちに、どうやら商店街らしい場所にたどり着いた。並んだ店は軒並みシャッターがおりている。

 壁には宣伝広告が貼ってあった。


『夜採れ野菜』

『百めのくりだま 入荷』

『新鮮な脚あり〼』

『自家製 ナメクジの●●●』(汚れていて読めない)


 寒くはなくなったはずなのに、鳥肌がたっている。

 わざわざ、こんなところを通らなければ行けない場所に何の用事だろう。

 と、前方を歩いていた京ヶ瀬が立ち止ったことには、ぶつかる一秒前に気がついた。

 止まることができず、そのまま背中に顔面を打ちつけた。

「わっぅ! っ……す、すみません」

「ちゃんと前を見て歩け。着いたぞ」

「え……?」


 着いた、とはいうものの、目の前の店らしき建物は、他の店同様シャッターが閉まっていた。

 ふと、話し声が聞こえた気がして辺りを見回すが、人影などはどこにも見当たらない。

 ざわざわと気配だけは確かにあるのだ。

 そろりと京ヶ瀬の方へ近づく。

 ジジジッと唐突にノイズが響くと、不似合いな明るい音楽が大音量で鳴り飛び上がった。


……――ん商店街へよウこそ。現在、夕刻の六時〇〇分。本日の目玉商品は、深海蛸の触腕脚、これは三、四つしかなイから欲しい方はオ早めに。アとは百目鬼さんところノめノくりだま、女郎蜘蛛さんとこの……あ、キャハハハハはハハハはブツンッ……――


 静けさのなかに突然響き渡ったしゃがれ声の放送。子供の笑い声。音が途絶えても尚、反響したように笑い声が耳にこびりつく。

 ゾーッと血の気が引き、肌が粟立つ。

 気づいたときには、京ヶ瀬の腕にしがみついていた。

「暑苦しい」

「す、すみません……」

 謝るものの固まってしまい離れることができない。

 ふいに、ポウッと前触れもなく、天井から吊るされた小さな電球に明かりが灯った。

 ひとつ、またひとつと商店街の明かりがつき始め、最後にパッと目の前の店の提灯が灯った。橙色の光は、見ているだけで気持ちが穏やかになっていく。

 目線ほどの高さの小さな光がゆらゆらと揺らめいている。吸い寄せられるように光に近寄ってみて初めてわかった。これは、ただの明かりではない……火の玉だ。正体に気づくと同時に、ボワッと火が強くなり前髪が少し焦げてしまった。

「わっ!」

「おお、大丈夫かね。火の玉にそんな近寄っちゃあいかんよ」

「は、はいっすみません」

 反射的に謝ってから、え? と思った。今の今まで、京ヶ瀬とふたりしかいなかったはずなのに。

「さあいらっしゃい、いらっしゃい!」

「奥さん、新鮮な野菜ありますよ。丑三つ時に採れたばかりの新鮮なものです、いかがですか」

 いつのまにそんなに集まっていたのか、周囲には買い物をしにきたであろう異形たちがにぎやかに往来していた。

 唖然と辺りを見回してしまう。

 どこに、こんなに……と京ヶ瀬のいる方を見ると、そこに彼の姿はなかった。

 慌ててキョロキョロ探すと、先ほどの橙提灯の店の前に立っていた。

「ぼけっとしてると、置いていくぞ」

「え……あ! ま、待ってください」

 京ヶ瀬に続いて、ためらうことなく店へと入ったのだった。



 京ヶ瀬の買い物を待つ間、手近な棚に陳列された品物を見て回る。店内の極彩色とは相容れないが、妙に紛れている黄緑と茶色と黒の入り混じった不気味な色合いの箱が目に留まる。日常ではまず見かけない。裏返して見ても、記載されているのは、種族言語として使われている記号のみで一宮に読めるものではなかった。

 視界の隅で動くものがあり右を向く。いつの間にか隣に黒いワンピースを着た小学生ぐらいの少女がしゃがんで覗き込んでいた。

 目が合うと少女は微笑む。

「こんにちは」

「……あ、こんに……」

「コンニチハ」

 返事をしかけたとき、反対側からも同じ少女の声が聞こえた。反射的に振り向くと、やはり黒いワンピースを着た少女が、しゃがんでこちらを見上げている。一卵性の双子なのか右の子と同じ顔をしていた。

 挟まれた形になった一宮が

「こんにちは」

 と二人にそれぞれ答えると、右の少女はにっこりと笑みを浮かべた。

「お兄ちゃんはどうしてここにいるの?」

「ドウシテ イルノ?」

「そこにいる黒い服の人の用事で来たんだよ」

 と、京ヶ瀬のいる方を指差した。

「黒い服の人ってだあれ?」

「ダアレ? ドコニイルノ?」

「どこって、そこに……」

 自分が指先を向けた方を見るが、今までそこで棚を見ていたというのに当人の姿はなかった。ド派手な店内はそこまで広くないはずだが見当たらない。

 思わず立ち上がって、辺りを見渡す。

 隣にいた少女たちまでもが、いつの間にか姿を消し、クスクスと笑う二つの声だけが空中で漂う。

 棚よりも背が高い京ヶ瀬を見失うはずがない。しかし店内を一周してもどこにもいなかった。

 近くで買い物をしている紫色をした毛玉の客に話しかける。


「あの、今ここにいた黒いスーツの男性を知りませんか」

 話しかけている途中で、自分がなぜ“この毛の塊”を客と認識したかわからなかったが、ともかく、毛むくじゃらの客は、かさかさと揺れ不知を示した。

「そうですか、ありがとうございます」


 ●●さん、どこに行ったんだ。……ん?

 僕は今、誰のことを探しているんだ?

 一宮は必死で頭の中の引き出しをひっくり返したがまったく思い出せない。

 不可思議な現象に出会ったときは●●のことを考える。そのことは覚えているが、肝心な●●がわからない。

 腕組みをして考え込んでいると、正面に紫色の毛むくじゃらが立っていた。

 多分、こいつに飲み込まれてはいけないのかもしれない。わからない。悪意なんてものはいくらでも隠せる。かさ、かさ、と微かに揺れる毛むくじゃらから意識を逸らさないように考えを巡らせた。

 ふと、手の甲に目線をやった。

『忘れたら●●●(キョウガセ)さんを呼べ』

 と、何かよくわからない三つの文字と共に、多分自分が書いたであろう文字があった。

「キョウガセさん……」


 キョウガセとは、多分、その男の名前である。名字か名前かも定かでないが。

 キョウガセさん……キョウガセさん……。

 毛むくじゃらが近づいてくる。目の前が暗くなっていく。その感触は、見た目からはわからないほど柔らかく心地よかった。あとバニラみたいな甘い匂いがする。この存在が良いものか悪いものか判別できないにも関わらず、一宮は身を委ねた。


「……ぃ」

 暗い意識の中で声が聞こえる。

「おい」

「あっ……、……キョウガセさん?」

 肩をゆすられ目を開けた。浅い呼吸を繰り返し辺りを見回す。目の前には今まで見ていた陳列棚が、そして京ヶ瀬の姿があった。

 少女も、あの紫色の毛むくじゃらもいない。冷や汗をかく一宮は、安心感からため息を吐いた。

「……お前は、ここの店と波長が合うらしいな」

 京ヶ瀬は目当てのものを見つけたのか、柿色の小箱を手にしていた。

「もう、終わったんですか」

「いや、あともう一つ。……お前は店出て、さっきの火の玉の前で待ってろ」

「……一緒にいてはだめですか」

 一人になりたくなかったが、京ヶ瀬は首を横に振った。

「またさっきみたいなことになるぞ。さっきのおっさんに、ここにいさせてくれって言っとけよ」

「はい……」

 おっさん、とは火の玉の隣の店の異形だ。あれは、おっさんという容貌だろうか? 腹がでっぷりとした蛙のような、ナメクジのような……たしか片目が溶けていた。


「あとこれ持ってけ」

 と、水色のビー玉を二つ手渡される。

「くれと言われたら渡せよ」

「おっさんにですか?」

「いや……まあ、おっさんでもいいっちゃいいが。ともかく、くれと言われたら渡すんだ」

「わかりました……」

「振り返るなよ」

「……でも、今から後ろ向きますけど」

「店を出てからの話だ。この店に戻ろうとするな、戻ろうと思うな。炎だけずっと見とけ、おっさんでもいい、前だけ見て、この店は思い出すな、忘れろ」

「は、はい……」

 忘れるといったって極彩色で彩られた豪奢な装飾の店内は嫌でも目に焼きついている。

「京ヶ瀬さんのこと考えてればいいですか……」

「……店に関係なきゃ何だっていい。ただし、俺のもとへ戻るとは考えるな」

 頷いた一宮は、店を出る前から京ヶ瀬の名前を呟くことにした。

「……き、京ヶ瀬さん、京ヶ瀬さん……」

「……変な奴に思われるぞ」

 背後で聞こえた言葉を無視して、彼の名前を唱え顔を思い浮かべながら店を出る。

 商店街の宣伝放送が流れる。ノイズ、ラップ音、異形の腐敗臭。死骸。

「きょうがしぇ……京ヶ瀬さん、京ヶ瀬さん……」

 いっそ走ろうとも思ったが足が震えて叶わない。足がもつれそうになりながら、雑踏をかきわけ必死に京ヶ瀬のことのみを考えて、ゲシュタルト崩壊を起こす前にようやく火の玉のところにたどり着いた。大した距離では無いのに、額にかいた汗を拭う。

 ナメクジ蛙のおじさんが店舗から顔を覗かせる。

「おう、さっきの……」

「すみません、疲れてしまったので、ここで休ませてもらいたいです」

「ああ、やっぱりな。そうだとは思ったんだ。このイス使ったらいい」

「ありがとうございます……」

 おじさんが触ったところは、ねっちょりとした体液がついている。

 言われた通り、火の玉の方を向いて座り、ようやく一息ついた。

 背後では大勢の異形の行き交う声が聞こえてくる。種族特有の言語はもちろん、人間の言葉も日本語から他国語と様々だ。

 楽しそうな雰囲気と、火のたまの心が安らぐ暖かい光に精神的にも落ち着いてきた。落ち着いて、手元のビー玉を眺める。

 これ、どうしたらいいんだろう。

「お兄ちゃん」

 ふと、少女の声がして顔を上げる。いつのまにか目の前に黒いワンピースを着た女の子が立っていた。

「何してるの?」

 微笑む少女に答えようとしたが、おじさんによって遮られる。

「あっ、さっきの放送、お前たちがやったんだろう」

 少女は途端に、いじわるそうな顔になった。

「うるさいハゲガエル」

「ウルサイ デブガエル」

「何だと!?」

「きゃー、デブガエルが怒った」

「キャア、ハゲガエルガ オコッタ」

「デブだのハゲだの、好き勝手言いやがって……」

 店舗から出てこようとするおじさんから逃れるように、二人の少女は一宮に隠れた。

 ちょうどそのとき、おじさんの店舗に客が訪れた。

「ごめんください」

「あ……はいはい、少々お待ちを。……お前ら後で覚えてろよ」

 そんな捨て台詞じみたことを言って客対応に向かうおじさんを尻目に、二人の少女は一宮に興味を向けていた。

「お兄ちゃん、何にも言わないね」

「サッキハ オハナシ シテクレタノニネ」

 回り込んでくる二つの同じ顔。手元にあるビー玉を目にした二人は、目を輝かせた。

「オニイチャン ソレ ナアニ」

縺ィ繧ゅk(ともる)、ビー玉だよ」

「ビーダマ …… キレイ!」

「ね! いいなぁ、ちょうだい?」

 どこかで見たことがあるふたりの少女。どこだったろう、と考えるうち、ふたりの笑顔が消える。

「……くれないの……?」

「えっ、あっ、あげる、あげるよ!」

 少女の顔が曇っていく。火の玉の勢いがおとなしくなっている。

 失敗してしまっただろうか。しかし、どうすることもできない。本心から言うしかない。

「二人分ちゃんとあるよ。水色、好き?」

 二人の少女はようやく笑顔になって

「やったぁ! 水色好き、ありがとう!」

「ミズイロ スキ アリガトウ!」

 飛び跳ねて喜ぶ二人は、一宮の周りを二、三周回ると、商店街の奥へと走り去っていった。

 早鐘を打つ心臓が落ち着く頃には、火の玉も元気を取り戻していた。


 そのあとは、買い物を終え戻ってきた京ヶ瀬と商店街を見て回ったが、少女たちと会うことはなかった。

 京ヶ瀬に聞こうと思っていはずだが、隧道を出る頃には忘れてしまっていた。

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