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第34話 侯爵家の秘密

 シリルと共同戦線を張ることになったミシャーナだったが、何をどうすれば全て上手く片付くのかを考えなければならない。

 何から手を付けるべきか思案していると、頼んでいたお茶が届いた。

 カップをテーブルにセットしてシリルに再び椅子に座るよう促すと、ミシャーナは机を挟んだ反対側にあるベッドへと腰かける。


 まず、エリザの噂について聞かなければならないことがあった。


「シリル様、エリザ令嬢のことでお伺いしたいことがあるのですが」


「なんでも」


 シリルは短く相槌を打ち、用意されたティーカップを口に近付けた。安宿のお茶はあまり口に合わなかったのか、表情の変化が乏しい端正な顔にしわが寄った。


「エリザ令嬢は、何か魔道具のようなものをお持ちでしょうか? 治癒を促進したり、例えば場所を瞬く間に移動するような」


 シリルはピクリと眉を動かした。それからひとつ大きなため息をついた。


「ハァ、それを何故ご存知なのか聞くのは恐ろしいが……」


 少し迷った様子でモノクルの位置を直し、シリルはミシャーナをまっすぐに見て、続けた。


「我が家には昔から出入りしている魔法士がいるのです。その者から十年ほど前に買った精霊がいまして。その精霊の使役によって限定的ではありますが、様々な能力を使うことができるのです」


「せ、精霊を使役……? 妖精族でなければ難しいのでは?」


 ミシャーナはまた妖精や精霊が絡んでいることに驚いた。

 セリシエ領では妖精や精霊を祀ることはあっても、そのものは神話のような存在で誰も見たことが無く、ましてや使役するなど頭の片隅ですら考えたこともない。

 テレサが精霊を使っているのも妖精の血筋だからだと思っていたくらいで、まさか人間が精霊を使えるとは思いもしなかった。


「精霊を使役するには特別な契約が必要だ。そして、人の世では我がサラディア家にしかその方法は伝わっていないはずだ」


 ミシャーナは驚きと同時に、自分の中の好奇心が頭をもたげているのに気づいた。本来なら、お顔を拝見するのでさえ難しい侯爵令息と、砕けた話など滅多にできない。どうせなら知りたい情報は全て聞いてしまおうと思った。


「シリル様。必ず情報は伏します。その、使役精霊で使える能力を教えていただけないでしょうか。能力を知らないと、わたくしがエリザ令嬢とあの男に()()()()()()()()()()ができかねます」


 無遠慮過ぎないようある程度の距離は保ちながら、それでも確信を突く。シリルは「確かに」と小さく呟き、持っていた書類に何やら書き始めた。

 ひと通り書き終わると紙をミシャーナに差し出す。


「では、念のためこちらにサインを」


 書面を見ると「精霊とその能力について口外しないこと」「口外した場合はシリルの監視のもと、一生無給金で働くこと」と書かれていた。


「サラディア家で働けるのは、平民にとっては褒美ではございませんか? 衣食住に困らずに過ごせるだけで贅沢です」


 ミシャーナがあまりにも真剣に聞き返したので、シリルは面白そうに声を上げて笑い、催促するようにサインする場所を指した。


「わたしの監視のもとで、だぞ? 厳しくて辞めて行く者の方が多いくらいだ」


「私は口外しませんので、問題ございません。ただ……」


「ただ、何だ」


「私と共に闘っている仲間が居ます。必要に迫られた時、彼らに情報提供せざるを得ない場合があるかもしれません。その時はいかがいたしましょう」


 シリルは暫く思案し、仕方ないと言うように条件の欄に『ただし、致し方ない場合の情報共有は除く』と、一筆走らせた。


「譲歩できるのはここまでだ」


「ありがとうございます」


 ミシャーナは書類にサインをし、精霊の能力について詳細を聞いた。

 現在サラディア家は契約精霊を二体所有している。しかし、そのうちの一体は数年前に盗難に遭い、まだ見つかっていないそうだ。もう一体は空間移動と治癒の力を使うことができるらしい。


「精霊が盗難に遭うなんて、そんなことがあるのですか?」


「家門のことを調べた人間が居たのだろう。精霊を手に入れたところで、使役できるかどうかは怪しいがな」


「そう言うものなのですね。あの、ひとつご相談があるのですが」


「もう何でもいい、言ってくれ」


「はい、では申し上げます。セドリックですが、明後日には身内だけの結婚式を執り行うそうです。その際、かならずエリザ嬢に資金援助と精霊の能力使用を要請するでしょう。私としましては、油断している結婚式当日に資金をだまし取った詐欺という形で捕縛することをご提案致します」


「なるほど?」


 シリルはにやりと笑った。ミシャーナの新たな一面を垣間見、優秀な彼女を余計に欲しくなったのだが、当の本人は気付いていない。


「日程も少ない。あの男の処分については貴女の提案で行こう。申し訳ないが、一度話を纏めたいので我が家までご足労願えないか」


 ミシャーナが差し出されたシリルの手を取ると、辺りがまばゆく光り、二人の姿はその場から忽然と消え去った。

シリルがこんなにミシャーナにアピってるのに全然響いてないのでミシャーナって実はかなりの鈍感なのかもしれませんね。

シリルは知的ビジュ強でフィンはふんわりビジュ強。

清楚系ミシャーナはふんわりのほうが好きみたいです。


ざまあカウントダウン4

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