第十七話 居酒屋
いつもり文章は多めです。
私は会議室へと向かっていた。するとガブリエルと鉢合わせした。それもそうだろう。今回、会議室へと呼ばれたのは各騎士団の団長だ。つまり行く場所が一緒だからどうしても会う。
ガブリエルは私の首を見て少し驚いて不機嫌になった。すると私の首元にタオルを巻いてきた。
「あの男もやるよな…アメリアちゃん、これは見せてはいけないよ?」
「これって…虫刺されのことですか?」
「……アメリアちゃん、流石に鈍すぎ。だけどそんな君も可愛いな」
「ガブリエル、前に進みながら話してください。もうすぐ会議が始まりますので」
「つれないなー。どうしたらアメリアちゃんは振り向いてくれるかな」
そうガブリエルは言いながら小走りの私に着いてくる。そうしていると会議室へと着いた。今回はこの国の王様と王子も出席していていつもの会議よりも緊張が走る。
「失礼します。」
私はガチャとドアを開いて挨拶をした。そして出席している方に礼をした。
ガブリエルはというと部屋に入ると先程とは別人のように挨拶をして礼をした。
今回は第一騎士団の団長アダム、第二騎士団の団長ガブリエル、第三騎士団の団長私ことアメリア、第四騎士団の団長ラファエル、第五騎士団の団長ジャック、国王陛下、第一王子、第二王子が集められた。
この会議の内容はこの面子からすると国が関わる重要なことだと思う。
私とガブリエルが席に着くと会議が始まった。
「それでは今から会議を始める。今回は第一騎士団の団長アダムが司会進行させて貰う」
とアダムが最初に口を開いた。
それから国王陛下が今回の会議の内容を話し始めた。その内容は隣国のネルソン王国の魔物が増えていてこの国の騎士団の力を助けてほしいと言う内容だった。
正直私は嫌な気分しかなかった。故郷とは言えど国外追放された国だ。その話はあまり聞きたくなかった。
「第一騎士団、第二騎士団、第三騎士団はネルソン王国の魔物退治へと向かって貰う」
ガチか…。国外追放されたとは言えど、これでは故郷に必ず戻らないといけない。ソフィアや両親に会えることは嬉しいがーーネルソン王国に行くということは一度城へ挨拶しないとならない。要はエレナに会うのだ。
エレナに会ってしまうとまた目をつけられる。それだけは避けたかった。だがここで拒否する権限は私にはない。よって引き受けないといけない。
「「「了解致しました」」」
「続いてはこの国の魔物だがーー」
それから1時間経って会議は終了した。その後、私はアダムとガブリエルに酒を誘われ行くことになった。騎士団以外での交流も大切だ。だがノアにバレると何を言われるか分からない。少し警戒しながら行ったがいなかったので安心してしまう。
酒場に着くとガブリエルが話しかけてきた。
「アメリアちゃんは今回のネルソン王国に行く件に乗り気じゃなかったけど、どうして?」
「よく見ていましたね……」
「いやー、明らかに嫌そうだったからね。アダムも分かっただろ?」
「ああ」
「えっと…ネルソン王国に行きたくない理由…ですか。ちょっと話が長くなりますがそれでも大丈夫ですか?」
「アメリアちゃんの話しなら何でもいいよ」
それから私は元婚約者のネルソン王国の王子に身分剥奪され国外追放された事を話した。そして元公爵令嬢だったことも。なぜこの事も話したかと言うと王子の元婚約者だったから身分を聞かれた。
最初は私が公爵令嬢だったことに驚いたがさほど驚いても無いように見えた。
「ガブリエルとアダムさんはあまり驚かないのですね」
「貴族なのは分かっていた。それに知識が貴族の中でも王族寄りだったからな。公爵、侯爵、王族の中に絞られるだろう。」
流石アダムさん。よく見抜いたな。知識なんて王族寄りか分からないだろ。普通。だがアダムは公爵で第一騎士団の団長だ。その知識があってもおかしくない。それに第一騎士団の団長は全ての団長のトップだ。要はこの国の中で一番強い。
私も何度か試合を申し込んだが勝った試しがない。
「ねぇねぇ、アメリアちゃん。婚約者の何処か好きなのー?あんな独占欲が強い男を好きなんてアメリアちゃんも物好きだね」
「ノアはああ見えて可愛いところが沢山あるのですよ。今なら一晩中語れる気がします!」
「それは嫌だな」
ガブリエルは苦笑いして来た。
「アメリアちゃん、この三つの騎士団でコリンズへ行ったことは覚えてる?」
「覚えてますよ。ガブリエルが問題起こした奴ですよね」
「そうハッキリ言われると少し傷つくなー」
「でもあれがきっかけで私はガブリエルのことを呼び捨てにし始めましたし、仲良くなれて良かったと思いますよ。あれ?今思えばあれからガブリエルの求婚が始まったような……」
「ねぇねぇ、アメリアちゃん。本当に僕と結婚する気はないの?」
「私はノア一筋ですので」
「いいなー。アメリアちゃんに愛されている男は。」
「でも私だって最初は男を好きになるのは躊躇しましたよ。一度、婚約解消されて傷つくましたので」
「さっき話したネルソン王国の王子との婚約解消のこと?」
「ええ。」
「……ねぇアメリアちゃん。何か隠してない?」
「隠すって?」
「どうして国外追放されて婚約解消されたのか」
「それは…言わないといけないのですか?」
「うん。出来れば言ってほしいな」
「ガブリエルが聞きたいのであれば答えますが…。私の事は馬鹿だと思って聞いてくれて大丈夫ですので遠慮なく言ってくださいね」
私は従姉妹のエレナにハメられて国外追放されたこと話した。私がこの事を話さなかったのはこの事の自分が嫌いだったからだ。逃げてしまった自分がーー。
だから逃げてしまった事も言った。言わないとガブリエルに何か言われそうな気がしたからだ。
「こんな私が嫌いなんですよね…。だから今はそんな私を乗り越えるために騎士団に入ったと言ってもいい程ですよ。お陰様で逃げる心は無くなりました。ガブリエルやアダムさんのお陰です。ありがとうございます」
私は微笑んだ後で精一杯の礼をした。するとガブリエルとアダムに顔を上げるように言われた。
「僕は何もしてないよ。…それにそのアメリアちゃんの笑顔は卑怯だよ?」
「ノアにもよく言われるのですが卑怯ってどういう事ですか?何か解せないです」
「本人は自覚なし…か。天然タラシだね。アダムはアメリアちゃんのことどう思う?」
「俺はアメリアの事は心が強い人間だと思うからネルソン王国に言っても大丈夫だろう」
「アダムさん、ありがとうございます。」
私はアダムに礼をした。騎士団の中で一番強いとされるアダムに心が強い人間、と褒められるのは私にとって、とても光栄な事だ。
頭を上げたらガブリエルが私に話しかけて来た。
「僕はアメリアちゃんの従姉妹が気になるんだけどさ、どんな性格なの?」
「そうですね…人の物を取りたくなる性格とでも言いますか。特に私の」
「そういう事か…。話が繋がったよ。ねぇ、アメリアちゃんは公爵令嬢の時の正式な名前は何だったの?」
「アメリア・マルティネスです」
「マルティネス家か…結構権力持っている家だね。」
「顔が広くてマルティネス家の当主には何度か会ったことがある」
「お父様にですか」
「ああ。とにかく商売の腕が凄い」
「それは分かりますわ」
「あのさアメリアちゃん、噂のことだけどさ」
「噂ですか?」
「うん。レオナルド王子が婚約解消された後から功績が残されていなくて会社が傾いているって聞いたんだけど。この婚約者はアメリアちゃんで間違いない?」
「はい。と言うかやっぱりあの駄目王子は会社を傾かさせているのですね。それに功績も残していないんですか…」
「やっぱりって?」
「今まで功績を残したのは私が影であれこれやっていたからなんですよね。今思えば何でそんな事をしたのだろうと思いますよ」
「どうしてそんな事をしたの?アメリアちゃんに何も利益は無いはずだよ」
「今は違いますが当初、愛していた人から頼まれたら断れないじゃないですか」
「アメリアちゃんもそんな気持ちがあるんだね…。少し意外だったかな。よし!今日は飲もう!」
「そうさせて頂きますわ」
それから私は飲んで数時間後、寝てしまった。その後はあとから聞いたがガブリエルが家まで運んでくらたらしい。
それで何か欲しいものが無いか尋ねたら私が欲しいとか馬鹿なことを言ってきた。




