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お仕事

掃除が一段落すると、誰かのお腹が空腹を訴えた。

ちょうどお昼時といった時間帯だ。



「では、簡単に作ってきます。・・一応聴いておきますがリクエストは?」


「肉じゃな」

「お肉」


「でしょうね。マオもどうせ肉でしょうし・・あとどれくらいもつかしら」



現在、魔王城(仮)に住まうのは4人であり内3人は家事全般が不得手である。


それらを賄うのがヒルデという侍女であり、一番真面目に働いているのも彼女だ。(というか他の仕事がほぼ無い)


そして魔界の奥地であるこの場所は買い物もままならないため、材料の確保は彼女の悩みのタネである。


尽きない悩みに思いを馳せて侍女はキッチンへと向かう。

それを見届けるとリンはレイラに声をかけた。



「で、魔王様はこれからどうするの?」


「ウム、そうじゃな・・」



結局、聖剣は持ち出されておらず何も判らずじまいである。

そして唯の杞憂である可能性も十分にあるのだ。

ここはいつも通り待ち構える、もとい何もしないのが正解であると答えは出たのだが・・。


それは詰まるところ、レイラにとって暇な生活を続けなければいけないことを意味していた。


勿論為すべきことはある。リンに時偶魔界の彼方此方を映させ、民の悩みが無いか。野党(勇者)に襲われていないかと視ている。

しかしそれは彼女の義務ではない。


魔王といっても税を徴収したり、土地を治めている訳ではない。魔王とは魔界全土で最も強者であり、畏怖の対象を指す称号である。つまり管理する責任も無ければ地位も無い。ついでにお金もあんまり無い。



「最近ヒルデが計簿に四苦八苦しておるようでな。我が財宝を売るという手もある……が、良い機会じゃし働くとするか」


「因みにどこまで?」


「もののついでにに王都までじゃ」


「えー…ぐえっ」



レイラはゲンナリした顔を見せるリンを軽々と小脇に抱えて部屋を出ると、玄関に足を進めた。


暴れても無駄ことを理解しているのか、リンはされるがままだ。



「わざわざ敵地で金策しなくても」


「何度も言うが別に敵対しているつもりは無いぞ。降り掛かる火の粉は当然振り払うが、それ以上は考えておらん」


「…国ぐるみで喧嘩売られているのに、火の粉扱いだから始末が悪いよ」


「あまねく全ての物は我が財宝よ。滅ぼすのは財が減るだけじゃ」



フフンと良いこと言ったな我、と心で自画自賛している主を横目にリンは小さく溜め息をついた。


魔王と人間界、歪な世界の繋がりは特に争乱の火種には至らなかった。正確には人からの進攻は行われたが、魔王一人により軍が半壊させられてから二度目は無いのが現状だ。

以降は天から与えられた剣を持った輩と、その仲間からなる戦士達が魔王の命を狙っている。

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