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お前の全てを奪ってやったぜ。と言われたがほとんど無傷な俺はどうすればいいの?悲しむマネをすれば満足してくれるのか?  作者: 月鈴
第八章 現れる悪意

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嫉妬と妬みの果てに……

【エラソン王太子視点】


 サウス領新領都ソラリスに到着してからその発展ぶりを直に見て、さらにそこに暮らしている人々の生活ぶりを目の当たりにして……驚いた。


 ヤツラは我が国にいた貧民と呼ばれていたタイタニア王国のお荷物だった者達がほとんど。それが、我が国によりも豊かな暮らしになっている。

 これがユリウスが求めていたモノの答えなのか?


 やはりユリウスと自分を比べてしまう。タイタニア王国の王太子として、今まで積み上げられてきたモノは……私の力で勝ち取ったモノなど、わずか。


 大国の王太子だからと集まった人・物・金。

 どこにも私個人の成果が無いんだ。

 もっと言うとタイタニア王国王太子という肩書があれば……私でなくてもいいんだ。

 ユリウスから奪い取ったミリアンも、アルメリアも、本当に見ているのはユリウス。恐らくはエリザベスもだ。



『ユリウスには敵わない。ユリウスが一番。ユリウスにしか出来ない。ユリウスじゃないと』


 ああ……

 ウルサイ……

 分からない……

 分かりたくない……

 何で私ではダメなんだ……

 どうしたら勝てるんだろう……

 いつまで比べればいいんだろう……


 最近はずっと、これの繰り返しだ。

 ユリウスに対して嫉妬と妬みが身体中を流れる、血管から細胞の一つ一つに行き渡り染み込んでいく。


 そう思っていたのに……

 いつくらいだろうか? 恐らくは戦争前にサウス領で鍛えていたくらいだろうか。


『もう、追いつけないよ。いつまで走り続ければいいんだ。歩いちゃおうよ。止まっちゃおうよ。違う道を進もうよ。引き返そう』


 誰だ! この私に負けろと言うのか?

 私こそは偉大なタイタニア王国の王太子だぞ。

 それを尻尾を巻いて逃げろと? 不敬だぞ。

 まだ私も終わりではない。ここから始まるんだ。


 そう、私はタイタニア王国東部最大の城砦レーナーバラクを守りきった。私の見事な采配のおかけで守りきれたというのに……兵達の一部では王家に対しても文句を言う始末。

 王家の威信を保つ為にも厳しく対応したつもり。

 それも兵達だけでなく将達も反発を招いていただけに終わった。結局はサウス領に亡命されてしまった。


 そして、ダメ押しでこの都市群だ。

 武力も、内政力も、人間力も、資金力も、行動力も、決断力も、全てにおいて私はユリウスに劣っていたのだろうか?

 周りもその事に気づいているのだろう。

 私の存在意義がドンドンと薄れていく。

 まるでレイスなどの霊体系の魔物みたいに身体が透けて見えるように……感じてしまう。


 もう、面倒だ。タイタニア王国は私の代で終わってしまう。もう、巻き返す事が出来ないのだろう……

 そしてこんな考えになっていく。

 まさしく諦めなんだろう。男としても、人としても、その土地を治める者としても。


 せっかく手に入れたミリアンもアルメリアも最近では私の部屋に来ることもない。全く、私の女になったのを理解出来ていないのだろうか?

 まさか? アレックス・フォン・ガルフ公爵がタイタニア王国を裏切る算段をしているのではないか……


 アルメリアは何故だ? コイツは私の所以外に行く所が無いはずだ……かといって私にすり寄って来るわけでもない。むしろ離れたがっている節まである。

 まだミリアンもアルメリアも婚約者ではないが、どうなっているのだ!


 イライラしていたのは認めよう。私も悪かったとは思っているが……

 さらに追い打ちのように最先端リゾートホテルの『ロイヤルスウィート』だ。

 ユリウスのイヤミなのか? 私に見せつけたいだけなのだろう……女達を盗られたからとこれ見よがしに自慢している。


 それをエリザベスも、ミリアンも、アルメリアも……


「ユリウスは凄いわね〜」「……ご飯も美味しかった……」「キレイですね。こんな所に泊まれるなんて……」


 先ほどから、女達は何かあれば……『ユリウスは……ユリウスが……ユリウス、ユリウス』とばかり。

 私もワルツもヤツより劣っていると、言いたいのか? ワルツも良い気はしてないみたいだな。


「そんなにユリウスがいいのか? アイツがタダの荷物持ち兼雑用の男だと、お前達も追い出したのではないか……今さらを言い出しても、遅いであろう。ユリウス、ユリウスと五月蝿くてかなわん。なぁ、ワルツよ」


「そうだな。俺達はアイツを追い出したんだ。いい加減ハラを括らないと。もう、仲間じゃない」


 そうだな、ワルツの言う通りだな。女達は現実を、もう少し見たほうがいい。もう、戻れないのだから。

 それを嘆いているだけムダではないか……

 まさに女々しい……


「私達は凄いしか言ってないじゃない。勝手に劣等感を抱いてるのは貴方達でなくて? 馬鹿にしていた人が自分達よりも優れていたのを受け入れられないだけじゃない……」


「そうですね。実際にユリウスは何でも出来ますし……私は認めてますよ。自分が愚かだったと。本当なら……私達が……」


「………………」


 ……私達がなんだ? 結婚式は自分達がするはずだったとでも言いたいのか? 私達が悪かったと……

 コレにはワルツも怒っていた。それはそうだろうな。

 次の日からは女達とは別行動。

 私とワルツは月都市ムーンに、気晴らしに出かける事にした。娯楽都市だし良い気分転換になるはずだった。

 そこで、まさかのハニートラップに引っかかるとは……






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