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お前の全てを奪ってやったぜ。と言われたがほとんど無傷な俺はどうすればいいの?悲しむマネをすれば満足してくれるのか?  作者: 月鈴
第七章 幸せの形・不幸の形

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結婚式 Ⅰ

 月都市ムーンで結婚式までの時間を潰していたが、それもあっと言う間に当日になっていた。


 結婚式は七日七晩続く。まぁ、お祭りみたいなモノだね。領民もこの時間を一緒に楽しんで貰いたいしね。


 首都ソラリスの中央には巨大な城がそびえ立つ。ここは元々小高い丘になっていたのを、丘全体を城にした。


 初日は新領都ソラリスの城門から『ソール城』までのメインストリートをパレード。

 この為に不知火二番隊隊長サミーにゴーレムバスを作って貰ってこれに乗っていく。

 お披露目ってヤツだね。


 『ソール城』は魔水晶で出来ていて太陽の光の加減でキラキラして見える。さらに光を反射してメインストリートは輝いて見えた……この光の道を進んで行くのだ。


 朝早くから領民は何処かソワソワしながら、メインストリートの両端に集まっている。領民のみんなはこの日の為に、精一杯おめかししている。

 衛星都市からも多くの人が集まり、魔導列車は満員電車になっていた。


 各国の代表や関係者は『ソール城』前の広場に席を設けて、そちらからパレードを見ている。


 パレードの開始時刻になり音楽が鳴り始める……青い空には木星都市ジュピターで『テイマー』に飼育されている竜型の魔物『ワイバーン』に乗った騎士が編隊飛行でメインストリート上空を飛ぶ。


 それを合図にゴーレムバスは移動を開始し始める。

 最初にパレードに現れたのは、サウス辺境伯領軍・新アルブル王国軍の連合が足並みを揃えて登場した。

 将来、仕えるべき主の結婚式に先頭で行進出来る誉れに酔わない騎士などいない。

 全員が胸を張り歩いていく。


 続くのは冒険者クラン不知火のメンバー達。不知火『繭』の幼年組も参加している。皆嬉しそうに並んで歩いている姿に歓声がスゴイ。

 それに続くゴーレムバス。そして周りを囲む不知火隊長達。

 隊長達は住民達のヒーロー的な位置づけになり、ファンがも多い。まぁ、隊長達によって種類が別れるけどね。


 そして、バスの上に乗り込んだ俺……ユリウス。

 今日はソラリス最高の針師が仕立てた礼服に身を包んで歓声に答えている。

 その俺の隣には正妻になる翠色の髪を結ってさらにオトナっぽい雰囲気になっているフローラ姫。

 うなじがあらわになり、首のラインにドキドキする。

 そのフローラ姫は魔物のシルクで編まれたウエディングドレスに身を包んで民衆に手を振っている。


「姫様、キレイ〜」「きゃ〜、ユリウス様」「理想の夫婦です〜」「こっちに手を振ってくれた、感激〜」


 観衆が大騒ぎ。さらにネメシア・ユキミ・シャルロットもウエディングドレスを着てユリウスの周りに集まった。


「みんな、もの凄くキレイだよ。全員が俺の妻になるなんて世界一の幸せ者だよ。俺を選んでくれてありがとう」


「ウフフッ、ユリウス様。いえ、今日からは旦那様ですね。私達こそ選んでくれてありがとうございました。良き妻として旦那様を皆で支えていきたいと思いますのでこれからもよろしくお願いしますね」


 代表してフローラ姫から笑顔でお礼を言われた。

 それに続いて他の妻達も頷く。

 あ〜、美しいだけではなくそれぞれが得意な分野で、俺のことを支えてくれるという気迫が伝わってくる……思わず領民の前で泣いてしまうかと思った。


「若様〜、今からイチャイチャしてると夜は大変だぞ〜」「俺もあんなキレイな奥さんが欲しかった……」「お互いに見つめ合って……クソッ、羨ましいくないぞ」「モゲて無くなってしまえ……」


 男衆からはこれは祝われてる? 呪われてる? と言いたくなるような声が掛けられたから……俺は四人を抱き締めて『いえ〜い』と見せつけてやる。


 それに反応する領民達……男衆はマジで泣きながら地面を叩き、女衆は手を取り合って『きゃ〜、きゃ〜』って言っている。


 婚約者全員を寝取られていた俺が今は……こんなにも愛らしい奥さん達に囲まれて、幸せを噛み締められるとはな。


 ちょうどゴーレムバスは『ソール城』前の広場に入った。

 各国の代表や重鎮達は、ゴーレムバスや辺境伯領軍・アルブル王国軍を見て驚愕する。

 軍隊は洗練された動き、ゴーレムバスや魔導列車を始めとした技術力の高さ。人々の活気に圧倒されている。

 そして、自国との差に愕然としていた。


 そこにはタイタニア王国のジメッツ王やアレックス・フォン・ガルフ公爵やタンゴ・フォン・ハーメツ侯爵の姿もあった……それぞれが新領都ソラリスの壮大さに言葉を失ってしまっていた。

 まだ、タイタニア王国ではサウス辺境伯領に対しては、現在でも格下を扱うような対応をしているのが現状だった。


 しかし、ここ新領都ソラリスを訪れてみて、自分達の考えは間違っていた事を痛感させられていた。

 それと同時にタイタニア王国の元貧民が、イキイキと働きこのソラリスで暮らしているということに仰天している。

 タイタニア王国では国民ではないと、弾いていた貧民がだ。


 ある貴族が素晴らしい青年がいたので勧誘をしたのだが……元タイタニア王国の貧民でこのサウス領以外に、行く気持ちが全くないとの答えだった。

 他も同じようで、タイタニア王国貴族と名乗ると露骨にイヤな顔をされてしまう。

 タイタニア王国のネームバリューはこの領地では最悪らしい……悲しみがタイタニア王国の貴族達の胸の中にしこりとして残った。


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