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ご先祖様が聖女様かどうかも疑わしい私が王子様達の獲物にされてます。【第一部完結済み 26話(忍者失格)まで】  作者: クワトロばなな


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第三部 第24話(第三部完結):聖女の使命と、捏造された英雄譚

スピカの正式な「聖女」としての本格的な活動は、メレンヘア学園を卒業してからと定められていた。しかし、それに向けた準備と勉強は、少しずつ着実に進められることとなった。


週に一度、ミルキーウェールズ王国をはじめ、世界各国の教会から位の高い高僧や神官が学園へと足を運び、アークプリーストの厳かな教義をスピカとベガの二人に教授していく。(※ベガも一応、現段階では聖女候補の一人である)。


(私なんかの力が、少しでも世の中の困っている人の役に立てるなら……!)


スピカは強い目的意識を持ち、真剣な眼差しで積極的に教義に耳を傾けた。その学びの中で、スピカは長期間にわたって効果を持続させる「持続型回復術式」の術理を習得していった。


そして――さらに応用として、効果が長期保存できる「聖水の精製法」を学んだのである。


試作段階ではあるものの、スピカが自身の神聖魔力を注ぎ込んで作った聖水は、驚くべきことに世界に存在するほとんどの病気や怪我の治療に対し、劇的な効果を示すことが判明したのだった。


「苦しんでいる人たちの役に立てるなら、喜んで作ります!」


スピカは自ら進んで聖水作りを申し出た。

毎夕刻、非常事態に備えて自らの魔力を「3分の1」だけ残し、それ以外のすべての魔力を惜しげもなく注ぎ込む。大きな木樽に満たされた水へと神聖回復魔力を丁寧に付与していくのだ。


魔力が満たされた聖水の樽はしっかりと蓋がなされ、翌朝には馬車でミルキーウェールズの港へと運ばれ、船で世界各国へと届けられていった。


聖女としての重大な責任を感じつつも、それでもスピカは、仲間たちと過ごすこの平穏な学園生活が続いていることに、心から感謝していた。


◇

そんな、穏やかな風が吹き抜ける放課後の生徒会室。


メレンヘア学園生徒会庶務――カノープス・チュワートス。


中肉中背でどこにでもいそうな、これといった特徴のない平凡で大人しい少年。……しかし、それこそが彼の計算し尽くされた「擬態」であった。


彼の真の姿は、第一王子シリウスおよび聖女候補スピカを闇から守る影――ミルキーウェールズ王国が誇るハイクラス忍者にしてトップエージェント、「カノープス中尉」なのである。時には「イナズマ丸」という偽名を使い、数々の裏仕事をこなしてきた。

そんな彼のもとへ、苛立った足音がズカズカと近づいてきた。


メレンヘア学園生徒会庶務――ハダル・ギレス。

ミルキーウェールズ諜報部所属のくノ一であり、官位は軍曹。カノープスの後輩にあたる彼女もまた、生徒会庶務という仮の姿でスピカを影から護衛していた。


ハダルは手に一枚の大衆紙を握りしめ、カノープスへ勢いよく詰め寄った。


「先輩!! これは一体どういうことですかっ!?」


「……えっ? な、何だいハダル君……?」


ハダルがテーブルに叩きつけたのは、クラーケン討伐式典後の「大晩餐会・エリダヌス姫救出劇」に関する号外記事……らしきものであった。


しかし――なぜか文章が異様なほど「官能小説調」になっている。


誌面を開くと、内容はミラとイナズマ丸が激しく愛し合う濃厚なベッドシーンから始まっていた。そこにエリダヌス姫誘拐の急報が入り、二人は乱れた衣服を整えて現場へ急行し、シリウス王子やゾズマと合流する。

そこからシリウス王子とミラは地上から、イナズマ丸とゾズマは地下通路から誘拐犯を猛追するのだが――なぜかその二組の追跡ルートの途中にも、それぞれ別の濃厚でアダルトなエッチシーンが堂々と挟まれていた。

(……そんな破廉恥なことを道中で繰り広げているにもかかわらず、なぜか超人的な脚力で誘拐犯の追跡にはきっちり間に合っている)

そして物語の最後は、イナズマ丸が華麗にエリダヌス姫を抱きかかえて救出し、彼女の唇へ熱い熱い情熱的なキスを捧げて締めくくられていた。――終劇。


「…………」

記事を一読したカノープスは、ガクリと肩を落とし、白目を剥いて天を仰いだ。

(ぼ、僕はこんなの知りませーーーーんっっ!!??)


「ハ、ハダル君! こ、これは完全に誤解だよ! 捏造だ! こんな事実があるわけないじゃないか!!」


顔を青くしたカノープスは必死に弁明するが、ハダルは怪しむようなジト目で激しく食い下がってくる。


「……え〜? 本当ですかぁ〜? ひとつくらい『本当っぽいこと』はないんですか?」


「絶対! ひとつもございませんっっ!!」


カノープスは両手を激しく振って絶叫した。そして心の中で頭を抱えて叫び散らしたのだった。


(こんなものがひとつでも合ってたまるかぁぁぁーーーっ! ああ僕の清純で真面目なイメージが壊滅的ダメージを……っ! ていうか何なんだこの記事は!? なんでこんなアダルトで頭の悪いゴシップ紙をハダル君が読んでるんだよぉぉぉーーーっ!?)


無責任極まりない三流ゴシップ記事のせいで、冷や汗をダラダラと流すカノープスの前で――。


――ギィィ……


静かに生徒会室の扉が開いた。

夕日に照らされて輝く、山吹色の鮮やかな髪。


すべてを見透かすような、どこか勝気で妖艶な茶色の瞳。


まるで清流を躍る若鮎のようにしなやかで、均整の取れた美しい肢体――。


ロメーダ帝国、そしてソビヤ王国の狭間で暗躍する、美しき二重スパイ。


――ミラ・グラダスであった。

ミラは入口に寄りかかり、真っ赤になって狼狽えるカノープスに向けて、可憐で蠱惑的な微笑みを浮かべた。


「ふふ……カノープス君! 君に会いに、またまた来ちゃった❤️」


「……えぇぇぇぇ……っ!?」


カノープスの悲鳴が生徒会室に虚しく響き渡る。


迫り来る新たな影、深まる謎、そして留まることを知らない波乱の予感――。


新たなストーリーの幕が、いま再び切って落とされたのだった!

(第三部・完)

【第四部へ続く】




第三部応援ありがとうございました。

物語は第四部へ続きます。


新しいキャラクターも登場しますのでこちらも応援よろしくお願いいたします。


4部は9/10(木)7:00更新予定です。



ページ下部の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると励みになります!」

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