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誤歴 ― カルト国家日本 ―  作者: 桜李


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2026年 春 高校入学⑤ なぜか女子だけの写真撮影

休み時間が終わると、写真撮影が始まった。

出席番号順に女子生徒だけが呼ばれ、一人ずつ教室を出ていく。

男子はそのまま自習。


なぜ女子だけなのか。

なぜ集合写真ではなく個別撮影なのか。

この時の私は、特に疑問にも思わなかった。

学校なんて理不尽の集合体だ。

そういうものだろう、と。


私の苗字は冬月なので、順番はかなり後ろだった。

撮影を終えた子が戻ってきて、次の子が出ていく。

そのうち、妙なことに気付いた。


戻ってくる子たちの様子がおかしい

顔色が悪い。

泣いた後みたいに目が赤い子もいる。

俯いたまま席に座り込む子もいた。

教室全体が妙に静かだった。

誰も何も話さない。


いや。

話せないのかもしれない。

私は隣の葵ちゃんに小声で聞いた。


「ねえ。あれ、どうしたんだろう」


葵ちゃんは少し困ったような顔をした。


「さあ……」


それだけだった。

さあ、で済む雰囲気じゃない。

胸の奥がざわつく。

ただの写真撮影じゃないのか。


やがて私の名前が呼ばれた。

担任の先生に連れられ、別室へ向かう。

先生は一言も喋らなかった。

私も何となく話しかけられない。

廊下を歩く足音だけが妙に響く。

嫌な感じだった。


案内された部屋には二人いた。

撮影係らしい女性。

そして宗教実習で見た上級信者。

二人とも教団の制服を着ている。


「どうぞ、こちらへ」


女性がカメラの前を指した。

私は言われるまま立つ。

カメラはかなり古そうだった。

フィルム式だろうか。

この世界ではまだ現役らしい。


「はい、笑ってください」


証明写真じゃないのかな。

少し不思議に思いながらも笑顔を作る。


カシャ。


乾いたシャッター音が響く。

撮影係の女性はメモを確認した。

そして、事務的な口調で言った。


「はい。次は上着を脱いでください」


私は一瞬意味が分からなかった。


「……え?」


「下着姿の撮影を行います」


頭が真っ白になった。


聞き間違いじゃなかった。

今、この人は確かにそう言った。


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