第十五話 二度目の婚約
あれからノアが耳元で囁いた言葉が離れない。これでは集中が出来なくなる。なので私は精神統一の為に山で拾った薪で薪割りをしていった。
薪割りをしながら外を見ていると、この国の騎士団が通っていくのが見えた。
そう言えばこの国の騎士団はトップレベルの強さで有名でしたわね。もし私が騎士団に入ったらエレナに仕返しでも出来るかしら。
だが今は衣類関係の事業もやっているから時間があるか悩みどころだ。だけどもしも騎士団に入ったらノアを守れる。ならーー入るべきかしら。騎士団。
腕はいい自信がある。前に説明したかと思うが私は剣術は得意だった。それに前世では剣道部で全国大会で一度だけ優勝した事がある。だから誰よりも自身はあった。
だが前の狼の件といい、あまり強くなかった自分が情けない。なら騎士団に入って強くなるしかない。
そう思ったら私は行動が早かった。年に二回ある騎士団に入る為の試験は1ヶ月後だ。そこまでに腕を鍛えていった。勿論ノアには内緒で。何故ならば心配するからだ。
だがそれよりも恐れていることがある。それは騎士団に入る事を辞めさせることだ。ノアなら考えられる。だから言わなかった。
そして私は鍛えるために元騎士団に入っていた村長に相手をして貰った。ノアに隠し事を作るのは気が引けたがノアを守るため、私は心を鬼にして頑張った。
ノアに怪しまれるのは駄目なので毎日山にはいった。ノアに会いに行くと「筋肉がつき始めたな」と言われ最初は心臓がドキドキしていたが今はスルーできるくらいまで上達した。
それから1ヶ月が過ぎて入団試験が行われた。筆記試験もあったがネルソン王国にいた時、王妃になるために頑張って勉強した知識が役に立った。
そして実力テスト。これも難なくクリアして私は騎士団に入団した。
入団した時は珍しがられた。この国の女騎士は珍しくて数年に一人しか入らないからだ。
それから数日が経ち、私はこの事をノアに報告した。そしたらとても機嫌が悪くなった。
「アメリア、君はあの男が沢山いる騎士団に入団したのか」
「…?は、はい。」
「僕は君を甘やかしすぎたのかもしれないな。入団してしまったのはしょうがない…だが辞めれるならすぐに辞めてほしい」
「私は辞めませんわ。ノアはどうしたら認めて下さるかしら」
「…そうだな。僕は君を愛していると言っているがそれは言葉だけだったな。今思えば」
「そ、そんな事ありませんわ!」
「アメリア、僕と婚約してくれないか」
私は思わず口に入れていた紅茶を吐き出してしまった。だが決して嫌だった訳では無い。驚いただけだ。
ノアがその事に気にしていたなんて…ちょっと可愛く思えてしまった。ノアが望むなら婚約ぐらいするのに。
「ノア、婚約がしたかったのなら言ってください。私は大歓迎ですわ」
「ありがとな。口約束では何だからこの紙にでもサインをしてくれないか?」
その紙には婚約の事が書かれていた。
もしかして前々から婚約するか悩んでいたのか。でないとこんなにビッシリ文字が敷きつめられている資料は作れないだろう。
本当に可愛いわ。こんな事を本人に言うと怒るだろうけど。
「いくらでもそんな紙、サインをするわ。ノアが望むなら」
「アメリア、愛している」
ノアは微笑んで言ってきた。
不意打ちは卑怯だ。思わず赤くなってしまったではないか。そんな私にノアは喜んでいる。
「アメリア、君にどんなにこの気持ちを伝えても伝えきれないだろうな。だけど俺は一生伝えていく。」
「私もノアのことを愛していますわ。私だってノアを思っている気持ちは負けませんわよ」
フフと私は笑う。とても嬉しかった。こんな幸せな日が来るなんて思ってもいなかった。
癪だがこんな幸せな日を遅れているのはあの日にレオナルドが婚約解消を言ってくれたお陰だ。それを言うならレオナルドを落としてくれたエレナに感謝だ。
「アメリアもよっぽど不意打ちが得意だな。その笑顔、可愛い。俺の所に閉まっておきたいぐらいだ。だけど君は閉まってもすぐに何処かに行くだろうな」
確かに私は何処かに閉じ込められても体がウズウズしてすぐに何処かにいく。だけどそれはノアの側に居たいからだ。
「私はノアの側にいれるだけで嬉しいですわ」
私はこんな幸せな日々が続くと思っていた。だがそれはいつか無くなるものだと後で分かった。
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ーーネルソン王国 <エレナの部屋>
「アメリアが幸せになっているような気がするわ。国外追放されたのによく懲りずに…。私が〝警告〟してあげないとね」
エレナは悪魔の笑顔をしてフフと言った。その顔には使用人も驚いて怯えた。




