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魔物畑で快適ライフ!~生贄にされた少年は掟破りの魔物栽培で快適生活を手に入れる!~  作者: 十一屋 翠
第二章 辺境の生贄

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第25話 一触即発?

いつも応援、誤字脱字のご指摘を頂きありがとうございます!

皆さんの声援が作者の励みとなっております!

「ピーッ!」


 俺達の前には大量の魔物が転がっていた。

 全部ゲイル達が狩って来た獲物だ。


「いやー空を飛ぶ魔物を従えてから狩りが楽になったな」


 マッハが来てから明らかに狩りの精度が上がっている。


「それに本拠地に近づいてくる魔物を遠方から把握できるようになったのも大きいですね。強力な魔物が攻めて来た時はここから離れた場所で迎撃できますから」


 ククミスの言う通りで、新たに複数の空を飛ぶ魔物を従えた事で狩りだけでなく本拠地の警戒網を常時維持できるようになっていた。


「他の魔物達への連絡役にもなってくれるので伝書鳥よりも便利ですね」


 この世界通信魔法も存在するが、使える者同士でないといけないこと、そして遠方と通信するには高価なマジックアイテムの補助が必要な事もあってそこまで浸透していないらしい。

その為安価な通信手段として馬車を使った手紙か伝書鳥が主流なのだとか。

高くていいなら文字数の限られた電報ならぬ魔報もあるみたいだけど。


「あと鳥タイプの魔物は卵を産んでくれるのもありがたいよな」


 鳥型の魔物達は有精卵と無精卵が本能的に分かるのか、無精卵を俺達にくれるのだ。

 このおかげで卵が食卓に上がるようになったのは栄養バランス的にもありがたい。

 あと卵って色んな料理の材料になるしね。


「と言っても俺達って碌に料理できないからなぁ」


 せいぜい煮るか焼くかでちゃんとした料理は出来ない。なんなら平民のストレも戦士として育てられた事で料理は煮るか焼くかだ。


「すみません、どんなものでも食べられるようにと粗食の訓練ばかりしてきたもので」


 うん、まぁ環境が環境だし仕方ないよね。


「そこら辺ククミスは全然文句を言わないよな。お姫様なのに」


「ふふ、毒を盛られないだけ天国です」


『え?』


 ど、毒!? いや王族ともなれば毒殺の危険はあるのか。

 いやでもククミスは生贄になる事が決まっていたから権力抗争とは無縁の筈なのに……


「私なら嫌がらせしてもいいだろうと、死なない程度の毒を仕込んでくるものはいるのですよ。王家も死なないならと黙認していました。していました」


 二回言ったあたり相当恨みに思っているのが感じられる。

 王家の闇怖い。


「フォルス様、貴族の世界怖いです」


 うん、そうだね。


「あー、ええと、狩ってきた魔物を埋めて更に戦力が増えるから防衛面ではもう殆ど心配はいらないな」


「そ、そうですね! 魔物達も種類が増えていますから、様々な敵に対応できますし!」


 今なら水場のバックアップを受けた蛇の魔物と戦っても安定した勝利を収める事が出来るだろう。


「ええ、今なら王都に襲撃して甚大な被害を与える事が出来るでしょう。ですが確実な勝利を収める事が出来るかと言われるとまだまだ不安ですね。もっと強力な主力級の魔物を何体か揃えたいところです」


 あかん、まだ闇が、いやこっちに矛先が向かないならいいか。王家は今のうちに滅びる準備をしておいてください。

 と、そんな和やかな時間を送っていた時だった。


「ピィー!」


 マッハが俺達に警告の声を上げた。


「何だ?」


 マッハは拠点の上空をグルリと一回転するとどこかに飛んで行く。


「アレ? そういえばマッハは狩りに同行していった筈だけど……もしかして何かあったのか!? 行くぞ皆!」


 俺はゲイルに乗ると足の速い魔物達を引き連れて先行するマッハを追いかけてゆく。

 そしてマッハが移動を止めて空の上でグルリと回るのを見ると、近くの高台に移動してその下を確認する。


「あれは……騎士団か?」


 マッハの下に居たのは騎士らしき鎧で武装した集団だった。

 騎士達は岩場に隠れて動く様子はない。


「こんな場所で何を……」


 俺は騎士達が何をしているのかと周辺を見回す。すると彼等の視線の先で魔物達が戦っているのが見えた。


「アレは……ウチの魔物達か」


 魔物達は二つの群れで戦っているが、その内の片方は俺の従える魔物達だ。


「魔物達の戦いが終わった所で漁夫の利をえようとしているのか?」


 だとしたら魔物達が心配だ。

 急いで援軍を送るべきか、そこから逃げるよう指示を出すかどちらにするか迷っていた俺だったが、答えを出す前に戦いが終わりを迎えてしまう。


「やばい、とりあえず逃げる様に……ってあれ?」


 戦いが終わったにも関わらず騎士達は魔物達に攻撃を仕掛ける様子がない。

 それどころか魔物達が去るまで大人しくしていた。


「何かの隠密作戦中だから魔物からも隠れているのか?」


 騎士達の目的が分からず困惑していた俺だったが、そこで騎士達が動き出す。

 彼等は物陰に隠れながら魔物達の追跡を始めたのだ。


「魔物達を追いかけている? でも何で?」


 理由は分からないが、このまま尾行させると拠点の場所がバレてしまう。

 マズいと思った俺は旗を振ってマッハを呼び寄せる。


「群れの皆に人間が追いかけているから拠点とは別の方向に進んで、休めそうな場所に着いたら狩った獲物を食べてくれって伝えてくれ」


「ピィ?」


 食べていいのかと聞き返してくるマッハ。


「ああ、追いかけてくる連中にそこで暮らしていると誤解させるんだ」


「ピッ!」


 マッハはすぐに仲間達の下に飛んでいくと、上空で一声鳴いてからその場を離れる。

 同時に魔物達は少しずつ進路を変えていく。


「これで拠点バレは避けられそうだな。俺達も一旦拠点に戻ってこの件を相談しよう」


「ワウ!」


 ◆


「騎士達が魔物の群れを追跡ですか?」


 拠点に戻って来た俺はすぐにククミス達に一連の出来事を伝える。


「どういう事でしょうか。騎士達が魔物の群れを見つけたのなら、戦力的に不利でない限り討伐を開始すると思うのですが」


 魔物達の規模と騎士団の数を伝えるとやはり戦わないのはおかしいと首を傾げるククミス。


「あの、その騎士達は聖域の中で活動していたんですか?」


 と、ストレが尋ねてくる。


「ああ、聖域の中だった」


「おかしいですね。基本的に聖域は入っていけない場所です。勿論生活の為に聖域の中で採取する人達はいますが基本的に騎士が聖域に入る事はありません。彼等が集団で魔物と戦うなら聖域から出て来た魔物になりますから」


 ああそうか、確かにそうだった。

 聖域には基本人は入ってこないという事を忘れていた。


「しかも魔物達の戦いの隙を突くでもなく追跡に徹する。完全に何かの作戦行動ですね」


 何かの作戦行動、嫌な予感しかしないな。


「魔物達の戦いが終わっても何もしなかった……もしかしたら騎士達は魔物の大移動を恐れているのかもしれません」


「魔物の大移動!?」


 聞いたことがある。魔物の領域から突然魔物の集団が現れる現象の事だ。


「確か相当数の魔物が一斉に動く事から町や村にぶつかったら甚大な被害が出るんだったっけ」


「聖域内での食料が不足した時に起きる現象と言われていますが実際の所は分かりません。分かっているのは無数の種類の魔物が同時に移動する事と相当の被害が出る事だけです。」


「複数種の魔物が同時に移動……」


 うん、思い当たる所しかない。


「俺達が原因……だよな」


「恐らくは。騎士達は偶然このことを知って群れの本隊を探しているんだと思います」


「って事はこのままだと……」


「ここがバレます」


 やばい! そんな事になったら最悪俺達が魔物を産み出して被害を産み出す元凶と勘違いされかねない!


「今のうちにどこか遠くに引っ越すか?」


「相当遠くに逃げない限り原因が見つかるまで探しに来ると思います」


「ミミミミッ!」


 と俺が引っ越し案を提案したら突然ダンテが怒った感じで会話に割って入る。


「うわっ!?どうしたんだよダンテ!?」


「ミミミーッ!」


「もしかしてダンテちゃんは引っ越しが嫌なんでしょうか?」


「ミッ!」


 ククミスの問いにその通りと頷くダンテ。


「けどなぁ、このままだと俺達の事がバレて戦いになるかもしれないんだぞ」


「それなんですが」


 と、ククミスが手を上げる。


「いっそ本当に戦わせてみてはいかがですか?」


「え?」


 とんでもないことを言い出した。

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