第二十四話:谷郷と外部と晩酌と(ホロメン視点)
今回の生配信は、外部が一人で企画したものだった。谷郷はただ外部と晩酌をしているつもりで、配信されていることを知らない。視聴者はホロメン達だけ。彼女たちはDiscordのボイスチャンネルに集まり、谷郷の無防備な言葉を聞いていた。
「俺は、経営者として失敗も多かった。でも、ホロライブを信じてくれる人達がいたから、続けてこられたんだ。」谷郷は酒を片手に語る。その言葉は飾り気がなく、素直な本音だった。彼は外部と差し向かいで飲んでいるだけのつもりだった。しかし、その声は配信を通じてホロメン達に届いていた。
「やごうは変わってないにぇ…」みこちが呟く。安堵と涙が混じる声だった。
「この間は強く言い過ぎたかな?」星街は反省を口にする。自分の言葉が谷郷を追い詰めてしまったのではないかと胸が痛んでいた。
「ごめんよーーー谷郷!!でも、ボクはここではもう出来ないんだよ!!」かなたが叫ぶ。谷郷の気持ちを聞いて嬉しくはあったが、自分の心の限界を感じていた。
「かなた!!辞めるのやめろ!!」ポルカ、ルーナ、団長が必死に引き止める。声は涙混じりで、仲間を失いたくないという思いが溢れていた。
「あの小さかった事務所が懐かしいね…」誰かが呟くと、皆の心に走馬灯のように過去の記憶が蘇る。
がむしゃらに走った0期生、1期生、2期生、そしてゲーマーズ。伸びずに辞めようかと思った時もあった。それでも皆がいたから、ここまでこれた。
3期生、4期生、5期生が入り、Vtuber市場も地位も上がっていった。
「みんなが頑張ってきたから、今のホロライブがあるんだ!!」誰かが叫ぶと、全員がその言葉に頷いた。
そしてholoX、海外勢、ReGLOOS、FLOW GLOWが加入し、さらに躍進を遂げた。
「なぁ、みんな、せめて谷郷の事は信じよう!!」スバルが呼び掛ける。その声は力強く、皆の心を揺さぶった。
酒を酌み交わしながら、互いの胸の内を語り合う。
「俺は、経営者としての顔ばかり見せてきた。でも、本当はただの人間なんだ。みんなに支えられて、ここまで来ただけなんだ。」谷郷がグラスを傾けながら呟く。
外部は笑いながら答える。「それでいいんだよ。強い言葉よりも、弱さを見せてくれた方が、みんな安心するんだ。」
ホロメン達はそのやり取りを黙って聞いていた。視聴者は彼女たちだけ。だからこそ、経営者の素顔を知ることができた。
しかし、谷郷はまだ配信されていることを知らない。その事実が伝わるのは、みこちが怒りの電話をかけた瞬間だった。
「てめぇ!!やごう!!みこのがいぶまねーじゃーを取ろうとするなんて、いい度胸だな!!」怒りの声が響く。谷郷は一瞬言葉を失った。
「……え?配信?俺の声が、みんなに?」
外部は苦笑いを浮かべながら必死にフォローする。「みこち、俺は…谷郷の本音をみんなに知ってほしかっただけなんだ。谷郷だって本気じゃないさ…」
谷郷はグラスを置き、深く息を吐いた。「そうか…俺は知らなかった。みんなに聞かれていたなんて。でも、もう隠すことはない。これが俺の本音だ。」
ホロメン達はそれぞれの思いを胸に、再び声を合わせる。「谷郷、信じるよ」「これからも一緒に頑張ろう」
外部はその姿を見て、心の中で呟いた。「この物語は、まだ終わらない。ホロライブは、これからも続いていく。」
その晩、配信が終わった後も、ホロメン達はDiscordのボイスチャンネルに残っていた。彼女たちはそれぞれの思いを語り合い、これからのホロライブについて真剣に考えていた。
「やっぱり、谷郷の言葉には重みがあるね。経営者としてだけじゃなく、一人の人間としての本音が伝わってきたよ。」スバルが静かに言った。
「そうだね。私たちももっと支え合わないといけない。これからも一緒に頑張ろう。」Azukiが微笑みながら答えた。
「かなたの気持ちもわかるよ。辞めたいと思うこともあるけど、やっぱりホロライブは私たちの居場所なんだ。」ポルカが優しく語る。
「ホロライブを思うからこそだよね。私たちももっと強くなろう。」星街が決意を新たにした。
彼女たちはそれぞれの思いを胸に、これからのホロライブを支えていくことを誓った。
谷郷は一人で事務所に残り、静かに考えていた。彼の心には、ホロメン達の声が響いていた。
「俺は一人じゃない。みんながいる。これからもホロライブを守っていく。」そう心に誓い、彼は新たな決意を胸に歩み始めた。
ホロライブの未来はまだ見えない。しかし、彼らの絆と信頼があれば、どんな困難も乗り越えられるだろう。
物語は続く。新たな挑戦と共に、ホロライブはこれからも輝き続けるのであった。




