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ご先祖様が聖女様かどうかも疑わしい私が王子様達の獲物にされてます。【第一部完結済み 26話(忍者失格)まで】  作者: クワトロばなな


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第四部 第21話:氷の女帝との駆け引きと、二度目のテンプレ

「氷の女帝」と恐れられる第一王女ナスティーヤ=ノマロフの放つ圧倒的なオーラの前に、カノープスが思わず気後れしていた――その時である。


隣に並ぶ父親であり、使節団長を務めるゼダルが、微塵の気後れも見せることなく極めて滑らかに、そして堂々たる平伏の姿勢から言葉を切り出した。


「ナスティーヤ王女殿下におかれましては、ご多忙の折、このようにお目にかかる機会を賜り、心より光栄に存じます」


ゼダルは慇懃に頭を下げたまま、朗々とその声を響かせる。


「公務とはいえ……エキティカ大陸におきましても『その美貌において右に出る者はいない』と噂されるナスティーヤ王女殿下との拝謁が叶いましたこと、このゼダルにとって僥倖と言わずして何でありましょうか」


その言葉を聞いた瞬間、控えていたカノープスとデネブの脳裏に同じツッコミが駆け抜けた。


(((その言い回し、船の上で聞いたやつーーーーっ!?)))


(((テンプレかーーーーい!!)))


心の中で激しくずっこける二人であったが、当のナスティーヤはいたくご機嫌な様子で、唇を小さく綻ばせてゼダルを見下ろした。


「ふふっ……ゼダル、お主なかなか面白い男よのう。……して、本日の用件は何であるかな?」


「はっ。申し上げます。エキティカ聖女機構についてでございます」


ゼダルは表情を引き締め、核心へと切り込んだ。


「最近、ロメーダ帝国よりレーシア王国に対し、何らかの働きかけがあったと推察いたしますが……帝国の提示してきた条件は、如何ようなものでございましたでしょうか?」


ナスティーヤはアメジストの瞳を薄め、静かに答えた。


「……帝国からは、『シャオハイユの厄災が過ぎ去った後、聖女候補を機構本部(帝国首都アルメキオン)に留置する』という議題を出すゆえ、賛成票を投じるよう打診があったわ」


「見返りは……如何ほどで?」


「国境付近にある魔法石鉱山の共同開発じゃ。ミドルドアとの結託もあるゆえ、我が国もその申し出に賛同しようかと思っていたところじゃな」


ゼダルの眼光が鋭く光る。


「ナスティーヤ王女殿下におかれましては、帝国の申し出をお断りいただき、こちら――『聖女候補を出生地に留めておく方針』に2票を投じていただきたく存じます。その見返りといたしましては……我が国の友好の印に、エキティカ随一の造船技術を誇るミルキーウェールズより、最新鋭の大型船舶2隻を無償進呈いたしまする」


一瞬の沈黙。ナスティーヤは愉快そうに口元を釣り上げた。


「……良いでしょう。ミルキーウェールズの申し出、お受けしよう。元より、何から何までロメーダの思い通りになるのは気に食わなかったところじゃ」


北の覇者は扇を優雅に揺らしながら言葉を継いだ。


「ミドルドアも同じ思いであろうが……あの国は今回の津波でロメーダに大きな借りができるゆえ、賛同せざるを得まい。ミドルドアへは妾から上手く説明しておこう。それに、クラーケンが倒された今、これからは海の時代じゃ。船は一隻でも多く欲しい。……何より、ミルキーウェールズが我が国を重く見て、ゼダルのような優秀な者を遣わしてきたことが嬉しいではないか」


「ありがたきお言葉、恐悦至極に存じます」


見事に極秘交渉を成立させたゼダル。……しかし、またしてもこの男は余計な一言を付け足した。


「……時に、話を少し変えますが。ナスティーヤ王女殿下は良き伴侶をお探しとお聞きしております。……ここに居ります我が家の愚息(カノープス)など、如何でございましょう?」


カノープスが「またか!」と凍りつくなか、ナスティーヤは冷たい視線を投げかけた。


「……その者、面を上げよ」


カノープスは恐る恐る顔を上げた。


ナスティーヤはカノープスを一瞥するやいなや、即座にぽつりと呟いた。


「……それは遠慮しておこう」


(((これもテンプレかーーーーい!!!!)))


本遠征二度目の完璧な不採用通知に、心の中でのツッコミが全く止まらないトップエージェント・カノープス中尉であった。

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