咲良蒼真視点3
試合は、もちろん初戦敗退っす。
「ちょっと! 何で負けてんのよ!」
怒鳴る剣道部主将。
自分達は、説明する権利を今回持っていないので、黙ってるっす。
「答えなさいよ! こっちは金払ってんのよ!」
「……それ、大声で言っちゃ駄目でしょ」
「煩い! 負けておいて偉そうに!」
「にゃに騒いでんの?」
間の抜けた声に、胡桃先輩と同時に振り返る。
笑顔の迅先輩。
手には一升瓶。
「兄貴、遅い」
「いやー、まさかこんにゃに早く終わるとは」
「木羽! 何で負けてんのよ! 説明しなさいよ!」
あ、主将と迅先輩は同学年っす。年齢は違うけど。
「説明は、こちらの方から聞いてください」
迅先輩が道を開けると、鳴海さんと美琴が歩み寄ってきた。
「ご機嫌よう。剣道部主将さん」
「…………誰?」
おう。滅びの言葉。
「……あのにゃ、主将さん。理事会全員とは言わにゃいけど、理事長と副理事の顔くらい覚えようにゃ……」
「こちらは、涼風学園高等部、副理事長の柊鳴海さんです」
母親をさん付けで呼ぶって、どんな気持ちっすかね。
学校内では、母って言っちゃいけないみたいっすけど。
余談として、学園の各部ごとに、理事会メンバーは異なるっす。
学園全体のトップは学園長と呼ばれてるっす。
「さて、紹介が終わったところで。今回は私の一存で負けてもらいました」
「だから、その理由を……」
「連帯責任って言葉、ご存じ?」
食いぎみに、鳴海さんの一言。
「そこのオカマ、剣道部じゃないでしょう?」
「……な、何のことかしら」
「キモい」
一刀両断。
鳴海さんは、胸ポケットから一枚の紙を取り出した。
……訂正。谷間から。




