劇動!メレンヘア学園祭⑤(アークウィザード 赤髪ジョニー)
【サムライ訓練施設】
「魔法ありとはいい事聞いたぜ」
「次は俺だ!」
不敵な笑みを浮かべて前に進み出たのは、燃えるような赤髪の男だった。その姿を見た周囲の生徒たちが、ざわざわと騒ぎ出す。
「あっ、あいつは高等科3年アークウィザードのジョニー・ルイデン……!」
「通称、赤髪ジョニー!」
その独特の威圧感に、スピカは少し身を引いて呟いた。
「なんか柄が悪そー……。貴族なの?」
ジョニーは周囲の声を無視し、観戦席のベガへと視線を向けた。
「ベガさん、見てて下さいよ。そして、コイツに勝ったら俺とダンスを踊ってくださいよ、第2部でね」
熱い視線を送るジョニーは、念を押すように重ねて言う。
「いいですよね! ベガさん」
ベガは無言のまま、すっと手元から【○】の札を掲げた。
それを見た男子生徒たちが、一斉に歓声をあげる。
「おーっ!!」
スピカは目を丸くした。
(○の札、持ってたんだ……)
審判を務めるサナダが、ジョニーに声をかける。
「防具をつけよ!」
「いらねー」
ジョニーは木刀を受け取ることすら拒否し、不敵に構えた。
「初め!」
サナダの合図と同時に、ジョニーが呪文を唱える。
「ウィンドフライ(風力飛行)!」
ジョニーの身体がふわりと宙に浮き上がった。上空からアルタイルを見下ろし、勝ち誇ったように高笑いする。
「ははは! 空から呪文で狙い撃ちにしてやる!」
だが次の瞬間、アルタイルは冷静に弓を引き絞り、矢を放った。
「いでっ!?」
鋭い一本がジョニーの胴体を的確に捉える。
「胴!」サナダの声が響く。
ボテッ! と無様に地面に落下したジョニーは、這いつくばったまま顔を上げた。
「弓あり……?」
「あり」
サナダが淡々と答える。満身創痍のジョニーは、なおも未練がましくベガを見上げた。
「ベガさん、せめて第1部で僕と踊ってもらえませんか……?」
ベガは冷徹に【×】の札を突きつけた。
「終了」
サナダの非情な宣告が下る。
しかし、この一戦は周囲の男子生徒たちの心に火をつけてしまった。
「アルタイルに勝てば! ベガさんと第2部で踊れるのか……!」
「やるぞ! おーっ!!」
殺気立つ男たちの集団を前に、アルタイルは顔を引きつらせた。
「えーっ……」
スピカは同情の眼差しを向ける。
(みんなやる気になっちゃってる。アルタイルさん、大丈夫?)
そこへ、地響きを立てて一人の大男が歩み出てきた。
「次は俺だ。サムライと立ち会えると聞いて、わざわざここの招待状を取り寄せたんだ。ソードマスターのジヨン・フィリップだ。サムライ殿! 立ち会い願おう」
アルタイルは無言で男を睨み据える。
(大人? ソードマスター?)
スピカは緊迫する空気に息を呑んだ。
(ちょっとこの先、気になるけど……お母様達とのランチの約束が。屋外カフェにいかなきゃ)
【忍者屋敷】
一方、大盛況の忍者屋敷では、くノ一姿のハダルが男子生徒に声をかけられていた。
「君、可愛いね! 良かったら第1部の舞踏会、僕と踊らない?」
ハダルは困ったように眉を下げ、丁寧に断る。
「ごめんなさい、私、約束があるの」
その様子を陰から見ていたスティーブが、呆れたように声をかけた。
「今日、何人目だ? 約束なんて無いくせに!」
「いいの! ほっといて下さい」
ぷいと顔を背けるハダルを見て、スティーブはため息をつく。
「カノープスの奴、罪な男だねー」
【ウィザード(魔術師)訓練施設】
屋外カフェへと急ぐ道中、スピカはウィザード訓練施設の出展に目を留めた。
(ここも色々グッズを売っているのね。スクロール……チャーム(魅了)の巻物って、惚れ薬と同じじゃない?)
怪しい商品を眺めていると、奥の方で占いブースを見つけた。
(占いもやっているのね。……無料! まだ時間が少しありそうだから、見て貰おうかしら)
スピカは仕切りのカーテンをくぐった。
「お願いします」
「はい、ひとつ質問に答えてください」
ローブを纏った占い師が、静かにスピカを見つめる。
「あっ、はい」
「誰も傷つけない、優しい嘘ならついてもいい?」
突飛な質問に、スピカは少し考えてから答えた。
「えっ? あっ、はい」
「嘘つき!」
占い師がピシャリと言い放つ。
「えっ、じゃあ、いいえ!」
「どっちつかずの優柔不断! 石頭!」
「もう! なんなんですか!」
理不尽な物言いにスピカが怒ると、占い師は急に声を弾ませて告げた。
「今日のあなたは恋愛運絶好調よ! 頑張りなさい」
肩透かしを食らったスピカは、呆気にとられながらも頭を下げた。
「あっ、ありがとうございます……」
占いブースを出て再び歩き出すと、別の場所からも大きな歓声が聞こえてきた。
(あっ、剣士訓練施設も盛り上がってる)
スピカの耳に、実況のアナウンスが響く。
『パンカイニー選手! 15人抜きでーす!』
息を切らせた男子生徒が、遠くに向かって絶叫していた。
「ベガさん、見てますかー!?」
赤髪ジョニー。いかがでしたか?舞踏会へのカウトダウン。次回もご期待ください。
ページ下部の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると励みになります!」
ブックマークも大歓迎!!お願いします。




