第九話:みこと外部マネージャーと最押しと(対決編)
ホロライブ事務所・キッチンスタジオ
「がいぶまねーじゃーの“最押し”を決めるにぇ!!」
みこちの突然の宣言に、場が凍りついた。
「えっ…何の話?」
「ぺこらと勝負するにぇ!!」
「いや、なんでそうなるペコ!?そもそも外部マネージャーって誰ペコ!?」
「みこのマネージャーなのにぇ!でも、ぺこら単推しって言ってたにぇ!!」
「まぁ、マネージャーが誰だか知らないけど、見る目があるペコ」
「でも、みこは負けたくないにぇ!!」
「……ふーん」
そのとき、すいせいが腕を組んで立ち上がった。
「じゃあ、私も参加する。最押しがぺこらって…ちょっと納得いかないし」
「すいちゃん!?参戦するのにぇ!?」
「私、ただみこ先輩と久々にコラボできるって聞いて来ただけペコ!」
「勝負内容は…“家庭料理・肉じゃが”にぇ!!」
「なんで料理!?しかも肉じゃが!?」
「みこ、料理教室で習ったにぇ!すいちゃんも通ってるにぇ!」
「まぁ、ぺこらは昔から料理してるから最強だペコ!負けないペコ!」
こうして始まった、ホロライブ異色のコラボ企画――
『最押し決定戦!家庭料理バトル:肉じゃが編』
審査員は、外部マネージャーと、神楽坂さん。
「公平を期すため、私も審査に加わります」と神楽坂さんが静かに言った瞬間、全員が背筋を伸ばした。
「審査基準は、味・見た目・家庭感の三点です」
「よーし、みこ、たい焼きの皮で肉じゃが包んじゃうにぇ!」
「それ、家庭料理じゃなくて創作料理ペコ!」
「私は王道で勝負する。出汁から取るよ」とすいせい。
「えっ、出汁から!?」とみこちとぺこらが同時に叫ぶ。
調理開始。
ぺこらは手際よく野菜を切り、肉を炒め、煮込みに入る。
「ふふん、料理は昔から得意ペコ。肉じゃがなんて朝飯前ペコ!」
みこちは、料理教室で習った通りに、丁寧にじゃがいもを面取りしながらつぶやく。
「みこ、がいぶまねーじゃーに“ふわとろオムライス”褒められたにぇ…今日も頑張るにぇ…!」
すいせいは、黙々と作業を進めながら、レシピノートを確認していた。
「“おふくろの味”って、こういうことだよね…」
そして、ついに完成。
三人の肉じゃがが、審査員の前に並べられた。
「では、いただきます」と神楽坂さん。
まずはぺこらの肉じゃが。
「うん、味のバランスが良いですね。甘辛の加減も絶妙です」
「当然ペコ!」
次はみこち。
「これは…たい焼き???」
「みこ風アレンジにぇ!」
「……意外と合いますね。ただ、これを家庭料理というのは…いえ、これはこれで美味しいのですが…」
「やったにぇ!」
最後はすいせい。
「……これは…」
「どうですか?」とすいせいが少し緊張した表情で尋ねる。
「……完璧です。味、見た目、食感、すべてにおいてバランスが取れています」
「やった…!」
「で、がいぶまねーじゃーの評価は!?」とみこちが身を乗り出す。
主人公は、三人の料理を食べ終え、静かに言った。
「どれも美味しかったです。でも…」
「でも!?」
「一番“家庭の味”を感じたのは…」
「……」
「神楽坂さんの参考用肉じゃがでした」
「えっ!?」
「えっ!?」
「えっ!?」
三人の声が重なった。
「え、神楽坂さんも作ってたの!?」とぺこら。
「参考用に一品だけ…と思って」と神楽坂さんが涼しい顔で答える。
「味の深み、具材の火の通り、盛り付けの美しさ…すべてが完璧でした」と主人公。
「……」
「……」
「……」
「みこ、負けたにぇ…」
「私も…完敗だわ」とすいせい。
「ぺこーら、なんで本気出したのに負けてるペコ!?」
神楽坂さんは、静かにお茶をすすりながら言った。
「料理は、愛情と経験です」
その言葉に、三人はそっと視線を落とした。
その日の夜。
みこちはたい焼きをかじりながら、ぽつりとつぶやいた。
「みこ、まだまだなのにぇ…でも、がいぶまねーじゃーが笑ってくれたから、ちょっとだけ嬉しいにぇ…」
外部マネージャーは、みこちのたい焼きを受け取りながら思った。
「単推しとか、そういうのじゃなくて…この人たちと一緒にいる時間が、ただ楽しいんだよな」
でも、みこちが笑ってくれるなら、それでいい。
そう思えるようになっていた。




