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60話

前回までのあらすじ

シルヴィア帰還

融合してなんか大変な事に!

アストを救出しにいく事になった!

ここから4章かなぁ

アストは水をかけられて目を強制的に覚めさせられた。


「てめーはよう。いい加減その反抗的な眼をやめろ!ムカつくんだよ!」


「そうだぜ~向こうの別荘で死んだ眼をしてるおっさんを見習えや!」


別の牢にいる死にかけの男を指さしていう。

そういう罵倒と共に動けずに床に寝ている俺を蹴りつける。

外がまだ昼間だと辛うじてわかる程度にある鉄格子の小窓からの光が目に染みた。

体中に打撲を受けて手枷、足枷を付けられている。

この二つの枷には魔術が施されており魔力を使用できないようになっている。


今なら分かるが俺には心が3つ存在していた。

一つは前魔王と名乗る「ティアスト」すでにその人格はないが記憶はすべてある。

そして幼いながらに力を求めた理由がこの記憶だった。

おぼろげに存在していた記憶は今でははっきりと思い出せていた。

信じていた者に裏切られ、逆に裏切り者のレッテルを張られて殺されていた。


ーーーなんて無様だ。


最初から信用などするべきじゃなかったのだ。

金と権力と己の欲望に簡単に転んでしまうような人間たち。

今もそうだ。

貴族社会で平穏に暮らせていたのならこんな事態にはなっていない。

たまたまだろうが権力者に目を付けられただけで、すべてを失い床に這いつくばっている。


ーーーなんて情けない。


単に求めた力が足りなかったのだ。

だが、今の俺には可笑しなくらいの魔力がみなぎっていた。

本来の力を取り戻したかのような感覚に最初は戸惑ったが、この力があれば一矢報いる事ができそうだった。

記憶にある魔法の一つであれば使えそうだったのだ。

その魔法「爆裂魔法エクスプロージョン」を使用できれば半径100メートルは吹き飛ばせそうだった。

この手枷、足枷のせいで魔法を放つ事は出来なくても。自分自身を爆発させる事ができそうだと考えたのだ。


公開処刑で集まる群衆とそれを確認する貴族、王族達をまとめて飛ばす。

ははっ、この国の上層部まとめて吹き飛ばすのだから、命の使い方としては申し分ない。


この国の人間に「復讐」と言うのはその者の命すら使って行われる事を理解させてやるのだ。

その為ならこんな苦痛などまるで気にならない。


「おい、今日はこれくらいにしとこうぜ。殺しちまったら俺らが次の生贄にされちまう」


「あ、ああ、だけどよ。こいつ、ムカつく目をしてやがるからよぉ」


「公開処刑の日取りがまだ決まっていないんだから、まだ生きててもらわねーとまずいだろうが」


どうも、何やら上の方で話がまとまっていないらしく一向に公開処刑が決まらいのがもどかしかった。

ハッ、さっさと俺と一緒に公開処刑されやがれくされ貴族どもと心で悪態をついておく。


散々殴られ蹴られた俺はそのまま意識を失う事になった。

明日の朝にはまたポーションでもぶっかけられて殴られるんだろうがな。






ガキンッ。




金属が大きな音を立てた事で目を覚ました俺は奇妙な物を見ている。

小窓からの光がない事で夜中である事が解る。牢の外にはいくつかの蝋燭の灯りが見える。

しかし、奇妙なものはその蝋燭の灯りが揺れている中でこの牢獄の鉄格子を剣で切り裂こうとして失敗したらしき美女だ。

真っ白な肌と赤く美しい髪とドレスをし、人間離れしたその完成された美がそこにあるのだ。

俺好みの美女ではあるが夜中に見てる夢なのだろうかと思う。


「む。剣の扱いは苦手じゃのう。やはり拳で行くかの」


そう言うと持っていた剣が小さくなって消えた。

夢でも見ているのかと思ったが・・・どうやら実在しているらしい。

どこかの猛獣並の腕力でもあるのか1本の鉄格子がへし折れて寝ている俺の横を通過し牢の壁に突き刺さった。


「おっと、まずいのう。もう少しで事故死させるところじゃった。

 やはりこの身体だと加減が難しいようじゃのう」


見た目では解らない化物がそこに居た。

わざわざ俺の目の前にいるどこか人ではない雰囲気を纏った美女だ。

カツン、カツンと靴の音だけが響いているが目の前でそれも止まった。


「起きておるのじゃろう?」


「誰かしれないが、こちらに用事はない。さっさと逃げとけ。

 すぐに衛兵に囲まれるぞ?」


顔を上げて相手を斜めに見据えながら。


「そんな綺麗なドレスを着てる所をみるとパーティ会場と間違えたか?」


そんな軽口をたたいて追い出す事にしておく。


「ふふふっ。お主魔力が上がっておるな?何かあったと見えるのう?」


「あったとしてもお前に関係はねぇよ。さっさと消えろ」


さっさとどこかに行って欲しいもんだ。

こっちは公開処刑でやる事がある。

体力は少しでも温存しておくべきだからだ。


「む、まだ、記憶の方は戻っておらぬのかのう?

 この気配は間違い無くあ奴と同種じゃというに」


記憶?

どうしてそれを・・・ってこいつまさか・・・。

いや、どういう事だ?

あの結界を抜けたという事か?


「お前、まさか・・・シルヴィアなのか?」


「む。やはり記憶も戻っていたようじゃなぁ。久しいのぅ。ティアスト」


俺はにやりと妖艶にそして残虐に笑うその表情に戦慄した。

心の中で「ビビってねーし」と唱える。


「本当に久しい、そうじゃ実に500年ぶりじゃ。

 して、お主。少しは立ってこちらに向き合ってもよいのではないのか?」


「見りゃわかんだろーが、拘束されてんだよ」


「拘束? 可笑しなことをいうのう。

 今のお主にはそのような物子供のおもちゃであろう?」


どこまで見抜かれているかわからねーが俺の力に関してはもう把握しているのかもしれない。


「だからって抜け出すわけにもいかねーだろうが?

 それにな正当に裁かれて無罪を勝ち取ってやるさ」


犯罪者が逃げ出したところでいつかは捕まるだろう。


「ふっははははっ、相変わらずじゃお主はなぁ。またそうやって嘘を吐く!!」


そう言うと俺の腕にはめられた枷を拳で殴りそのまま牢獄の石畳をへこませる。

目の前を拘束魔道具の破片が舞う中に不敵に笑う美女が居た。

評価、ブックマークありがとうございます。


2万PVまでもうちょっとかな。感謝!

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