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2026年 春 家に帰ったら世界が違った⑤ 白い制服の国
別の種類の眩暈を覚えながら、私は自分の部屋へ向かった。
ドアを開けた瞬間、ため息が漏れる。
……やっぱり。
今朝までの私の部屋とは、まるで違っていた。
箪笥も、本棚も、机も違う。
全体的に古く、色褪せていて、妙に貧しい。
壁には、中学時代の制服らしきものが掛けられていた。
白い。
真っ白だ。
少し薄汚れているが、テレビ番組の出演者たちが着ていた服によく似ていた。
本棚へ近づく。
並んでいるのは、見覚えのない本ばかりだった。
だが、歴史関係の本が多い。
……そこは同じなんだ。
平行世界の住人でも、私は私らしい。
その時、ふと思いつく。
——待って。
今朝まで、この部屋には“この世界の私”がいたはずだ。
じゃあ、その子は?
私と入れ替わりで、元の世界へ?
想像した瞬間、胸の奥がざわついた。
深く息を吐き、私はベッドへ腰を下ろす。
その時、肩に掛けた鞄の重みを思い出した。
……そうだ。
今朝、家から持ち出した私物が入っている。
財布。
小物。
そして——あった、スマホ。
震える指で取り出す。
電源は入っていた。
だが、アンテナ表示は圏外のままだった。
……当たり前か。




