第一三話:みこと外部マネージャーと新居探しへと
ホロライブ事務所・応接室。
外部マネージャーの再契約に伴い、住居・車両・勤務体系などの見直しが進められていた。
「現在の住居はホロライブ側で買い取り処分。税務・ローン関係もこちらで調整します」
「新居は外部マネージャーさんが購入。ただし、現在のローン支払い額を上限として、住居手当で補填します」
「車両はみこさんが購入し、維持費もみこさん負担で」
神楽坂さんと法務部の担当者が淡々と説明する中、みこちは真剣な表情で頷いていた。
「みこ、がいぶまねーじゃーが安心して暮らせるように、ちゃんと責任持つにぇ!」
外部マネージャーは少し苦笑しながら、こむぎの写真が載ったスマホ画面を見つめていた。
「こむぎも、もう少し広い部屋でのびのび暮らせたらいいですね」
そして始まった新居探し。
条件は明確だった。
•通勤時間30分以内
•ペット可
•静かな環境
•購入物件であること
•予算は現ローン+手当の範囲内
だが、現実は厳しかった。
一軒目は駅近で綺麗だが、ペット不可。
二軒目は広くて静かだが、通勤に1時間以上。
三軒目は予算内だが、周囲に生活施設が乏しく、みこちが「たい焼き屋がないにぇ…」と落胆。
四軒目は理想的だったが、購入者の職業が“個人契約のマネージャー”ということで、管理組合からNG。
「みこ、たい焼きより難しい選択肢にぇ…」
「たい焼きは関係ないから」とすいせい。
「でも、がいぶまねーじゃーが快適に暮らせる場所、みこ、絶対見つけるにぇ!」
外部マネージャーは、みこちの横顔を見ながら思った。
「この人の“本気”って…たい焼き以上に熱いんだな」
そして、五軒目の内見後――
みこちは突然、目を輝かせて叫んだ。
「みこが一緒に住めばいいにぇ!!」
「……え?」
「がいぶまねーじゃーが遠くに住むなら、みこが一緒に引っ越せばいいにぇ!そしたら送迎もいらないし、朝も夜もすぐ会えるにぇ!」
「いや、それはさすがに…」
「みこ、がいぶまねーじゃーの健康のために本気なのにぇ!」
その日の夕方。
「聞いたわよ、みこち」
星街すいせいが、事務所の廊下で腕を組んで立っていた。
「がいぶまねーじゃーと一緒に住むって、どういうこと?」
「すいちゃん!?なんで知ってるのにぇ!?」
「神楽坂さんから連絡が来たの。『みこさんが暴走している』って」
「暴走じゃないにぇ!みこは真剣に考えてるにぇ!」
そこへ、神楽坂さんも現れた。
「みこさん、同居はさすがに問題があります。契約上も、プライバシーの観点からも、リスクが高すぎます」
「気持ちはわかるけど、仕事と私生活の線引きは大事よ」
「……」
みこちは唇を噛みしめた。
そのとき、神楽坂さんが一枚の資料を差し出した。
「実は、条件に合うマンションを一つ見つけました。ここなら、みこさんの家にも近いですし、みこさんが引っ越す必要もありません」
「にぇ!?そんな物件あるのにぇ!?」
「ただし…このマンション、もともと“業務関係者の居住”はNGだったんです。ですが、私が管理会社に掛け合って、特例として許可をいただきました」
「神楽坂さん…交渉力すごすぎなのにぇ…!」
「間取りは2LDK、ペット可、価格も予算内。通勤時間は15分圏内です」
外部マネージャーは資料を見ながら、静かに頷いた。
「……ここ、いいですね。通勤も楽になりますし、こむぎも快適に過ごせそうです」
「みこも、すぐ遊びに行けるにぇ!」
「それは…ほどほどにお願いします」
「じゃあ、みこも同じマンションに引っ越すにぇ!!」
「えっ!?」
「みこ、隣の部屋にするにぇ!壁越しに“がいぶまねーじゃー元気?”って言えるにぇ!」
「それ、壁ドンじゃん…」
神楽坂さんは一瞬沈黙した後、静かに言った。
「……みこさんの部屋については、また別途交渉します。まずは外部マネージャーさんの新居を確定させましょう」
こうして、数々の攻防を経て――
外部マネージャーの新居は、神楽坂さんの提案したマンションに決定した。
みこちは満面の笑みで、拳を握りしめた。
「みこ、がいぶまねーじゃーの隣に住むために、今度はみこの部屋を探すにぇ!!」
「まだ終わってなかった…」
外部マネージャーは、密かに思った。
「この仕事…やっぱり、静かな日は来ないな…」
でも、みこちが笑っているなら――それでいい。




