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お前の全てを奪ってやったぜ。と言われたがほとんど無傷な俺はどうすればいいの?悲しむマネをすれば満足してくれるのか?  作者: 月鈴
第七章 幸せの形・不幸の形

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エリザベス第二王女

【エリザベス視点】


 エリザベス・デ・タイタニア……現タイタニア王国の国王ジメッツとメイドであった母親パオラとの間に生まれた。

 母親は下級貴族の出身だが側室になる事で不遇な扱いは受けずに済んだ。エリザベスは母パオラから幼い頃より王国に感謝して王家の為になるように言い含められていた。


 その中でサウス領の嫡男との婚約話が出ても不満は無かった。それがお父様の……いえ、王家の為になるのなら。

 幼いながらも家の為に尽くす、貴族女性としての生き方を受け入れていました。

 それなりにユリウスとは仲良くしておりましたが……恋とは少し違います。


 婚約者ユリウスは十才になり職業判定で『転職者』という職業になり状況が変わったように思います。

 この職業はユニーク職業と呼ばれ世界でたった一人の職業らしくユリウスの価値は跳ね上がり、(わたくし)の……ひいては王家の名声になってくれるものと期待しておりました。

 しかし、このユニーク職業は期待した程の成果が出ないと分かると周りから批判をされ王家の名も、(わたくし)自身の生き方を否定されている思いでした。

 そこからは(わたくし)の気持ちはユリウスから勇者ワルツに移っていく。『勇者』ならば王家にとっても価値がありますから。


 王女としてもエリザベス個人としても勇者ワルツは(わたくし)承認欲求(しょうにんよっきゅう)を満たしてくれるものでした……そう、あのユリウスを勇者パーティーから追放する場までは。

 まさか、あのユリウスが私達勇者パーティーが憧れていた不知火(しらぬい)のメンバーどころか総隊長? しかも世界一の大商会、ヨツバ総合商会のオーナーでもあったのです。

 もしも、ユリウスと結婚出来ていたらタイタニア王国は間違いなく大陸……ううん、世界統一も出来たでしょうね。


 でも現実は逆で私達勇者パーティーはあの時以来、貴族達にも平民達にも評判が悪くなっています。

 タイタニア王国の各領地ではヨツバ総合商会から武器・防具や魔道具など兵器になる物の販売自粛になり、贅沢品なども手に入らなくなってきてますね。

 手に入ったとしても辺境伯領から来る品物は全てに関税が掛けられて、タイタニア王国は余分なお金を払わなければならなくなりました。

 人々の不満も溜まっていく……(わたくし)の王国が……


 そして、イスマリ王国・ハマト王国との戦争が始まりました。ユリウス抜きでの本格的な戦闘になればなるほど勇者パーティーはユリウスの支援に慣れていたのを感じます。

 それでも状況を五分に戻す事が出来たが決定的にはなれなかった。

 そして、戦いが長引くにつれてユリウスがしてくれていたサポートのありがたみが良く分かりますね……

 多分、全員が同じ事を思っているのでしょうね。

 だからなのか誰もユリウスの事を話しません、もちろん(わたくし)も……


「やっぱり辺境のヤツラがいないとな……勇者様達がいくら強くてもイスマリ王国・ハマト王国は数がいるからな。辺境伯嫡男を追放なんてするから……」


「そうだよな〜。王家も絡んで追放したらしいぞ。前線で戦う俺達に、危険を押し付けるなよな」


 兵士達の会話が聞こえてきました、普段なら不敬罪ですが今は戦乱の世……兵を失うわけにはいきません。それでも、王家が一般兵に文句を言われる事になるとは……もうすでにいくつかの自国の領土を失っています。これ以上は……

 守りたかった物を自分の過ちで無くしてしまいました。

 王国の民が多く命が失われ、今現在も命を脅かされてる人々もいるでしょう。


 自分の選択が招いた結果が現状の戦争でした。

 当然、お父様から勇者ワルツにするように言われたが、選んだのは(わたくし)自身です。

 全ての責任を負うのも王家に生まれた者の務めではありますね。

 それでも、これからの王国を思うと……


(わたくし)のやってきた事は無駄だったのかしら? 王国の為になるはずでしたのに……」


 日に日に痩せていくお父様、お城で陰口を叩かれているお母様、その態度から女性だけでなく男性からも嫌われてしまったお兄様(エラソン王太子)


「どうすれば良いのですか? どうすれば良かったのですか?」


 自問自答ばかりでイヤになる。まずは目の前の敵を追い返してから。それが一番王国の為になるはずです。

 戦いの毎日もそれほど続かなかった……

 空から飛空艇が現れて両軍をまとめて……すぐに停戦してしまった。

 凄い!! 素直にそう思える。

 飛空艇は世界に二機しかない。ヨツバ総合商会だけが所有する乗り物。


「ユリウスなの? タイタニア王国を戦乱から救ってくれたのは?」


 そこには、将来のお義母様になるはずだった、現辺境伯夫人のアリス・フォン・サウス。

 そして、衝撃の事実が告げられました。


「皆さん、ユリウスちゃんから結婚式の招待ですわ。もちろん強制ではございませんが……出席して貰える方は飛空艇に乗ってくださいな。新首都ソラリスへご案内させてもらいますわ」


 結婚式? 新首都? 

 今まで戦いの中にいたのですぐには切り替えが出来なかった……

 全員が状況を飲み込めないまま、飛空艇に乗り城砦レーナーバラクを後にしました。

 後から聞いた話しでしたが、タイタニア王国は攻略された三領土をイスマリ王国・ハマト王国に譲渡して十年間の停戦となったようです。


 これをまとめてくれたのもユリウスなの? (わたくし)が捨てた婚約者に救われたのかしら……


 飛空艇から流れるように見えるタイタニア王国の景色はとても美しく、壮大だった。ユリウスに感謝するのと同時に結婚式と聞いて胸の奥が『チクリ』と痛んだのはナイショだわ。

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