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魔王城の庭

玄関から物々しい扉を開けて外に出ると眩い陽の光がお出迎える。


不毛の大地と瘴気に汚染されていると思われがちな魔界ではあるが、妖精が住む森もあれば澄んだ空気が漂う場所もある。


魔王が住まう住居は小高い丘にあり、陽当たりの良い場所である。

庭にはこじんまりとした花壇があり、小さな花が咲き誇っている。



「~♪」


「・・やっぱり、あのマオが花の世話をしてるのは、何か違和感があるね」


「そう言うな。最初は嫌々ながらであったことは否めないが、今は自ら進んでしておる」



鼻唄混じりに花に水をかけているのはマオだ。

三角の耳にくるんと丸めた尾。薄着でハーフパンツを履いているため活発な印象を受ける。



「ご機嫌だねマオ」


「うん?…埃被ってるのが常のリンが外にいるなんて珍しいにゃ」



不格好なリンの姿に一瞬面食らったのか、マオは眼を丸くながらも率直な感想を述べた。

普段は部屋に籠り研究と実験を繰り返しているのがリンで、対してマオは外で一日の大半を過ごす。周囲の警戒・偵察と称してはいるものの、日なたぼっこしていることも少なくない。



「連れ出されただけさ」


「まあそう言うな。先ほど日銭を稼ぎに行くとは言ったが流石に遠すぎる故、以前から考えていた計画を始めようかと思っての」



リンを脇から降ろして魔王はそんなことを言うと少しふんぞり返った。

残された二人はどちらとなく見つめ合うと、先に折れたリンが先を促した。要するに彼女がよく見せる前フリなのだ。



「計画ってなに?」


「フフン。聴いて驚くがいい、題して`設置型ポータル´じゃ」



ポータルとは要するに転移魔法の総称である。一般的な転移魔法は一方通行で、かかる時間も魔力も過分に必要となる。それに加えて転移先に魔力的な繋がりが必要と、一般的には普及していない代物である。



「…えぇ、もしかして剣とここを基点にするつもりかい?」


「うむ。リンが編み出したものであれば恒久的に往き来できるのであろう?」


「まぁ理論上は出来なくはないが…。あと魔王様の魔力が空っぽになるが、いいのかい?」


「致し方あるまい。一晩眠れば回復するだろう」



相変わらずの規格外の能力に恐々しながらも、リンは庭の広間に行き懐から小さな杖を取り出した。


カリカリと地面に大きく円を画き、中心にこれまた様々な図形を組み合わせていく。さながら芸術作品のようで、残りの二人は感心しながら見守っていたが。



「…集中してるリンを見ると、ちょっかいかけたくなるにゃ。うりうり」


「あっおまっ!? やーめーろー」



頭をぐりぐり撫でられたせいで線がずれると、リンは杖を振り回して憤った。それを笑いながら難なく避けるマオに更に憤る。


暫く収集がつかないじゃれあいに、魔王は苦笑いを浮かべた。

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