59話
前回のあらすじ
Aランク冒険者PT 「蒼穹の翼」眷属として生き返る。
アードラと合流。変装魔法を習得して調査。
アストの身柄判明
シルヴィアが帰還
〇アードラ視点
「む、大方の予想通りじゃな。さてとどうするか」
そういうシルヴィアは眷属を膝まづがせていた。
無意識なのかわからないが彼女たちは見た瞬間にそうした行動をとっていた。
「所で、いつまでそうさせておくのですか?」
「む、そうじゃったな。楽にしてよいぞ」
言われるが否や緊張からかガクッと力が抜けたようになった4人。
眷属を持てるだけの力を持っていない私には解らないが、
どうやら、4人には本能で主とわかる何かがあるらしい。
「む、それとお主らに云わねばならん事があるのじゃ・・・
ここに聖女がおらん事でお主らも気が付いておるかも知れんが・・・」
そう言えば、シルヴィア様はこの4人を眷属とすると共に聖女を救うと言う約束をしたらしい。
「はい、覚悟はできています。私が殺される前にすでにこと切れていましたから」
そのパーティリーダーであるシスディナの話で状況は皆把握している。
いうなれば間に合わなかったのだ。
「う、うむ。そうか・・・」
何か言いづらい事であったのだろうが、
眷属にそこまで配慮するのはどういう事なのだろうか?
「ではちょっとばかり変わるのでな、話をするとよい」
そう言うと、目の前の赤い幼女魔王ことシルヴィアは金色の光の中姿が変わっていく。
金髪の髪と白いドレスの女の子まるで・・・。
「アクシア姫様!」「姫さん!」「聖女様?」「姫様!」
4人が驚くのは無理もない。
目の前に現れたの少女がゆっくりと目を開くと、そこには翠と金の瞳が輝いていた。
さすがにありえない光景だった。
いやいや、確かシルヴィア様の力で別人になる事は出来ないはずだ。
「ど、ど、どどどういうことです?」
私は思わずどもって聞いてしまう。
「お久しぶりになりますね。蒼穹の翼の皆様。それとアードラさんでしたか」
そう言うと、優雅にほほ笑んだ彼女は私の知るシルヴィア様ではなかった。
「あ、あなたは誰です?シルヴィア様はどこに?」
我らの王はどこに行った?
こんな小娘等、私はしらない。
が、恐らくはこれが聖女と呼ばれる人物であり
ゼネデイロ聖王国 第4王女 アクシア・ゼネデイロ 本人の可能性が高い。
言葉遣いが違う。
あのロリっ子で在りながらおばあちゃんのような喋りが無くなっている。
纏う雰囲気が違う。
他者に恐れを抱かせるような圧倒的強者の雰囲気が無くなっている。
何より、変えられないはずの別人に変わってしまっているのだ。
まさかはあり得ない。が、この小娘が何かしたと言うなら放っては置けない。
漏れだす殺気に辺りが
「そんなに殺気を向ける必要はありませんよ。アードラさん」
「貴女の事は初見だと思うんですがね?それとも何ですか?
すべてを見通すと言うその眼が原因ですかね?
軽く潰しておきますか?」
もしかしたらこの小娘にやられたかも知れないと思うとイライラとしたのだ。
「ま、まってくれ、アードラ殿。多分、シルヴィア様は大丈夫だから!」
そう言って止めに入るシスディナに免じて一旦は拳を下ろす。
彼女には何やら確証があるらしい。眷属だからだろうか?
「で、どういう事です?」
「はい。それではご説明しますね。
端的に言うと私とシルヴィア様の身体が融合してしまって戻れなくなりました」
「は?」
融合?そんな事が起こりえるの?
「あの時凶刃に貫かれた私の身体に入ったシルヴィア様が眷属化を行ったのですが・・・
聖女の身体がそれを阻害してしまって・・・出来なかったんですが・・・
話では全力で力を使い眷属ではなく支配しようとしたらしくそのまま同居してる感じですね」
詳しくはよくわからないらしい。
「それでですね。どうも別人格としてあると考えて頂ければいいかと思います。
変わろうと思えば変われますので」
え?そうなんだ・・・。なんかちょっと納得がいかない。
「実際、私と、シルヴィア様ともう一人の人格がいまして・・・
その、色々とご迷惑をおかけしますが皆さんよろしくお願いしますね?」
そう言うと再度、その身体から光あふれだす。
先程のシルヴィアからアクシアへと変わった時と同じ状況だった。
ただ、その光が段々と赤へと変わっていく。
恐らく元に戻るのだろう。
「む。もう戻ったか。どうじゃすごいじゃろう?」
ニカッと牙をむき出しにして笑う幼女がいる。
どうやら自慢したいらしかった。
「すごいじゃろ?じゃないです!
一体何を考えてこんな事したんですか!
貴女は我ら魔族の王なのですよ!
もう少し慎重に行動してください!」
「む。口うるさい宰相のようじゃのう」
本人に悪かった自覚があるのだろうが憎まれ口を叩く子供にしか見えない。
「それよりもじゃ。眷属となったお主らに問おうかのう。
この国を捨て我と共に来る気はあるか?」
眷属と言いながらもその自由を認める主なようでそんな事を言い出す。
まぁ、元人間である。田舎にでも引っ込んで魔族とばれない様に残りの人生を楽しめばいい。
魔族に加わる必要性など無いのだから。
「主よ。それは復讐も含むと言う事でしょうか?」
「そうじゃ、復讐に関しては忘れ別人として暮らすも良いと思うておる。
じゃから強制はせぬよ。決めるのはお主らじゃ」
私が思うにはっきり言えば彼女らは足手まといである。
強さが魔族基準であるアードラにはとてもじゃないが魔族領で「外出許可」が貰えそうなレベルにない。
「ハッ、馬鹿にしちゃいけねーぜ?ウチらだって覚悟決めてんだ。ついてくに決まってる」
「まぁ皆がいうならいいよ~もう魔族だし?」
「魔族が使う魔法にも興味がありますね」
全員が人間としての未練がなさそうな事を言う。
それとも復讐に燃えているのだろうか?
シルヴィア様に至っては頬をかきながら困った表情だ。
「む。そうか、あまりこういう事は言いたくないのじゃが・・・
まったく、バカなやつらじゃのう」
ふふふっと笑いながら言う様は彼女らの主にふさわしい風格さえあるのかもしれない。
ただ、見た目が幼女でなければ。
皆それを可笑しく思ったのか笑っているのだ。
「では、主。我らにご命令を」
「む。最初の仕事じゃ。まずはアストの奪還を行うのじゃ!」
昼間から芝居じみた主従の演技が行われていたのだった。
ここだけ見ると平和なものだった。
そしてその日の深夜。
王都の衛兵詰め所が謎の爆発により崩壊したのだった。
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次辺りから主人公にもどる?かも?




