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誤歴 ― カルト国家日本 ―  作者: 桜李


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2026年 春 家に帰ったら世界が違った⑥.何故かスマホが使えて

スマホのフォルダを開く。

画面には、さっき映画館の前で友達と撮った写真が映し出された。

数時間前まで、確かにそこにいた。

皆、笑っている。

夢じゃない。

スマホ自体は正常に動いていた。

アンテナ表示は圏外のままだが、写真もアプリも問題なく開ける。

……異世界転移の直前に身につけていた物は、そのまま持ち込まれている?

じゃあ、友達は。

あの子たちは今、どうしているんだろう。

私と同じように、この世界へ?

それとも——。

そこまで考えて、頭を振る。

今は確認だ。

私はLINEを開き、恐らく無駄だと思っていたけど、友達のグループへ適当なメッセージを送ってみた。

《ねえ、みんな無事?》

送信中の表示が数秒続き、

『送信できませんでした』

やっぱり。

電話も駄目。

完全に圏外だ。

そこで何気なく、ブラウザを開く。

いつもの癖だった。

そして私は、思わず息を止める。

Yahooのトップページが表示されていた。

……あれ?なんで?

指先が止まる。

恐る恐る別のサイトを開く。

ニュース。

動画サイト。

検索エンジン。

普通に見られる。

検索もできた。

AIとの対話サービスまで動く。

背筋が寒くなる。

だったら——。

急いでメールアプリを開く。

新規メッセージを作成。

送信。

駄目。

エラー。

掲示板への書き込みもできない。

SNSへの投稿も反映されなかった。

閲覧はできる。

でも、こちら側からは一切触れられない。

まるで、ガラス越しに別世界を覗いているみたいだった。

理屈は分からない。

そもそも異世界転移そのものが、理屈の外にある。

だったら今は、

「そういうものだ」

と受け入れるしかない。


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