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刀武士  作者: ノナ
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第十二話:初めての対決

  数日後、通りで湯川源次は屋台の前に立ち、ラーメンを茹でていた。

  今日は客が多く、近くのテーブルはすべて満席になっていた。

  そこに白衣の男が現れると、客の中には鋭い目をした者たちが、すぐに異変に気づいた。

  「白い衣に血のついた刀、顔をガーゼで覆ったその姿。私の見立てが正しければ、この人物は間違いなく、あの殺し屋、薄乱刹に違いない。彼の持つその刀は、中級残品の『絶情刃』だ。」

  「薄乱刹?」その名を聞いた瞬間、ラーメンを食べていた客たちは皆、思わず息を呑み、湯気の立つラーメンを置いて、慌てふためいて逃げ出した。

  店に残ったのは、たった一人の客、問刀だけだった。

  「湯川源次、今回は、お前のラーメンは食わない。お前の命を奪いに来たのだ!」薄乱刹は、真っ赤な打刀を抜き放ち、湯川源次を指差して言った。

  湯川源次は、人柄が穏やかで、敵など一人もいなかった。だから、誰かに刀を突きつけられ、慌てふためくのも無理はない。

  「それなら死ね。あのラーメンの恩義を思って、苦しまずに死なせてやる。たとえ俺が殺さなくても、他の殺し屋がやってきて、お前を始末するだろう。そのことは理解しておいてくれ。」薄乱刹は手を出そうとした。

  「待て!」突然の叫び声に、薄乱刹は後ろを振り返った。

  「ズズッ!」その時、問刀はラーメンを大口で頬張っていた。

  「お前、何やってんだ?」薄乱刹は不機嫌そうに言った。

  「ズズッ!」問刀は麺を大口で頬張り、それから顔を上げて白衣の背中に視線を向けた。

  「薄乱刹、前、お前は俺と一決勝負したいって言ってたな。さあ、今こそ腕を競い合おうじゃないか。」

  「今か?ふっ」薄乱刹は鼻で笑った。「今、俺には重要な任務がある。奴を殺してから、お前と決闘しよう。」薄乱刹は目を細め、刀を振るう構えをとった。

  「ズズッ!」一方、問刀は麺の汁をすべて飲み干すと、立ち上がった。

  「私の言わんとすることは、お分かりだろう。お前が私を倒さない限り、奴を傷つける機会など与えない。」

  その時、湯川源次は、その言葉を聞いて一瞬呆気にとられ、問刀の方へ視線を向けた。

  「ハハハ、この小僧め」薄乱刹は意に介さなかった。「お前とは全く無関係な人間のために、そんなことをする価値があるのか?」

  「それに、お前の実力は俺より下だ。そもそも俺の敵じゃない。」

  「もし、後ろにいる雇い主が君に仕事をさせていなければ、俺が一度に皆殺しにしてやってもいいんだが。」

  「武士として、俺の刀は、美しいものを守るために抜く。湯川源次おじさんのラーメンは美味しかった。それこそが、俺にとっての『美』だ。」

  「だから、私も守る。」問刀は黒い噬刀を抜き放った。

  「ふふ、下等な宝器が、この中等の宝器に手を出すとは。まあいい、奴を殺してから、お前の相手をしてやろう。」

  薄乱刹の刀が、湯川源次の喉元へ真っ直ぐ突き刺さろうとした。

  「ガシャン!」

  すると、飛んできたラーメンの空の丼が、ちょうど刀の刃に当たり、その攻撃は外れた。その丼は、問刀が食べ終わったばかりのラーメンの丼を投げたものだった。

  「さあ、決闘を始めよう。」

  問刀は折りたたみテーブルに片足を乗せ、その高さを活かして、まるで機敏なツバメのように薄乱刹の後方へと跳躍した。

  もし薄乱刹がこの隙に湯川源次を斬り殺そうとしたなら、間違いなく傷を負うことになる。

  そこで、百戦錬磨の薄乱刹は身を翻し、「絶情」と名付けられた血のような赤色の打刀を、上から振り下ろした。

  白い金属のエネルギーが彼の体内で爆発し、血管さえも白い光を放った。

  武道二段上級。この段階に至り、薄乱刹の骨や筋脈は変貌を遂げ、銅鉄のように強靭となり、その力は、武道二段中級の問刀を遥かに凌駕していた。

  「ガシャン!」

  薄乱刹の赤い刀身が、問刀の黒い刀身に激突した。そのすべてを押し潰すような蛮力により、問刀はまるで象に突き飛ばされたかのように、3メートルも真っ直ぐ後ろへ吹き飛ばされ、地面に倒れ込んだ。

  地面は大きな青レンガが積み上げられていた。問刀は刀を青レンガの継ぎ目の隙間に突き刺した。そうすることで刃が引っかかり、彼の身体も瞬時に後退を止めた。

  「本当に厄介な奴だ。それなら、まずはお前の行動能力を奪ってやろう。」

  「湯川源次おじさん、逃げてください」問刀は叫んだ。

  湯川源次は、その隙に路地を探して逃げようとした。

  「逃げようってか?」薄乱刹は刀を構え、追いかけるつもりだった。

  しかし、問刀の黒い影がすでに前方に降り立ち、彼の行く手を塞いでいた。

  「問刀、お前は本当に邪魔だな。金泉町全体で、俺・薄乱刹を知らない者などいない。俺の邪魔をするとは、どうやら、お前に少し教訓を授けなければならないようだな。」薄乱刹は、怒りに歪んだ笑みを浮かべた。

  「後ろの雇い主の要求さえなければ、今すぐお前を殺してやりたい。本当に憎たらしい!」

  薄乱刹の足取りは軽やかで、まるで水面を歩くかのように、蜻蛉が水面に触れるように、ふわりと問刀の前へと飛び出し、刃を落とした。

  一方、問刀は噬刀で防御した。

  薄乱刹の力は問刀を遥かに凌駕していたため、攻撃を受けるたびに、問刀は刃の衝撃で後ずさりした。

  気づけば、問刀は壁際に追い詰められ、後方には退路がなかった。

  問刀は背後の壁に足の裏を押し付け、その反動を利用して体を宙返りさせ、薄乱刹の頭上を越えて、彼の背後に着地した。

  「ふふ、お前はもう負けたな。」その瞬間、薄乱刹もまた問刀に背を向けたまま、振り返らなかった。

  彼の「絶情刃」からは、鮮血が滴り落ちていた。一方、問刀の腕には一本の傷が走っていた。

  すると、奇妙な光景が繰り広げられた。問刀の傷口から流れ出た血液が、まるで糸のように引き寄せられ、薄乱刹の血に染まった刀刃へと吸い寄せられていくのだ。

  問刀の体は急速に失血していた。あの血塗れの刀が、彼の血液を貪り食っていたからだ。

  「手加減してやったんだ。そうでなければ、この傷だけで、今すぐにでもお前の命を奪えるぞ!」血液を吸い込んだ「絶情刃」は、まるで呼吸をするかのように、蛍のような赤い光を放っていた。

  「不滅決!」問刀は、この武術を駆使した。瞬く間に、10センチほどの切り傷は癒えた。

  傷口がなくなれば、「絶情刃」もこれ以上血液を吸い取ることはできない。

  しかし、この短い間の吸血だけでも、問刀の顔色はすでに少し青ざめていた。

  「さて、湯川源次おじさんが無事に撤退したようだから、私も行くべきだな。」

  問刀は足の裏を地面につけ、蝶が舞うかのように軽やかに、壁を蹴って建物の屋上に登り、そこから跳び移りながらその一帯を離れていった。

  薄乱刹は追わなかった。問刀を殺そうと思えば、さっきでもできたはずだ。ただ、血戮衆には、まだ問刀の働きが必要だった。薄乱刹も、諦めるしかなかった。

  「今回の勝負、問刀、お前の負けだ。十三年の刀術も、これか。」薄乱刹は軽蔑を込めて言った。

  「金泉町一の殺し屋が、一度も負けたことがないのに、どうして今回ばかりは手元が狂ったのか。」嘲笑の声が響き、隅の影の中から二人が現れた。

  その二人は、前後に並び、薄乱刹の行く手を塞いだ。黒い服に黒い覆面。しかし、そのがっしりとした体格は、見るだけで非常に凶暴そうだった。

  前方の男は斧を、後方の男は鎌を武器にしていた。

  「お前たちは?」薄乱刹は、刀の柄を握る手をさらに強く締め、眼差しも真に厳しくなった。

  「薄乱刹、お前はこれほど多くの人を殺した。我々は、当然お前の仇を討つために雇われた殺し屋だ。お前の命を取りに来ただ!」

  この二人の殺し屋は、いずれも武道二段の上級者だった。

  突然、二人は同時に薄乱刹へ襲いかかった。まるで二つの方向から吹き荒れる旋風のように、一人は左から、もう一人は右から、薄乱刹の横をすり抜けていった。

  薄乱刹は、彼らが通り過ぎるその瞬間、彼らの動きに合わせて体を回転させ、手にした「絶情刃」を素早く振り回した。

  結局、三人は動きを止めた。

  「運が悪かったな、怪我をしてしまった」鎌を持った殺し屋は、背中の傷口から滲む血を撫でた。

  「だが、損はしていない。俺たち二人は、それぞれ一か所ずつ傷を負っただけだ。あいつは防御せず、攻撃を選んだ。だから、俺たち二人の攻撃を受けたわけだ。」斧を持った殺し屋の肩も同様に服が裂け、その下には傷があり、鮮血が服を濡らしていた。

  薄乱刹に至っては、今や両腕に一か所ずつ傷を負っていた。

  「ふふ、俺が傷つくのと、お前たちが傷つくのとじゃ、話が違うんだ。」二か所も傷を負ったにもかかわらず、薄乱刹の表情はむしろ一層、安らぎを帯びていた。

  「そうか。殺し屋として、この程度の傷なら、十分に耐えられる。」鎌の殺し屋は薬粉を取り出し、傷口に振りかけると、歯を食いしばるような表情を浮かべた。

  「些細な傷、大したことはない。」 」斧の殺し屋は、まるで以前から慣れているかのようだった。

  「そして、私にとっては、なおさら気にならない。」薄乱刹は、真紅の刀の柄を握りしめた。彼の体内の白いエネルギーが白き光となり、掌から「絶情刃」へと流れ込んだ。

  その刀は、エネルギーを吸収すると、なんと二本の血の触手を放ち、薄乱刹の二つの傷口へと入り込んだ。

  そして彼の傷口は、その滋養を受けて、あっという間に癒えた。

  「ふふ、お前の『絶情刃』は、やはり傷を癒せるようだな。」

  「それだけではない。」薄乱刹は冷笑を浮かべ、すぐに「絶情刃」を掲げた。すると、刃の上に恐ろしい吸引力が生まれたかのように見えた。すると、二人の殺し屋の傷口から、鮮血がまるで肉体を抜け出すかのように噴き出し、彼らの体は引き裂かれた。

  そして、すべての鮮血は二本の血の蟒へと変わり、「絶情刃」の中に飲み込まれていった。

  二人の殺し屋は、干からびた死体だけが残された。

  薄乱刹は、微傷一つ負わず、軽蔑の笑みを浮かべた。

  「十メートル以内であれば、『絶情刃』に傷つけられただけで、瞬時に体内の血液を吸い尽くされ、即死する。」

  「これこそが、中級宝器の威力だ。」

  一方、遠く離れた建物の屋根の陰に潜む問刀も、この一連の出来事を察知していた。

  「どうやら、薄乱刹に勝つのは、かなり難しそうだ。彼のランクも、宝器も、私より上だ。」問刀は分析した。

  

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