王都
一瞬にして景色が変わる。
先程までの自然溢れる丘とはうってかわり、華やかな街並みが4人の視界を覆う。
きっちりと整理された建築物と石畳の歩道は一種の芸術で、王都の名に恥じぬ景観であった。
「ほほう、知ってはいたが実際に眼にすると素晴らしいな」
「・・悔しいですが感嘆してしまいます」
魔王と侍女が思わず感動する中、残りの二人は興味ないのか欠伸しつつ周囲を見渡している。
「景色じゃ腹は膨らまないのにゃ」
「加えて知的好奇心が惹かれないね」
早朝とはいえ王都であるため、人は疎らに歩いている。
しかし急に出現した4人に気が付いた様子の人はいない。
「ま、大丈夫そうにゃ」
「ふふ、僕の魔法もとい研究のお陰さ」
どや顔のリンの言葉通り4人には認識阻害の魔法がかかっている。
人間に見せる幻覚魔法も含め、今回の旅行で最も貢献しているのは彼女の知識であった。
「見えないのではなく意識されにくいところがミソさ」
「ハイハイ、わかったからとっとと此処から離れるのにゃ」
動こうとしない3人をマオは身体を使ってグイグイと押し出した。
世話のやけると呟きながら促すマオに先導され、一同は一旦小路に身を隠した。
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「それで、これからどうするつもりだい?」
「うむ、冒険者として登録して手頃な仕事を請け負う手筈だ」
仕事の斡旋ができ、かつ身分証明が必要無い冒険者は彼女らにとって渡りに船である。
その分荒事や犯罪に捲き込まれやすいが、彼女達の力量では特に問題では無い。
既に冒険者ギルドの場所もリサーチ済みであり、足を向ける方向は決まっていた。
「こんな朝早くから開いているものなのね」
「ていうか入口から酒臭いにゃ」
外観こそ普通の商業施設ではあるが、足を踏み入れると荒くれ者が集まる為か机や椅子は簡素のものばかりだ。
酒屋も併設しており、中には朝から出来上がっている者もちらほら。
比較的綺麗なカウンターには強面の男がおり、入ってきた4人を見て溜め息をついた。
「オイオイ、姉ちゃん達迷子かよ。此処はまともな奴が来る場所じゃあねえぞ」
「心配ご無用。こちらとて覚悟も実力もある故」
見た目はそれぞれ普通の女性で内二人は年端もいかない少女であるため、こんな反応は想定内である。
女性に飢えた男達の視線を感じながらもどこ吹く風だ。
「へへへ……ぶっ!?」
「臭いからくるにゃ」
気配を消し、そっと4人の後から近づいてきた男をマオは軽く突飛ばした。
揉んどり打ちながら店外まで転がる男を見て、居合わせた者は固唾を飲んだ。
「やれやれ、一番軽薄そうなマオが男受けが良さそうだね」
「チビに欲情するわけないにゃ」
「ないすばでぃな僕が脱げば男なんてイチコロだよ」
「二人とも分かったから大人しくしてなさい」
「「はい」」




