第六話:みこと外部マネージャーと雇用形態
ホロライブ事務所の応接室。
主人公は、湯気の消えたたい焼きの袋を机に置きながら、深刻な表情で神楽坂さんに向き合っていた。
「神楽坂さん…そろそろ私も限界なので、就職活動に専念してよろしいでしょうか?」
神楽坂さんは一瞬、書類から顔を上げて目を細めた。
「限界…とは、どういう意味でしょう?」
「金銭的な意味です。実は…この3か月、みこちから一度も給料をもらっていません」
「……え?」
神楽坂さんの手が止まり、空気が一瞬静まり返る。
「みこさんに雇われていると聞いていましたが…契約書は?」
「口約束だけで、正式な契約は結んでいません」
「報酬の支払いは?」
「たい焼きです」
「……たい焼き?」
主人公は、机の上の袋を指差した。
「毎日、これを“報酬”として受け取っています」
神楽坂さんは無言で書類を閉じ、立ち上がった。
「みこさんを呼びます」
みこちはたい焼きをかじりながら、応接室に現れた。
「呼ばれたにぇ~。がいぶまねーじゃーが元気ないって聞いたにぇ」
「みこち、給料の話なんだけど…」
「え?たい焼き、足りなかったにぇ?」
「いや、たい焼きじゃなくて…現金の話」
「現金…?でも、みこの給料はホロライブから出てるにぇ?だから、がいぶまねーじゃーの分もホロライブが払ってると思ってたにぇ!」
神楽坂さんが目を見開いた。
「みこさん、それは違います。あなたはホロライブの所属タレントですが、外部マネージャーはあなたの“個人雇用”です。ホロライブは関与していません」
「にぇぇぇぇぇぇ!!」
みこちはたい焼きを落とし、床に崩れ落ちた。
「みこ、完全に勘違いしてたにぇ…!がいぶまねーじゃー、ただ働きだったのにぇ!?」
「そういうことになります…」
「みこ、たい焼きで満足してると思ってたにぇ…」
「たい焼きは美味しいけど…生活費にはならないからね」
神楽坂さんは、冷静に書類を差し出した。
「このままでは労働基準法違反です。正式な雇用契約を結び、報酬を支払う必要があります」
「みこ、たい焼きじゃダメなのにぇ…?」
「ダメです」
「じゃあ…たい焼き+現金にするにぇ!」
「それは…福利厚生としてなら認められます」
その後、ホロライブ法務部が緊急対応。
主人公の雇用契約が正式に整備され、給与体系も決定された。
「月額報酬は…」
「たい焼き換算だと…何個分なのにぇ?」
「現金で支払ってください」
「にぇぇぇ…たい焼きで払えないのにぇ…」
みこちは涙目で契約書にサインした。
「みこ、がいぶまねーじゃーにちゃんと給料払うにぇ…!」
「ありがとう、みこち」
「でも、たい焼きは“愛情”として毎日渡すにぇ!」
「それは…ありがたくいただきます」
すいせいが後ろからぽつりとつぶやいた。
「みこち、ようやく社会の仕組みを学んだね…」
「みこ、たい焼きで生きていけると思ってたにぇ…」
「それ、アイドルとしては夢があるけど、マネージャーには現実が必要だから…」
こうして、外部マネージャーの“たい焼き報酬時代”は終わりを迎えた。
でも、みこちのたい焼きは――これからも、報酬とは別枠で続いていくのだった。
その夜。
主人公は初めての給与明細を手に、静かにたい焼きをかじっていた。
「これで…たい焼き以外も食べられる…」
「でも、みこのたい焼きは“特別”なのにぇ!」
「うん。それは…報酬じゃなくて、絆だね」
みこちは満面の笑みで、たい焼きを差し出した。
「じゃあ、今日の“絆たい焼き”にぇ!」
「ありがとう、みこち」
主人公はそれを受け取りながら、心の中で思った。
「この仕事…やっぱり、悪くないかも」




