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お前の全てを奪ってやったぜ。と言われたがほとんど無傷な俺はどうすればいいの?悲しむマネをすれば満足してくれるのか?  作者: 月鈴
第七章 幸せの形・不幸の形

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結婚式 Ⅲ

 新領都ソラリス、ソール城前広場で行われている結婚パレード。その式典での当主交代宣言に広場のざわめきが収まってはいないが……さらに式典は進んで行く。

 壇上には新領主となったユリウスとその妻達が観衆の前に立っている。


 ざわつく観衆を左から右に顔を向けて、ようやくここまで来れた事とこれからの事を思いながら口を開いた。


「多くの人に俺達の結婚に歓声を貰えて嬉しく思う。先ほど新領主になったユリウス・フォン・サウスだ。ここでノロケ話を聞きたい者は少ないと思うので、これからのサウス領・新アルブル王国としての決定事項を伝えていきたいと思う」


 先ほどまでは美姫に囲まれてデレデレしていた男とは思えない程の変わりようで、まだ若干十九歳の若者ではあるが責任感と使命感からか、威厳に満ちた顔で話しをする。


「サウス領・新アルブル王国では新たな国を発見した。魔の森の中で二ヶ国発見した。それは古代エルフ族の血を引くエルフィンベル森林国、エルダードワーフ達が住むリサム連峰にあるゾルデ洞窟国。この二ヶ国と友好関係を結ぶ為に使者を出して……そして国交を開く事に成功した」


 ザワザワ……大陸で新たな国家が見つかった。これは大発見で普通のエルフでも数が少ないのに古代エルフは滅びた伝説の種族とされていて、古い文献に登場するだけとされていた。

 同じくエルダードワーフも地上に出る事なく一生を終える種族として古文書に名前だけ載っている。


 まぁ、ぶっちゃけて言うと以前よりこの二ヶ国とは交流があった。ただ、発表をしたのが今回の結婚で各国が集まったこの機会だった。

 新領都ソラリスの誕生で大陸各国が魔の森の覇権を目論む事が予想されていたからサウス領・新アルブル王国と国交がある国だと認知させたのだ。


 現在は両国との間に街道と線路の整備を行っている最中だ。魔の森に国を作れたのはエルフィンベル森林国はアルブル王国と同じで樹木に深い理解があり魔物を寄せ付けない木を発見して栽培。

 その木により国をおおった。今の新領都ソラリスと同じだね。


 ゾルデ洞窟国はその名の通り地下に国がある為、魔物の襲撃がない。生き方がドワーフのイメージのまんまだね。鉱物を掘り、モノを加工して、酒を好み、ヒゲ面のタル体型。


 この両国は失われた技術といわれるモノを独自に継承していて新領都ソラリスにも使われている。そしてこちらからは食料や加工品やコチラの技術などを出している。


「この二カ国を含めた『魔の森経済圏』ではギルドに所属する団体や個人に至るまで全ての活動を許可しない。当面はレギオンのみとする。この日を持ってギルドとの取り引きを全面的に停止する」


 ザワザワ……ザワザワ……先ほどの騒ぎも大きかったがこの『ギルド排除令』が発動された。ギルドに依存してきた国々は慌てる。なにせ、ギルドに所属する限りヨツバ総合商会から物を買う事も売る事も出来なくなる。


 ヨツバ総合商会で取り扱う商品は品質も良く種類も豊富。

 都市部ではギルド員が多いが郊外はそんなに多くない。そんな郊外の特に農村ではヨツバ総合商会の評判はその地を収めている領主よりも良い。

 これは寒村にも行商を派遣して生活を支えているから。

 当然、物の売買もヨツバ総合商会が全て請け負っている。


 そんな寒村自体が都市部の人口を支える食料を生産しているのだ。そう、ギルド員である限りこれからは手に入り辛くなる。事実上のどちらにつくのか? という選択になる。

 これには各国の王族や貴族達は頭を抱えてしまう。

『魔の森経済圏』のみということで一旦は持ち帰る国が多くなっている。


「大事な発表をしたけど、明日行われる大聖堂での誓いを持って俺達サウス領は独自に歩く事になる。でもそれは不当に不利益を押し付けられてきた人達の為に、俺達は立ち上がらなければならない。今も泣いている人達を助ける為に俺達サウス領・新アルブル王国連合は戦うぞ〜」


 新領都ソラリスに集まっている観衆はもとは貧民や孤児達。大人や王侯貴族達に搾取されてきた弱者。

 生まれが貧民や奴隷、平民から落ちた者など様々。それを救ってくれたユリウス達。その日はユリウス達が広場から立ち去った後もざわめきは無くならない。


 民衆は自分達で作っていく国に夢や未来を託して共に繁栄していく事を誓い新しい領主夫妻に忠誠を誓ってドンチャン騒ぎに……

 一方で弱者から搾取してきた権力者達は新たに現れた自分達の地位を脅かす存在に対抗する術を探す。



 翌日、新領都ソラリスにある大聖堂『聖リナ教会』。ユリウスが転生する時に対応してくれた女神様を祀った教会。ユリウスのユニークスキルもこの女神様から貰ったモノだ。

 お礼を兼ねて新領都ソラリスに建てられた。その時に言われた「幸せに」との言葉を貰ったので結婚式は必ずこの教会で行うというのを決めていた。

 婚約者達にも話していて、全員からの了解を貰っている。


 今後、結婚式を行う人はこの教会が式を行うと幸せになれるとジンクスが出来て予約が殺到するが、それはまだ先の未来だ……



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