10,ようこそ!めくるめく・・・
鉱山最終です
薄っすらと空が明るくなる頃。
小さな部屋のように区切られた防御魔力で作られた障壁の中で、すっきり目覚めた。
今日の予定は、朝食の後坑道の入口まで魔獣馬に騎乗し、仕事の邪魔にならないように坑道へ入る。
その後、鉱夫の村へ視察して、帰宅する。
その途中で、魔獣に遭ったり、盗賊に遭ったり……するかもしれないけど。
……まあここの防御に関しては、完璧だと思っているんだけど。
何があるかはわからない。
カットゥーロも「最悪な事も考えて行動しなければなりませんよ」と、よく言っている。
防御の確認も必要……っと。
「ヴィヴィアーナ様、食事は皆と取られますか?」
「そうね、今日の予定も伝えないといけないから。ベルタ、カットゥーロに知らせて」
「かしこまりました」
朝食を終え出発準備が整った頃に、太陽が顔を出した。
今日のスイヤーフは、昨日走って少し気が晴れたのか落ち着いている。
だからか、後続の魔獣馬たちが昨日と違い距離をあけずについてきている。
結構慣れてきたみたい。
総隊長も昨日よりアミーラの扱いに慣れてきたのか、アミーラも今日は落ち着いてるね。
ここまでは、順調だ。
………………。
……順調すぎる。順調すぎて訓練にならないかも。ちょっと、アクシデントがあってもいい気がしてきた。
私が手を出さなくてもいいぐらいの、魔獣が出たり。盗賊が出たり。
してくれないかな。
……でも、スイヤーフとアミーラが揃っている時点で、弱い魔獣は寄ってこないし。
気性が魔獣に近いスイヤーフを見れば盗賊も逃げてしまうかも。
いくら両親の事故死のことで怪しいからといって、辺境伯軍との模擬戦は喧嘩を売っていると思われても仕方がないし。
……今日は、大人しく鉱山と村への視察で帰宅しよう。
カットゥーロにも「お嬢様は、物事を性急に求めすぎます」と、よく言われていたし。
……でも、盗賊が出るのなら魔力持ちのいる盗賊団がいいよね。
この大陸は、私が生まれる前に魔力持ち——主に貴族——が罹患する伝染病が猛威を振るった。
そのため、魔力持ちが激減したのだ。
帝国だけは、早い段階で特効薬を確保したらしいので、高位貴族は助かった者が多かったようだ。
我が国は、魔力量の多い者から倒れていったらしい。
……だから、わが国では未だに貴族すら魔力量の少ない者が多いのだ。
魔術を使った実戦なんて、魔獣相手しかしたことない。
……ああ、魔力持ちの盗賊がいればいいのに。
結局、願いむなしく——普通来ないよね——魔力持ち盗賊も、魔獣も出ないまま訓練と視察を終えた。
総隊長に、アミーラを購入できる資産があって、アミーラに選ばれるだけの魔力があることを知れたのは、いい収穫だった。
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