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刀武士  作者: ノナ
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第十六話:優勝

  「問刀か? その度胸には感服した」侍郎はそう言いながら、背中の双刀を抜き放った。まるでカマキリが両腕を広げるかのように。

  「そこまでして私に挑んでくる度胸があるのなら、敬意を表して、容赦なく打ちのめしてやる」

  「だから、傷つきたくない、あるいは死にたくないのなら、早々に降伏したほうがいい」

  「昨日の戦いは、お見逃しにはならなかっただろう。」侍郎の口元には、獲物を蔑む蟷螂のような残酷な笑みが浮かんだ。

  たとえより強力な相手であっても、彼は打ち負かす自信があった。ましてや同格の、まだ成人したばかりの少年など。

  「昨日の戦いを観察したからこそ、私は君と決闘することを決意した。だから、侍郎、手を出してくれ。」

  問刀は、腰の刀の柄に手を置いた。

  「ハハハ、たった18歳で、私に挑むほどの度胸があるとは。君を尊敬する。だから、私は全力を尽くしてやる。」

  「フッ!」すると、侍郎の手にある双刀が、突然まばゆい緑色の光を放ち、内部のエネルギーが今にも爆発しそうな激流のようになった。

  「私の武器は『螳螂翅刀』という、風属性の下等成品宝器だ。風属性を選んだのは、私の速度をさらに高めるためだ。何しろ、力に関しては、私はすでに無敵だからな。」

  「では今日、ひとまずこの宝器の力を借りて、お前に目を見開かせてやろう。」

  侍郎の緑色の金属エネルギーが、血管や経絡を通って双刀へと流れ込んだ。

  すると「蟷螂翅刀」の特殊能力が即座に発動し、狂風となって侍郎の足元に渦巻きを形成した。侍郎の衣服や髪は狂風の中で翻り、その瞳からは恐ろしい緑色の光が放たれ、まるで血に飢えた虫のようだった。

  「下級の宝器、風属性か。侍郎は最初から宝器の補助を発動させた。これでは、この問刀には勝算がほとんどない。何しろ、宝器の力を借りずとも、侍郎のスピードは極めて速いのだから。」

  観客席から分析の声が上がった。

  「恐らくこの問刀は、昨日のあの人よりも、もっと早く、もっと惨めに負けるだろう。」ある老人の目には不安が満ちていた。

  「命だけは助かってほしいものだ。何しろまだ18歳の子供なのだから。」老人はため息をついた。

  「さあ、行くぞ!」侍郎の口元から唾が飛び散り、まるで飢えた虫が獲物を見つけたかのようだった。

  彼は両刀を交差させ、突然跳び上がり、足元で気流が爆発するような音が響いた。

  侍郎は、まるで砲弾に駆り立てられた猛獣のように地面を疾走し、瞬く間に問刀に迫った。

  「シュッ!」

  彼の接近は即座に猛烈な風を巻き起こし、問刀の長い髪は、まるで凍りついたモップのように暴風に後ろへ吹き飛ばされた。

  そして恐ろしい侍郎が、彼の眼前に現れ、両刀を交差させて襲いかかった。

  侍郎の表情は得意げに満ちていた。彼のこのスピードは、この少年を震撼させるに十分だった。

  その気迫だけでも、世間知らずのこの子供を恐怖で呆然とさせるには十分だった。

  「まさか、最初から負けるなんてことはないだろう?」侍郎の目尻には軽蔑の色が浮かんでいた。

  「ガシャン!」

  危機一髪の状況にもかかわらず、問刀の抜刀の速さは残像を形成するほどで、噬刀の刃が瞬時に侍郎の双刀と激突する姿しか見えなかった。

  「ふふ、愚か者め。俺のこのスピードが生む慣性と、俺の蛮力に、奴など到底敵うはずがない。」

  しかし、次の瞬間、侍郎は愕然とした。砲弾のように飛び出した彼の攻撃は、問刀にぶつかった途端、鉄の山に激突したかのように、微動だにしない。

  しかも、問刀は片手だけで、それほど力を込めているようには見えなかった。

  一方、侍郎は全力を振り絞っていた。

  「この小僧の力、まさかこれほど恐ろしいとは?」侍郎は信じられなかったが、いずれにせよ、彼の双刀はあの黒い噬刀の刃を突破できず、まるで静止したかのように動かなかった。

  「くそっ!」侍郎は怒りを露わにし、その直後、突如として旋風のように身を回転させると、双刀も彼と共にコマのように回転した。侍郎は曲線を描く軌道で問刀の背後へと回り込み、その間も双刀はまるでコマのように両脇で回転し続け、問刀へと攻撃を仕掛けた。

  そんな高速で回転する刃を前に、問刀はわずかに眉をひそめたが、振り返ることさえせず、噬刀で果敢に迎え撃った。侍郎の回転に合わせて動く刃を完璧に防ぎ切った。

  「ガシャン、ガシャン!」

  幾度かの衝突で火花が散り、侍郎は回転を続け、まるでコマのように問刀の周りを回り、その双刀もまた、コマの縁に取り付けられた刃のように、絶え間なく問刀を攻撃し続けた。

  しかし、このような奇妙な攻撃手段を前にしても、問刀は極めて冷静で、「噬刀」を用いて極めて素早く防御した。

  「なんて凄まじい攻撃だ。侍郎はまるで回転するコマのように速い。その刀身は猛烈な速さで切り裂いてくる。もし問刀が攻撃を一つでも見逃せば、瞬く間に粉々にされてしまうだろう。」

  「あの回転速度に双刀が加われば、攻撃の速さは桁外れだ。恐らく、熟練の剣術の達人でなければ、これに対抗できないだろう。」

  観客たちは熱く語り合った。

  「ガシャン、ガシャン!」

  問刀は、腕を振るう速度をさらに上げ、冷静に刃の襲撃に対応した。

  侍郎は問刀を回り込み、三周回転した後、ついに諦めて後方へ跳躍し、問刀の正面5メートルの範囲まで退いた。

  「はあ……」侍郎の胸は激しく上下していた。このような攻撃手段は、彼から多大な力とエネルギーを消耗させたのだ。

  「たとえ殺せなかったとしても、重傷を負っているはずだ」侍郎は問刀の体を観察し、そう判断した。彼の視線は問刀の体を丹念に探り、傷口を見つけようとしていた。

  「申し訳ない、期待を裏切ってしまったな」問刀は噬刀を掲げ、それを前に構えながら、侍郎に向かって笑った。

  「何だと? そんなことがあり得るのか?」侍郎は驚いて言った。「この技の斬り込みの速さは、私よりも速い。もし彼がこれでも防御できるなら、通常の攻撃では彼を倒すことはできないだろう。」

  「それなら、坊主よ。もうお前と遊ぶ気はない。最後のひと撃で、勝敗を決めよう!」

  「優勝は、絶対に俺のものだ!」侍郎は怒号し、全身の緑色のエネルギーが、まるで蛍のように血管の中を猛スピードで駆け巡った。

  侍郎は双刀を高く掲げ、叫んだ。「それなら、宝器『蟷螂翅刀』の全威力を解き放ち、特殊武法、すなわち宝器の特殊能力『風翅』を使うぞ!」

  「蟷螂風翅!」

  侍郎の怒号と共に、彼の手にある双刀は体内のエネルギーを貪るように吸収し、同時に緑色の狂風を迸らせ、彼の背中に一対の蟷螂の羽を形成した。

  「見ろ、あれは宝器の威力が化けた疾風の翼だ!」

  「風属性の宝器は速度を増加させ、宝器の特殊能力はその効果を極限まで引き出すことができる!」

  見ると、双刀から噴き出した緑の狂風が、ちょうど侍郎の背中の大きさにぴったりの巨大なカマキリの羽を形作っていた。そして侍郎の衣服も、疾風の引き裂く力によって破片となり、鍛え上げられた筋肉が露わになった。

  その筋肉のラインは、明らかに嵐に極めて適応しているようだった。

  「展開!」侍郎が怒号すると、背中の「風翼」は、カマキリが飛ぶ時に羽を広げるかのように広がり、侍郎に巨大な推進力を与えた。

  すると侍郎はひと跳びで問刀の頭上へと飛び上がり、双刀を振り下ろした。

  一方、問刀もまた眼差しを厳しくし、全力を込めて刀を振り下ろした。

  「ガシャン!」

  噬刀はもともと非常に重かったが、そこに問刀がこの間鍛錬して高めた力が加わり、完全に爆発した。

  その恐るべき力により、侍郎は全身を空高く吹き飛ばされ、両刀さえも手から抜け落ちそうになった。侍郎の両手の虎口は裂け、鮮血が流れ出した。

  「恐ろしい力だ。さらに恐ろしいのは、危機に直面しても、あのような平静さを保ち、何ものにも動じないことだ。その冷静さこそが、最も恐ろしい。」

  侍郎は高く放り上げられた砲丸のように、空中で垂直に落下した。背中の翼が突然開き、一瞬にしてその動きを止めた。そして、彼の口元には、狡猾な笑みが浮かんだ。

  「この高さから、落下する慣性だけでも、私の体重と『風翼』の爆発的な加速が加われば、その衝撃力は想像を絶する。」

  「そこに私の武法『蟷螂跳斬』まで加われば、武道三段の高手であっても、殺される可能性はある。」

  「それなら、坊や、すまない。俺の優勝のためには、たとえお前を殺すことになっても、お前を倒さなければならない!」

  侍郎は、冷酷な笑みを浮かべた。

  そして、一喝した。

  「下等武法:蟷螂跳斬!」

  「シュッ!」彼の背中の翼が激しく震え、瞬時に砲弾のような推進力を生み出し、落下速度を数倍に増した。

  侍郎は、まるで黒い影のように空から落下し、問刀の頭上へと一直線に突き進んだ。

  「なんて恐ろしい技だ!この一撃で、侍郎は武法と宝器の全威力を発揮した。恐らく、問刀というこの子は、非業の死を遂げ、遺体は粉々になるだろう!」

  「ああ、これから起こる光景は、間違いなく凄惨なものになる!」老人は子供たちの目を覆い、それを見せないようにした。

  さらに恐ろしいのは、侍郎の体前方に、高速移動とエネルギーの波動によって形成された衝撃気流であり、それは堅い岩さえも粉砕できるほどだった。

  つまり、問刀が侍郎に1メートルでも近づけば、衝撃波によって傷を負うことになる。

  「シュッ!」侍郎は砲弾のように落下し、彼の前方の枯葉が一瞬にして粉々に引き裂かれた。

  もしそれが問刀の体であれば、おそらくこのように押しつぶされて粉々になっていただろう。

  「ご冥福をお祈りします!」観客たちは、問刀の早すぎる死を悼み、うつむき始めた。

  「下等宝器:噬刀 特殊能力:噬盾!」

  問刀が噬刀を掲げると、体内の血のような赤いエネルギーが泉のように刀へと注ぎ込まれた。瞬く間に噬刀の黒い影が活性化し、盾の形へと広がり、問刀の前方を塞いだ。

  「ドーン!」

  侍郎の双刀は、黒い影の盾に激突した。まるで堅固な磁場の壁にぶつかったかのようだった。この黒い影の盾は、実体の金属よりもはるかに硬かった。

  こうして、あの恐ろしい衝撃力は、あっさりと無効化された。しかし、その衝撃を吸収した反動で、問刀の周囲の床は爆裂し、亀裂が生じた。

  恐ろしい攻撃力を吸収した黒い影の盾は、そのまま消え去った。

  侍郎は驚きの眼差しを向け、跳ね返った力を利用して10メートルほど後退した。

  「まさか、俺の全力の一撃を受け止められるとは?」問刀は信じられないというように言った。

  客席の観客たちも皆、その光景を凝視していた。

  「宝器の特殊能力が彼を救ったんだ。あれは防御用の宝器に違いない。」

  ある観客が叫んだ。

  「これほど防御力が高い宝器なら、相当な金を費やしたに違いない。」観客たちは分析した。

  「なるほど。」侍郎の軽蔑に満ちた眼差しが再び戻ってきた。

  「これで、お前と俺の宝器は、どちらも使い果たしたな。」

  噬刀の黒い影が消えた。

  そして侍郎の背中の翼も、すべて消え去った。

  「それなら、宝器の助けを失ったお前は、私の敵ではないはずだ。」

  侍郎の眼差しは、限りない自信に満ちていた。

  「さあ、次は、私の『蟷螂跳斬』を受けろ!」

  侍郎は再び跳躍し、全身の筋肉を麻縄を撚り合わせたかのように凝縮して全力を注いだ。彼の双刀もまた、蟷螂の前脚のように前方へと構えられた。

  空中を放物線を描くように跳ね、問刀の上方に到達した。

  「最後の一撃だ。我が手下として敗北せよ、小僧!」

  一方、問刀は突然両手で刀を握りしめ、同様に全身の力を凝縮させ、一喝した。

  「中級武法:断欲斬!」

  まるで不純物のない金属のように、欲望は微塵もなく、ただ斬撃のみ。そうしてこそ、すべてを断ち切ることができるのだ。

  水滴が岩を貫くように、雑念のない斬撃は、あらゆるものを切り裂く。

  「ガシャン!」

  問刀の血のような赤いエネルギーが噬刀に集中し、その黒い刃は一瞬、真紅へと変わった。

  侍郎の双刀と衝突した刹那、堅固な双刀はまるで紙切れのように切り裂かれた。血のような赤い刃が、今にも侍郎の首を刎ね落とそうとしたその時、問刀は突然刀を引き、その姿は侍郎の後方へと飛び去った。

  「な、なっ……」侍郎の瞳は恐怖に満ち、まるで石像のように身動きが取れず、自分がまだ生きているのかさえ分からなかった。

  「だから、お前は負けた。」問刀は、いつの間にか刀を鞘に納め、侍郎に背を向けて言った。

  「あ……」侍郎は自分の首を撫で、傷がないことを確認して、ようやく息をついた。

  恐怖のあまり、全身がバネのように緩み、彼は突然地面に跪き、顔を地面に伏せた。

  「私……負けました!」

  「信じられない!」会場の観客が歓声を上げた。

  「この山海村の少年、問刀は、なんと中級の武法を使いこなした。このような武法は非常に稀で、その価値は計り知れない。しかしその威力は誰の目にも明らかだ。堅い鋼鉄さえも、紙切れのように切り裂くことができるのだ。」

  「本当にハラハラさせられた。まさか、この子が本当に侍郎に勝つとは!」

  「さらに感服すべきは、周囲の状況に対する彼の反応、その執着と冷静さだ。まるで彼の武法『断欲斬』のように、雑念はなく、斬るという一念のみ。すべてを融合させてこそ、あの恐るべき威力を発揮できるのだ。」

  「さて、今回の大会は実に予想外の結果となった。優勝者は、問刀という名のこの少年だ。彼は無事に藤原家に入り、護衛となるだろう。」

  「問刀、おめでとう!」

  「お前は本当に強すぎる!」問刀が観客の間を歩くと、周囲の観客たちが祝福の言葉を浴びせた。

  「ありがとう!」問刀は答えた。

  「たった三ヶ月で、彼はこれほどまでに強くなったのか。」その時、群衆の中に、全身を包帯で巻いて病人になりすました謎の男が、悪鬼の囁きのような声で言った。

  「どうやら彼の才能は、私の予想を遥かに超えているようだ。一年後、必ず彼を殺さねばならない。さもなくば、我々『血戮衆』にとって、大きな脅威となるだろう。」包帯の男は心の中でそう思い、その眼差しも鋭く冷酷なものへと変わった。

  

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