崩落する坑道での戦闘
ゾルデ洞窟国を悩ませているメタルワームの討伐依頼を受けた俺達は、採掘を再開させる為に坑道の奥にまでやって来た。
そこはメタルワームの生活圏になっているようで本筋の広い坑道の他にも、横穴が多くいつ崩落しても可笑しくはない状況だった。
みんなで被ってあるヘルメットにあるように、『安全第一』といきたいものだ。
メタルワームを取りこぼさずに狩り尽くす為に、誘き寄せて一網打尽にする作戦を実行する。
その為に酒場で聞いた音に反応したという情報をもとに、色々試したがなかなか成果が出なかった。
音だけじゃないのかも……
「目が見えないメタルワームなら音以外だと、振動か熱あたりかな? よし試してみよう……」
まずは……振動は崩落の可能性から少し避けたいから、まずは熱から試してみよう。
油を染み込ませた布を燃やして投げ込む。
少し地面が動くが反応が悪いかな。でも熱だけではダメらしいな。
ならば振動かな?
「サミー、『剛鎚星割』で壁を叩いてくれ。あっ、触れる程度に優しくね」
サミー専用武器『剛鎚星割』……世界一硬い鉱物アダマンタイトと、爆心龍デモゴ=ルスの素材で作られた武器。サミーの二つ名である『破城』と言われるようになったのは、この武器でお城を直接攻撃した事があったから付いた名だ。
そう、お城を直接叩いて攻撃する強力過ぎる打撃力をこんな坑道で使うと……ねぇ。
だから優しくなんだよ。
「ん? ボクがやるの? いいよ」
壁に向かって片手に持った『剛鎚星割』でチョンと触れる。この鎚は爆心龍デモゴ=ルスと呼ばれていた、特殊な龍の素材を使っている。この素材で作られた鎚は触れたモノを、振動と熱で揺らして破壊する。まさにメタルワームを誘き寄せるのにうってつけ。
『ドッカーン』少し触れただけだがスゴイ威力だね。
サミーが専用で自分用に作っただけはあるね。
さてさて……
「ご主人様、来ます」「貴方様、来ますわ」
ユキミとエリアから敵の襲来を告げられた。
ひょっとしてメタルワームが集まって来たりは……やっぱりするよね。
「一、二、三、四……七。全部で七匹のメタルワームかぁ。みんな出来るか?」
「「「はい」」」
それぞれがメタルワームと戦い始める。さて、俺も久しぶり実戦だ。しかも暗いし狭いし崩れそうだし。こんだけの悪条件での戦闘もなかなかないよね。
まぁ、文句を言ってても状況は変わらないし俺は速攻で終わらせる為に二振りの短剣を取り出す。この限られた空間で戦闘するのに長い得物では不利だと思い、手数重視の短剣二刀流だ。
ユリウス専用武器『ディアルナイフ天空と大地』。
手数を稼ぐ為の軽量化と頑丈な強靭さという、相反する特性を突き詰めて作られたユリウス専用の武器。
俺は魔闘気『纏』で自身の身体能力と武器性能を強化してメタルワームに突っ込んだ。
足元に魔力を溜めて爆発的な瞬発力にする『縮地』でのヒット&アウェイでキズ付けて行くが……外皮が硬い。魔力を纏った俺の専用武器でも、カスリキズぐらいしかつかない。
他のみんなも苦戦しているみたいだ。ユキミはその素早さから、今の俺と同じような戦い方をしている。
エリアは風魔法と弓を上手く使いながら遠距離攻撃を一方的に叩き込んでいるがメタルワームが硬い為に、なかなかダメージになってない。
サミーが唯一ダメージを与えているが武器が特殊な為に、この状況下で全力で武器を振るえない。
「なかなかのハードな状況だな。全員がバラバラで戦っても状況を打破できなさそうだ。ならば……ユキミ、エリア、サミー」
全員が俺のもとに集まる。連携して戦うつもりで集結したが、メタルワームは攻撃された痛みや苛立ちから暴れまわる。巨体なメタルワームが暴れまわる事により、そこら中が天井が崩れ山自体が揺れているようだ。
「くそ、ヤツら俺達を生き埋めにするつもりか。俺が山を支えるからユキミが撹乱、エリアが足止めと牽制、サミーがトドメだ。全力でヤレ。俺がお前達を無事に坑道から出してやる。信じろ」
「ご主人様」「貴方様」「マスター」
一瞬驚いた顔をしたが、流石は隊長だ。すぐに切り替えて、言われた指示を全力で行う。
俺は魔力を全開にして土魔法を駆使して崩落を全てを、受け止めて修復して強化していく。
ユキミはメタルワームの前に立ち攻撃を躱して、カウンターを叩き込む。エリアはユキミが囲まれないように、ヘイト管理と足止めを徹底している。
サミーは『剛鎚星割』を構えて自分の魔力を込めた一撃を、エリアが牽制して足止めしたメタルワームに叩き込む。
一匹、また一匹とメタルワームを倒していく。いくら硬くても『剛鎚星割』の材料となった爆心龍デモゴ=ルスの素材は、爆発と振動を与える破壊の力。
メタルワームも耐えられないが、崩落を支えている俺の魔力もゴッソリと無くなっていく。
全く、女の子を支える男って言うのも、いつも痩せ我慢だよな。
でもな……やり抜くからこそ俺は彼女達の上に立ってられるんだぜ。なぁに、大丈夫さ。俺がカワイイ女の子を、生き埋めなんてさせるワケねーだろう。
不知火総隊長の意地を見せてやるさ。




