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ご先祖様が聖女様かどうかも疑わしい私が王子様達の獲物にされてます。【第一部完結済み 26話(忍者失格)まで】  作者: クワトロばなな


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112/117

第4部 第26話 イケメン司祭と、エロ聖女の証明

【賢者の書 ep.117 発生から24日目 ―― 厄災発生予想日まで、あと4日】


ミルキーウェールズ一行を乗せた最新鋭の高速船は、静かにシャオハイユの船着場へと接岸した。


作戦に必要な莫大な物資と人員を下ろすと、船は津波による破壊を避けるため、すぐさま遠く離れた安全な港に向けて再出航していく。


船着場に残り、沖へ遠ざかっていく船を涙ぐみながら見送る人物が一人。


名門ガンデッシュ家の令嬢、シャーロット少尉である。


「……私の可愛い、赤ワイン、白ワイン、シャンパン、ウイスキー……っ。しばしの……しばらくのお別れね……っ!!」

(※船内に預けたまま密輸を阻まれた愛酒たちである)


そんな無駄にセンチメンタルなシャーロットお姉さんをよそに、一行は手際よく荷物を馬車へと積み替え、南門からシャオハイユの街へと足を踏み入れた。


一般住民の避難は既に完了しており、各国の救援組織や軍関係者の行き来を除けば、この巨大な城塞都市は不気味なほどの静寂に包まれていた。


嵐の前の静けさと、戦闘準備の喧騒が入り混じる独特の空気感の中、一行は割り当てられた大型宿泊施設へと到着した。

◇

広々とした宿泊施設のロビー。

荷物の搬入を見守りながら、スピカは隣に立つハダルへこっそり耳打ちした。


「……ハダルちゃん。ちょっと前から気になってたんだけど……あの方、すごく素敵じゃない?」


「……実は私も、船で見かけた時から少しそう思っていました」


ハダルも珍しく即座に同意する。


二人の視線の先に立っていたのは、ミルキーウェールズ司祭でありアークプリーストのベクルックスであった。


長身に仕立ての良い上質な法衣を纏い、さらりと揺れる銀髪。銀縁の眼鏡の奥からは、知的でミステリアスなグリーンの瞳が覗いている。


「……お年は20代後半くらいかしら?」


スピカの呟きに、少し離れた場所にいたヴィンデミアの護衛・ザニアまでもが「ふむ」と聞き耳を立てて深く頷いていた。


すると――スピカたちの視線に気づいたのだろうか。


ベクルックス司祭がふっと優しく微笑み、こちらへとゆっくり歩み寄ってきた。


「えっ、どうしようハダルちゃんっ、こっち来るよ!?」


スピカ、ハダル、ザニアの三人が思わず緊張でカチコチに固まる。


……しかし、ベクルックスは固まる彼女たちの横をすっと通り過ぎ、その奥にいた第二聖女候補ベガの前で足を止めた。


「……お久しぶりですね、ベガお嬢様」


ベガもまた、少し懐かしそうな、けれど気恥ずかしそうな笑みを浮かべて応じた。


「お久しぶりです……ベクルックス先生」


(((((ベ、ベクルックス先生ーーーーーっ!?!?)))))


スピカ、ハダル、ザニアの脳内で衝撃の叫びがハモった。


【シャオハイユ救出作戦・タイムスケジュール】

・1日目(本日)夕刻:シャオハイユ大議事堂にて最終作戦会議

・2日目:津波防衛不可時を想定したアークプリーストおよび要員の避難訓練

・3日目〜厄災発生:最終調整および総員配置完了、各自待機


シャオハイユ初日となる本日は、夕刻の最終会議まで各自宿泊施設での待機となった。


今回は「対津波」という特殊作戦ゆえに護衛の人数が極力絞られており、宿泊部屋の割り当ても特殊な形となっていた。


結果として、スピカ、ベガ、ヴィンデミアの聖女候補3人が豪華なスイートルームで同室となり、護衛としてハダル、ザニア、シャーロットの3人が同居する形となったのである。


部屋に入り、豪華にしつらえられたクローゼットで荷物の整理を始めたベガ。


その背後から、スピカがすーっと寄ってきて、上目遣いで問いかけた。


「あのー……ベガ様ぁ? ベクルックス先生とは、一体どのような『ご関係』なのでしょうか……?❤️」


背後で聞き耳を立てていたハダルとザニアも、待ってましたと言わんばかりに身を乗り出してくる。


ベガは引きつった顔で三人を見返し、呆れ交じりに答えた。


「……昔、我が家に家庭教師として来ていただいていた先生よ。……随分とお世話になったわ。まあ、その頃は彼に少し憧れていた時期もあったかもしれないけれど」


(((((か、家庭教師の先生とのお噂ーーーーっ!!!)))))


三人分の心の叫びが再びハモる。


第一聖女候補スピカは、頬をぽっと赤く染め、モジモジと指先を絡めながらさらに追撃した。


「あのー……そのー……俗に言う『禁断の関係』というやつですか……!?❤️」


ついにベガの忍耐の限界が突破した。


「――あんたら私を何だと思っているのよっ!! その無駄な想像力を他に使いなさい!! このエロ聖女っ!!」


ベガの怒声がスイートルームに響き渡った。


(……エロ聖女。……全くもって矛盾した言葉なのでは……?)


少し離れたソファーで静かに本をめくっていた第三聖女候補ヴィンデミアは、感情を露わにするベガと、怒られてもどこかうへへと笑っているスピカを見つめながら、心の中で冷静にツッコむのであった。

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