↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ご先祖様が聖女様かどうかも疑わしい私が王子様達の獲物にされてます。【第一部完結済み 26話(忍者失格)まで】  作者: クワトロばなな


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

106/117

第四章・第20話:北への旋風と、氷の女帝

【賢者の書】に『ep.117』が刻まれてから10日目。

空からの厄災発生予想日まで、残り18日――。


無事にロメーダの国境を越え、ミルキーウェールズ領内の港町ロッコウシーへと辿り着いたカノープス、ゼダル、デネブの3名は、すぐさま王国最新鋭の高速船へと乗り込み、一路レーシアの港湾都市ラジオドッグを目指して出航した。


海風が吹き抜ける甲板の上、全権使節ゼダルは、隣に立つデネブに向かって柔らかな笑みを向けた。


「火急の任務とはいえ……宮中でも『その美貌において右に出る者はいない』と噂されるデネブ嬢とご一緒叶いましたこと、このゼダルにとって僥倖と言わずして何でありましょうな」


少し離れた物陰から、忍者のスキルでそっと聞き耳を立てていたカノープスは、眉間に深々としわを寄せた。


(親父の奴……!『氷の美女』と恐れられるデネブ先輩に向かって、何をそんな浮ついたお世辞を叩いているんだ! さっさと撃沈されろ……!)


だが、息子の呪いのような願望に反して、デネブは意外な反応を見せた。


「……ゼダル卿。そのお言葉、素直に受け取っておくわね。けれど……宮中でどれほど持て囃されようと、意中の方に振り向いていただけなければ、虚しいものよ」


(……意中の方……)


カノープスには、その「意中の人物」が誰なのかすぐに察しがついた。シリウス王子である。しかし、年上の実父に対して素直に恋の悩みを漏らすデネブの姿は、カノープスにとって少々意外であった。


ゼダルは深く頷き、温かな眼差しで返した。


「デネブ嬢の献身……殿下もきっと、お分かりになっておられますとも。その想いが報われますよう、このゼダル、微力ながらお力になれますことを心よりお祈り申し上げます」


その言葉を聞き、デネブの冷徹な仮面がふっと和らぎ、微かな微笑みが浮かんだ。


「ふふっ、本当にお上手ね。……ありがとう、ゼダル卿。少し気持ちが楽になったわ」


どこか爽やかな空気が流れた――と思われた、その時。ゼダルは要らん一言を付け足してしまった。


「……まあ、無理に一筋でなくとも、他の殿方に目を向けてみるというのも手ですぞ? 如何です、我が家の愚息(カノープス)あたりなどは?」


デネブは一切の躊躇なく、やんわりと微笑んで返した。


「……それは、遠慮しておくわね」


(((撃沈されたのは俺かよーーーーっ!?)))


陰で盗み聞きしていたカノープスは、実父の余計な差し出しのせいで、不必要な精神的ダメージを負って撃沈するのだった。

◇

【賢者の書】に『ep.117』が刻まれてから13日目。


空からの厄災発生予想日まで、あと15日――。


カノープスたち3人は、かつて海の魔王クラーケンによって蹂躙されたという暗い歴史を持つ港湾都市「ラジオドッグ」にて無事に入国を許可された。そこから馬車に揺られること丸一日、ついにレーシアの首都「レイシングラド」へと辿り着いた。


かつてロメーダ帝国の怒涛の猛攻すら退けたという鉄壁の「氷の城塞」は、まさに北の覇者の威厳をそのまま体現していた。

レーシア王国――。


現在の国王は病床に伏しており、国の実権は第一王女であるアークウィザード・ナスティーヤ=ノマロフと、執権を務める怪僧ラチーペンが握っている。中でもナスティーヤは、エキティカ大陸全域で「若き女帝」と恐れられるほどの傑物であった。

3人がレイシングラドへ到着した翌朝、即座に玉座の間での謁見が許された。


純白に近い美しいプラチナシルバーの髪に、吸い込まれそうなアメジストの瞳。

玉座に鎮座するレーシア王国第一王女、アークウィザード・ナスティーヤ=ノマロフが、凛とした冷たく美しい声で唇を開いた。


「――ミルキーウェールズ使節団一同、遠方より此度の来訪、大義である。レーシアは心より歓迎しよう」


漂う圧倒的な覇気。


北の覇者たる「氷の女帝」との命懸けの政治交渉を前に、トップエージェントであるカノープスすらも、握りしめた手にじんわりと汗を滲ませるのだった。

ページ下部の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると励みになります!」

ブックマークも大歓迎!!お願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。