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刀武士  作者: ノナ
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第十九話:桜

  「シュッ!」と突然鋭い音が響き、藤原桜司は異変を察知すると、即座に手を伸ばして黒い影を掴んだ。

  「これは……暗器か?」彼が手に握っていたのは、一本の飛刀だった。その飛刀を見た瞬間、護衛たちの視線が一斉に変わった。

  「まずい、暗殺者だ!」護衛たちは叫び、たちまち藤原桜司を真ん中に囲んだ。

  すると、黒い服を着た覆面の男が、突然木から飛び降りてきた。

  彼の腰には、特殊なベルトが巻かれており、そこに数本の飛刀が差されていた。それは藤原桜司が手にしているものと同じだった。

  「この刺客たちは、いつ紛れ込んだんだ?」護衛たちは首をかしげた。

  「いや、彼らはとっくにここに潜入していた。単なる潜入者だ。」藤原桜司の、それまで穏やかだった表情が、冷たくなった。

  「それなら、私の武器を持ってこい。腕を磨いておきたい。」藤原桜司は手を差し伸べて言った。

  「承知いたしました!」直ちに二人の使用人が力を合わせて、その精巧な青い箱を開けた。

  箱が開くと、その中央には、実に2メートルもある青く美しい長槍が横たわっていた。その長槍の柄は木ではなく金属製で、龍の鱗のような模様が刻まれており、まるで龍の鱗でできた柄のようだった。

  さらに、柄には、潜む龍の爪の模様があった。柄の槍先に近い部分には、まるで龍の目のような二つの宝石が嵌め込まれていた。

  不気味なことに、その二つの宝石が突然、目のように見開かれた。その瞬間、恐ろしい力が湧き上がるかのように、まるでこの長槍が覚醒したか、まるで本物の龍が目を覚ましたかのような気がした。

  「最高級の宝器、龍槍。その価値は5億両の黄金!木川国を丸ごと5つ買えるほどの価値だ!」伝説の宝物を初めて目にした木場翁は、驚きで目を丸くした。

  一方、藤原桜司はただ手を上げる動作をしただけだった。箱の中の龍槍は、突然、まるで小型の金属の蛟龍と化したかのように、空中で曲がりくねりながら彼の手へと飛んで来た。

  「まるで生きているようだ。さすがは最高級品!」

  藤原桜司は、自身の火属性のエネルギーを解き放った。その変化を感知した龍槍は、たちまち燃え上がり、炎を纏った金属へと変貌した。

  「ふふ、たとえ上級の武法と上級の宝器を持っていたとしても、武道二段初級に過ぎず、私と同等の実力だ。藤原桜司、お前はそれだけのものか!」覆面の殺し屋は嘲笑った。

  「ふふ、私の名は桜司。この桜の森のように、無数の桜の花は、まるで無数の美貌を咲かせる若い娘たちのように、すべて私が掌握し、意のままに操ることができる。だから、女を口説くこととなれば、恐らく、私に敵う者はいないだろう。だがな、どうしても私と戦いたいというのなら、それなら、仕方なく相手をしてやろう。もちろん、俺にとって戦いなんて、女ほど楽しいものじゃないけどね。」藤原桜司は両手で龍槍を握りしめた。炎を燃やす龍槍は、まるで青い炎でできた小さな蛟龍のようになり、生命の気配を帯び、金属と炎の中間のような姿へと変化した。

  「うるさいな。」殺し屋はうんざりした様子で耳を塞いだ。

  すると、腰に差した全ての飛刀を取り出し、両手でそれらを挟み込み、一斉に投げつけた。

  「シュッ、シュッ、シュッ!」十数本の飛刀が飛んできた。

  「ガシャン、ガシャン!」藤原桜司は長槍を震わせ、槍先を使ってそれらの飛刀をすべて弾き飛ばした。

  「朝飯前だ」藤原桜司は軽々しく言った。

  「ふふ、これは前菜に過ぎない。さあ、私のクロスボウを試してみろ!」覆面男は背中のクロスボウを取り出した。それは3本の矢を同時に装填できるもので、藤原桜司を狙い定めた。

  「さあ、今度は絶対に防げないぞ。」

  「シュッ、シュッ、シュッ!」三本の矢が瞬時に放たれた。

  藤原桜司の表情は緊張を帯びた。この速度では、到底防御などできない。

  そこで彼は両手を離し、龍槍に向かって命令口調で言った。「さあ、龍槍よ、彼を飲み込め!」

  両手から離れた龍槍は、物理法則に従って落下することなく、空中に浮遊した。

  すると、烈火が蛟龍の姿へと変わり、その蛟龍はなんと藤原桜司に向かってうなずき、まるで彼の命令に応えているかのようだった。

  そして、体長わずか2メートルの青い炎の蛟龍が、突然稲妻のように飛び出した。

  「ふっ!」蛟龍と三本の矢が空中で激突し、瞬く間に矢は溶けて鉄の液となり、地面に落ちた。蛟龍はそのまま稲妻のように前方へと突き進み、瞬く間に覆面男の胸を貫いた。

  そして、稲妻のように瞬時に藤原桜司の眼前へと戻り、忠実な猟犬のように主人の褒美を待った。

  「よくやった」と藤原桜司が称賛すると、龍槍は歓喜に沸いた。表情はないものの、龍槍は藤原桜司の周りを嬉しそうに数回旋回した。「戻れ」

  炎の蛟龍は箱の中へと飛び戻り、金属の槍へと姿を変えた。その宝石も輝きを失い、まるで蛟龍が目を閉じたかのように、生き物のような気配も消え去った。

  「実に凄まじい。この龍槍さえあれば、何人かの殺し屋なら一瞬で仕留められるだろう」と木場翁は称賛した。

  しかしその直後、周囲の塀の上からさらに多くの人影が現れた。十数人もの覆面の殺し屋が、突然姿を現したのだ。

  「殺せ!」その時、殺し屋たちの最前列に立ち、命令を下した人物は、なんと掃除人の服を着ていた。これは明らかに、問刀があの日見た掃除人の使用人その人だった。

  「雇い主からは、高額な懸賞金がかけられているぞ!」殺し屋の首領は興奮した口調で言った。

  「承知した!」十数人の殺し屋たちは、皆、獰猛な眼差しを浮かべ、ツバメのように、高さ3メートルの塀から弧を描いて軽やかに飛び降りた。着地しても、何の怪我もなかった。

  そして、藤原桜司の方へと突進してきた。

  「若殿を守れ!」護衛たちが叫んだ。

  その瞬間、暗殺団の首領は塀の上に立ち、その目は問刀をじっと見つめていた。

  問刀は、まるで感電したかのように、何かを思い出した。彼は心の中で推測した。「この男、どこか見覚えがある。どうやら、あの掃除をしていた男も、あの日路地で私に伝言を届けた男も、すべて彼だったようだ。」

  「彼の指示通りに、好機を逃さずに? 彼の言う通りにすれば、犠牲者を出さずに済むかもしれない。」

  「若殿を守れ!」問刀もまた大声で叫ぶと、すぐに噬刀を抜き、二人と共に藤原桜司を護衛してその場を離脱した。

  残りの護衛たちは現場に残り、暗殺者たちと戦った。

  しかし、殺し屋たちは手段を選ばない。中には石灰粉を撒く者もおり、目に入ると失明する。また、毒の効いた手裏剣を投げる者もいて、当たれば即座に中毒になる。彼らの手口はあまりにも陰険で、すぐに何人かの護衛が倒れていった。

  一方、問刀の側では、計3人のボディーガードが藤原桜司を護衛して撤退していた。彼らは慣れたルートを選び、この場所から一刻も早く脱出しようと急いだ。

  しかし、突然、前方に一人の男が現れた。まさに暗殺者たちの首領である。

  その手には数本の緑色の手裏剣が握られており、一見して猛毒が塗られているようだった。

  

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