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誤歴 ― カルト国家日本 ―  作者: 桜李


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2026年 春 高校入学① 毎日がダイエット

高校に入学して数日が経った。

通っているのは、元の世界で私が通うはずだった高校だ。名前も場所も同じ。けれど中身はまるで別物だった。

まず制服。

あのオウム信者たちが着ているのによく似た白い服で、可愛くも機能的でもない。布地は薄く、安っぽい。ペラペラ。洗濯を繰り返した病院のシーツみたいに頼りない。別にファッションにうるさい方じゃないけど、制服って女子が高校を選ぶ理由の一つだと思う。これは、着たくない。

毎朝、鏡を見るたびにテンションが下がる。


朝ごはんも同じだ。味付けは薄いし、野菜ばかり。脂っこいものが恋しい。毎日がダイエットメニューみたいで、育ち盛りにはきつい。精進料理ってこんな感じなんだろうか。食べたことはないけど。

この世界では一日一食が奨励されている。幸い、我が家ではこっそり三食食べているが、それも春休みが終わるまでらしい。学校には昼休みがない。高校生から昼食を奪うなんて、人類史に残る暴挙だと思う。商店街では肉屋も魚屋も普通に営業していたのに、不思議な話だ。建前は禁欲、実際は別――そんな世界なのかもしれない。


そんなわけで毎日憂鬱な気分で登校しているのだが、ふと気づく。私はどうしてこんなに落ち着いているんだろう。異世界に来たのなら、もっと泣き叫んだり取り乱したりしてもよさそうなのに。

この世界にも両親がいるからかもしれない。友達も、元の世界と少し違うけれど存在している。改古堂のおじさんも、こちらの世界でも相変わらず変人だったし。そういえば、あれ以来店に行っていない。

それとも、異世界転移ものの主人公ってみんなこんなものなんだろうか。感情が薄いのか、元の世界がよほど嫌だったのか。

さて、次の授業は「宗教」。当然、オウムの修行だ。

形式上は自由参加だが、実際には休めない空気がある。ほかの授業をサボっても、これだけは出席しろという無言の圧力だ。

どんなことをやらされるんだろう。

学校にはオウムの上位信者が派遣されてくる。幹部ではないらしいが、教師たちより偉そうにしている。制服も白ではなく色付きだ。

彼らは「悟りを開いた人々」だという。

それ、絶対にウソだと思う。


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