ルナティックパークでハーレム Ⅱ
次はシャルロットとメリーゴーランド 『異世界の車窓より』に二人で乗ることに……このアトラクションは箱型馬車の乗り物に入り車窓の風景を楽しむ。
『異世界の車窓より』で分かるように俺の前世……そう現代の日本の風景を魔法と魔道具で映像を映して馬車の窓から見えるようにした。
メリーゴーランドなので動きはゆっくりだが上下だけでなく左右にも……
シャルロットと並んで座り久しぶりに見る日本を楽しみにしていた。
「シャルロット、これから見える景色が前世の俺が住んでいた国の景色なんだよ。楽しんで貰えたら俺は嬉しいかな」
「きゃ、会長の前世……きっと冷静で、凛々しくて、たくましくて、セクシーで……」
「アハハ、相変わらずシャルロットはメルヘンだね」
「そうでしょうか? 女の子なら白馬の王子様に憧れるのは当たり前ですよ。そして今のこのシュチュエーションは私が愛読する恋愛小説『恋するハッピーチョコレートとメレンゲシュークリーム』の三十七ページにある騎士様と侯爵令嬢の……」
えっ! 何? その糖度が高過ぎて、胸焼けしそうなタイトルの小説は……多分、甘ったるいんだろうな世界観が。
小説を持つ手が震えそう。
まあ、シャルロットが喜んでるからいいかな……
山や海や川などの景色、お寺や神社などの建造物、人々の暮らしや街並みなど……次々と車窓から流れていく景色。
それを見てるシャルロットはキラキラとした眼差しで日本の景色を楽しんでいる。
「これが会長の前世の記憶。すごいです。キレイな建物……あっちの動物はカワイイ。新領都ソラリスにも負けない発展した街並み。これが会長の……」
窓の外を見ながらはじゃいでいる知的美人さん。
ふっ、とイタズラ心が……膝の上に置かれた手を握ってみた。フフフッ、いま『ビクッ』ってなったね。
ここからさらにダメ押しで恋人繋ぎをした。(指と指を絡める繋ぎ方ね)
アレ? 反応が……と思っていたが恋人繋ぎをした手に水滴がいくつも落ちる。
「グスッ、グスッ」
泣くとは思わなかったな。どうしよう〜。
「ごめん、イヤだったかな?」
「グスッ、イヤじゃないです。すいません、会長。私は本当は会長と仲良くしたいのですが……私は見た目が冷たく見られがちです。フローラ様みたいに可愛く無いし、ユキミちゃんみたいにいつも一緒ではないし、ネメシアちゃんみたいに幼馴染ではないので……こんな事をして貰えるなんて思ってなくて……」
「……ユリウスだ。二人きりの時は『会長』じゃなくてユリウスって呼んでくれよ。婚約者なんだからね」
「えっ、えっ。呼び捨てですか? そんなのは恋愛小説『カラメルに搦めたシュガードーナツ』に出てきたあの行為ですよ?」
またスゴイな。俺はその世界で、生きてはいけないだろうな。すぐに水分不足になりそうだね……
「アハハ、もちろん。俺はいつもシャルロットって呼んでいるだろう?」
「はい、最初に呼ばれた次の日にはヨツバ総合商会全店で三十%割引セールをしてしまいましたね……」
めちゃくちゃ私情で割引セールしちゃってるよ〜。
まぁ、それでも割引セールを活かしてちゃんと黒字にするのはさすがだけどね……『商鬼』は伊達じゃないな。
「そうだな。でも、もうすぐ結婚するのに大丈夫か?」
「はわわ〜、そうでした。まるで夢のようで……私のマイバイブル『シロップ漬けの結婚式〜バターたっぷりハチミツ乗せ〜』でも紹介していた憧れの結婚……女の子が夢を見る人生で一番の……」
うん、分かってるよ。ものすごいベタベタしそうな結婚式だね。相当カロリー高そうだけどいいのか?
「……しかし、結婚とは墓場とも言いますね。もしも小説『私も死ぬからアナタも死んで、裏切り者の絶叫』みたいに私が捨てられそうになったら……」
……?
…………?
いやいや、何? その殺意の高そうな小説は。さっきまで、花形の飴が花畑になった丘でチョコレートの泉の隣にあるお菓子の家みたいな糖分しか無い環境だったのに……こわ〜。超怖い。
シャルロットには小説を禁止した方が良いのか?
影響ありすぎて……マジで怖いから。
「まぁ、会長……ユリウスさん(きゃ、言っちゃった)が私を捨てる事なんてありませんわ。そうなるくらいならお嫁さんでもお妾さんでも増やして貰って……」
ああ、俺が何か言う前に自己完結したみたい。ニコニコ顔でメリーゴーランド 『異世界の車窓より』から出ていく。ちょっと疲れた……
まあ、シャルロットがご機嫌だからいいんだけど……何かメモを取ってるな。何だろうか?
まさか小説とかのネタにじゃないよね?
シャルロットが書く小説とかイヤな予感しかないな……
分かるまでは放置しかないかな。
次はお化け屋敷 『アンデットバスター』をミリアンとだな。
珍しくミリアンが俺に「……これやりたい……」って言って来たからな。
チラリと見ると相変わらず眠そうだが何処かウキウキしているようにも見えるな。




