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第三十五話 前世の夢

私はヴィヴィを色んなところに連れ回して転移魔法が使える範囲を増やしていった。勿論、騎士団としての仕事は疎かにせずノアとの約束も守るため毎日ノアに会いに行った。

そんな日々を送っていたら翌朝、私は頭痛と高熱により一日寝込んでしまう。その時の夢は忘れようと思っても忘れられない夢だった。






*****






“貴方の苦しみ、私が救います”


目を開けると画面にその言葉が書かれていた。画面には女の子が剣を持って吸血鬼らしき人物を切ろうとしていた。


「よっしゃー!来たー!!もうすぐクリア!!二回目のルートがやっと解禁されるー。流石、ゲーマーの友達の知恵!!」


私は背伸びする為に一度立った。あれ?私ってこんなに髪、ボサボサだったけ?それにこの顔は…誰?


「千夏!もうすぐ大会なんでしょ!ほらほら!早く行きなさい!…ってまたゲームしていたの!いい加減にしないと没収するわよ!」


「…お、お母様?」


「お母様?何企んでいるか知らないけどそんな事を言ってもお小遣いあげませんからね!」


このショートヘアの女の人はどこかで見覚えがある。だって前世の記憶から…あれ?前世の記憶?何のこと?


「お母さん!千夏の竹刀しらない?」


「玄関にあるから早く準備しなさい!」


千夏と言う人物は「はぁーい」と言って制服に着替えてお母さんが作った弁当を持って家から出ていった。


それから数時間後、千夏は家に帰ってきた。


「お母さんー。県大会、優勝したよー!疲れたから部屋に籠るねー」


そう言って部屋に入って今朝やっていたゲームの続きを始めた。


「一回目のルートは裏ボスは死んだけど二回目はエレナと結ばれるのよねー。二回目のルートは初めてだからドキドキするな」


千夏は器用にゲーム機を操って操作を初めていった。そしてメニューから「精霊からの好感度」と言うボタンを押してページを開いた。


「好感度上げて正解だね。聖剣って精霊からの好感度によって威力が変わるし面倒くさい所なんだよな。暴走した吸血鬼を倒すにはこれくらいが丁度いいってゲーマーの友達も言ってたしこのまま進めるか」


千夏はそのままストーリーを進めていった。一時間もしたら今度は二回目限定のストーリーが出てきて興奮していた。


「えっと…この聖剣を使って今度は倒す訳ではなくて魔力を吸い取るのかな?前回になかった分岐点があるし」


一回目には現れなかった選択の方に千夏は選択をして進めていった。


「お、おおぉぉー!!クリアには魔力を吸い取るだけで無くて####をしないといけなくて…」


千夏が言っていることがよく聞き取れない。時々、モヤがかかってノイズが聞こえてくる。


そう思っていたら〝こちらの世界〟の意識が無くなった。






*****






私は目を覚ました。今度は〝現実の世界〟の方で。熱は下がったからベッドから出た。


「この夢は…もしかして前世の記憶?千夏って前世の私の名前なのかな…」


それよりも私は重要な事を知ってしまった。裏ボス攻略する時にノアは聖剣を持ったエレナに殺される。だがエレナは攻略対象を全て攻略していないはず…なぜこんな夢を見たのだろうか。裏ボスは全員攻略していないと出てこない特別キャラなのに……。

でもノアを守らないとならない。仮に殺されないとしてもエレナには聖剣を目覚めされるわけにはいかない。目覚める、とかの情報は先程の夢のお陰で分かったことの一つだ。暴走したノアを止める為、エレナは聖剣を目覚めされて暴走を止めた。現在のエレナはそのような場面は無くて聖剣には目覚めていない。なら目覚めないようにノアに近づけないようにしなければ。


「そうと決まればノアの所にいかないと!ヴィヴィ!転移魔法でノアの山に連れて行って!」


「分かりました!」


そう言ってヴィヴィはアメリアを連れていった。






_______________






ーーその頃のエレナ


「やっと見つけたわ!」


エレナは目を輝かせて言った。


「フィリップス王国にあるネルソン王国寄りの山にいるのね。丁度、近くに来ていたから寄ろうかしら」


そしてエレナは山に向かって歩き始めた。






_______________






その頃の二人は知るよしもなかった。この二人の行動によりゲームの物語がまた始まろうとしているなんて。

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