2026年 春 古本屋・改古堂② スマホって?
「じゃあさ、さっき、オウムの事を言ってたよね。澪ちゃんが居たっていう世界にも、オウム真理教は有ったの?」
「私が生まれるかなり前に無くなったはず。教祖が死刑になったのは、そんな昔じゃないけど」
「え、麻原って死んだの?しかも死刑?どんな容疑だったのさ」
「何の罪って、殺人やら詐欺やら誘拐やらクーデターやら、ありとあらゆる犯罪。毒ガス作って撒いたり、邪魔な人間を拉致して殺したり、未成年の女の子達を集めてハーレム作ったり、それはそれは数えきれないような罪」
「…それ、他所では言わないようにしようね」
「あ、こっちの世界じゃ、やっぱりタブー?」
「いや、想像するのは自由だけど、他人に話すと面倒な事になる」
「私の想像じゃないから。さっき調べたばかり」
「どうやって調べたの?」
「それは、スマホで」
「スマホ?」
しまった。スマホは家で充電中。実物を見せれば話は早かったのに。
「ええとね、あっちの世界じゃ、みんな持ってた。持ち歩ける電話。このくらいの大きさで」
「電話で聞いたの?携帯電話と違うの?」
「いや、電話でもあるんだけど、それだけじゃなくて……」
私は途中で説明を諦めた。
どう考えても一から説明するのは無理だ。
「要するに、ポケットに入る、小さいコンピューターみたいなもの」
「持ち歩けるコンピューター?」
「うん」
「それでコンピューターと会話するの?」
「うん」
「未来じゃん」




