表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ガテン系の女 愛より、恋より、修業中  作者: うらら桜子(旧 咲良ヤヨイ)
113/140

複雑で難儀 3 




 亜紀と入れ違いに数人の作業員が現場事務所に入ってきた。

 高城から頼まれたこの現場は『プラスター工房ムラオカ』が通常は取引していない建設会社。

 元請業者が違うと下請けも必然的に代わる。

 千香良の知らない人ばかりだ。

 

 8畳程の現場事務所では離れて座った所で知れている。

 視線が気になる。


『プラスター工房ムラオカ』で働き出した最初の頃と同じだ。

 けれども視線の種類が違う。


 華やいだ気配がするのだ。

 嫌悪感はしないが、千香良は落ち着かない。


「新しい左官屋さん?」


 千香良は上目遣いで頷く。

 年齢は龍太と同じぐらい。

 

 ドキ、ドキするほどカッコイイ。

 

 千香良は勢いよく席を立つ。

 龍太も戻って来るか分からない。

 千香良は逃げるように現場事務所を出て行った。

 

 しかし、外の陽射しは少しの間で痛いくらいに強く。

 カッコイイお兄さんに感じたドキ、ドキなんて、額に流れる汗と一緒に流れてしまった。


 そして千香良は2階に戻ると、タイル下地の続きに取り掛る。

 今日の段取りは午前中に2階、午後から1階のトイレ。

 納期がないせいで、スケジュールが詰めている。


 けれども30分経っても、龍太が戻って来ない。

 面倒な案件だと話は長引く。

 千香良は龍太にラインを送るか悩むところだ。

 

「千香ちゃん、お疲れ」


 もう、声だけで分かってしまう。

 振り向くとやはり、高城だ。

 以外にも作業着を着ている。


「龍太は親父さんに呼ばれて家に帰ったから、俺が代わり。他の現場も工期がギリで職人は廻せないって言われたから……ここも、ヤバいんだよね」 


 千香良は何が何だか分からない。

 高城から発せられた言葉の意味も理解不能。

 中腰のまま固まっている。

 それなのに、気持ちが憂える(うれえる)


「千香ちゃん?」


 高城は背後から千香良の両脇に手を入れると、確り立たせた。


「うん。じゃ、昨日と同じ所をお願いします」


 千香良は心ここのあらず。

 心情は複雑だろう。

 それでもペコリと頭を下げた。

 

「ラジャー、親方」


 高城は千香良の様子にふざけて見せる。


 千香良は少し笑顔を見せる。


 すると高城がトートバックから鏝を取り出した。

 

「マイ鏝?」


 意外な物が意外なところから……

 千香良は否応無しに食いついてしまう。

 

 高城は本当に優しくて頼りになる。

 龍太の優しさとは似ているようで違う。

 千香良にだけ、分る優しさだ。


「そうだよ、ホームセンターで買ってきた。龍太が居なくても大丈夫、千香ちゃんの足を引っ張らないように、お兄さん頑張るから……」 


 沈んでいる場合じゃなかった。

 そもそも、沈む理由がない。


「あぁ、そうだ忘れない内に……その、乙葵さんの休みはいつまでかな?」


「来月から……」

 

「じゃあ、ムラオカの親方と俺と梓で行くから……予約をしておいて」


「分かった」


 千香良は毅然と応える。

 需要な任務を承った。

 乙葵を品定めに来るのだろう。


(愈々……)


「乙葵さんを品定めするんだ……」


「千香ちゃん、心も声が大き過ぎるよ」


 千香良はバツの悪さに俯いた。


読んでくたさってありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ