第一二話・裏:おうちたんけんなのにぇ!
外部マネージャーの家に来た理由は、実はもうひとつあった。
「法務部から言われてた書類、家に置いてあるかもしれないんです」
「じゃあ、がいぶまねーじゃーが探してる間に、みこたちはおうちたんけんするにぇ!」
「私は“副隊長”でいいや。こむぎは案内係ね」
こむぎはすいせいの足元にすりすりしながら、静かに廊下を歩き出した。
「おっ、こむぎが先導してる。賢いね」
「みこもついていくにぇ!」
リビング、キッチン、居間、寝室――
すいせいは興味深そうに棚を眺めたり、観葉植物を指でつついたりしていた。
「意外と片付いてるね。もっと生活感あるかと思ってた」
「たい焼きの空箱がないのが不思議にぇ」
「それ、みこちの家じゃん」
こむぎは静かにすいせいの後ろを歩き、みこちはその後ろをついていく。
そして――
「……この部屋は何なのにぇ?」
「物置かな?」
こむぎは部屋の前で一瞬立ち止まり、耳をぴくりと動かしたあと、静かに方向を変えて廊下の奥へと歩いていった。
「……こむぎ、入らないのにぇ?」
「なんか…空気が違う気がする」
みこちはドアノブに手をかけ、そっと開けた。
部屋の中は真っ暗だった。
ふたりが一歩踏み込んだ瞬間――
「ピッ」
センサーが反応し、部屋の中がライトアップされた。
そこには――
周年ごとに整然と並べられた、ぺこらの記念グッズの入ったガラスケース。
ぺこらのぬいぐるみ、アクリルスタンド、限定Tシャツ、直筆サイン入りポストカード。
「……」
「……」
「……ぺこらの…押し部屋なのにぇ……」
「これ…完全に“ぺこら信者の祭壇”じゃん…」
ふたりは部屋の中をじっと見渡した。
「……ねえ、みこち」
「ん?」
「ここにあるのって、ぺこらの周年記念グッズだけじゃない?」
「……にぇ?」
「私のグッズ、ひとつもないんだけど」
「みこのも…ないにぇ……」
「この前あげたにぇ!?なんでないのにぇ!?」
「この前あげた、サイン入りポスターは!?」
そのとき――
「みこちさん、すいせいさん、書類見つかりました――」
主人公が部屋の前に現れた。
ライトアップされたぺこらグッズの祭壇の前で、みこちとすいせいがゆっくりと振り返る。
「……」
「……」
「……」
「がいぶまねーじゃー……これは……」
「違うんです!これは…その…記念品の保管で…!」
「みこ、知ってるにぇ…これは“推し部屋”なのにぇ…」
「すいちゃん…どうするにぇ…?」
「とりあえず…言い訳を聞いてみようか?」
みこちとすいせいは、じりじりと主人公に詰め寄る。
「みこのグッズは何処にあるにぇ?」
「私のライブポスターは?」
「えっ!?あの…これは…最近色々あったのでまだ…!」
「この間のコラボの時に貰ってたサイン色紙とチェキは飾ってあるにぇ!!」
こうして、“おうちたんけんたい”は、予想外の粛清劇を経て、無事(?)任務を終了したのだった。




