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40話

ここから3章になる予定です。

プロローグ的な?あと8万文字超えました!400字詰め原稿用紙200枚ってすごいなぁ。

〇アードラ・スフォリス 視点


あの少年と別れてからすでに2か月。

帰省の話をしたが場所までは言っていない魔族領はかなり深い森の中にあるのだ。

人間たちからは「迷いの森」と呼ばれている場所だ。

ここに魔族領がありここで迷うのには訳がある。

「大結界」と言われる物が存在しているからだ。

この「大結界」は霧状の結界で入ると周りが見えなくなる程の濃い霧に包まれる。

いくらまっすく進んでもここ抜ける事は出来ない。

霧を抜けたと思ったら別の場所にでるのだ。


なのでここで必要なのが魔道具である。

帰還の魔道具として作られたもので魔族以外は持っていない。

厳密にいえばある程度強者の魔族だ。

人間に奪われる事が無いように最低限の資質がある者にしか渡されない。


霧の中を進み魔道具に魔力を注ぐと辺りの霧が離れていく。

霧が消えるのではなく離れるのだ。

そのまま魔力を維持し続ける事でこの霧の壁を抜けていけるようになる。

これにも数時間の魔力の供給が必要である程度の実力に要求されるものだ。


そして魔族領の隠された都市「ガルイック」へと帰還する。

城門があるが、その役目はほとんどない。

門番が立っており、一応の警戒はされている。


「ただいま、戻りました」


「ん? あーアードラか?お疲れさまだな。

 魔王代行殿に先に連絡を入れておくから王城に向かってくれ」


「はい。分かりました」


挨拶をして門をすんなりと通る。

実際は通る人の数が少なすぎて門番は「大結界」を通れる人物を覚えてしまっているのだ。

魔力通信機というもので王城と各所の連絡ができるらしく、

門番の人は私が帰った事を知らせてくれる。


そのまま都市の中へと入り、王城へと向かう。

城下町は住宅街と商業街があるが今の商業街は全く機能していない。

理由は簡単。

都市とは名ばかりで自給自足の巨大農村と化しているからだ。

ほとんどの人は「大結界」を抜けて交流することができない。

その為、流通がなくなり自給自足になっているのだ。

一部の私のような者が魔王代理より許可を得る事で魔道具を貸し与えられて、

「大結界」の外に出る事ができるだけなのだ。


話では500年程この「大結界」は維持されているらしい。

人間と魔族間の戦争が終結後に隠れ里のようにして住んでいるのだ。


王城へと着くと、そのまま謁見の間へと案内される。

現在の魔王国を取りまとめている人物がそこにいるからだ。


魔王代行。


正面の玉座の周りには護衛の近衛兵が数人立っている。

どれもが強者であり、魔王国の代行の為に働いている。

その玉座に座り肩肘を付いてこちらを見下ろすのがその人物だ。

長く赤いストレートの髪をその手でくるくるともてあそんでいる。

私の親戚にあたる大叔母様であり、現魔王国のトップだ。


「久しいな、アードラ」


「はい、シルヴィア様」


「で、今回の報告はあるか?」


変化の乏しいこの魔王国ではこの外部からの報告は新鮮なのだが、

実は別の側面がある。


「今回の探索では同族の発見には至りませんでした」


ーー同族。

つまりは魔族のゆかりの者の保護を目的として実力者を外部へと送り出している。

保護を受ける者が居ればこの魔王国での暮らしを進めているのだ。


それと、同時に。

裏切り者や行方不明の同族を探す事も視野に入っている。

今までに魔道具をもったまま行方知れずの魔族が2人いるのだ。

魔道具の解析などが行われればこの魔王国が危険にさらされる。

同族の行方を追うのと同時に魔道具の行方も探ってくる事が任務なのだ。


その為、高い戦闘能力と知能が必要とされる。

アードラはそれらを兼ね備えていると言ってよかった。


「そうであるか。

 しかし、こうも手掛かりがないとなるとどこかで朽ちたやもしれぬな」


「お言葉ですが、我らに敵う者等そうそうおりません。

 まして人族等、相手にもなりません」


「ならば、竜神の領域でも犯したのかじゃな・・・・」


この大陸の北の果てに存在する「竜」の一族が住まう山脈。

そんな危険なところに用事などないだろうが・・・。

可能性は否定できない。


バーーーーーン!!

そんな事を考えていると、後方の謁見の間の扉が勢いよく開く。

驚いて後ろを振り返ると大柄の魔族がそこにいる。


「おい!コラ!ロリババア!!今日こそ認めてもらうぞ!」


「うるさい小せがれじゃのう。

 もう少し静かに入ってこれんのか?」


悪魔族と思われる見た目が人のように見える大柄の男が槍を携えて入ってくる。

そんな、危険な状態にみえるが近衛兵は誰一人としてそれを止めようとしない。

そんな事で大丈夫なのか?と思った所で。


「どうでも良いだろうが、それより勝負だ!

 そんでもって俺にも外出許可を出しやかがれ!」


「何度やっても同じじゃ。

 今のお前に外出許可はだしてやれんのう」


そう言うと、男の前にすでに移動していた。

正直全く見えない速さでの移動に背筋が冷える。


「そして、ここで暴れるでない。

 ホレ、訓練場へ行くぞ?」


ドガンッ!

と音がすると同時に、大柄の男はくの字に曲がって入ってきた扉を出ていく。

シルヴィア様の一瞬の攻撃で吹き飛んだと思われるが、

何をしているのかさっぱり理解できない。


実力差と言えばそれまでだが、動きそのものが見えないのはどういうことだろうか。

対策すら立てようがない。

そんな事を考えていると。


「アードラよ。おぬしもついてこい。

 外でどれくらい鍛え上げてきたか見てやろう」


「は、はい」


その、後ろ姿を見ながら後に続くが嫌な汗が出てしょうがない。

弱くなっていようものなら訓練場で地獄の特訓でもさせられかねない。

ただ、敵わないのは分かり切っているのだから全力でやってみる事にする。


部屋をでると先程、飛ばされた男は謁見の間の扉の向こうに転がっていた。

一撃で昏倒させられたのだろうが、この男は何を試されているのか分かっていない。

外出許可を得るのに心、技、体を高レベルで兼ね備える事が重要なのだ。

外出するための魔道具は魔王国にとって最重要アイテムであり、

敵対した人族に決して渡ってはならないものだ。


ただ・・・今の人族ならひょっとしたら、

このシルヴィア大叔母様一人で滅亡させられるんじゃないかなぁと。

少女にしか見えない魔王代行の後ろに付きながらそんな事を思う。


訓練場とは名ばかりで闘技場として使っている場所は娯楽のない魔族領で唯一の娯楽となっている。

所謂格闘技の見世物で賭け事等にも利用されたりとしている。

当然閉鎖された魔族領ではお金の概念が意味をなさいので取引には食べ物などが大半だが。


「そろそろ、おきんか」


闘技場の真ん中まで引きずってこられた男は顔を叩かれて意識を取り戻す。


「うお! なんだ! どこだ?っていつもの所か」


こいつ、今「いつも」と言ったな。


「うおっし! ババア! 今日こそ棺桶にその頭つっこんでやんよ!」


元気な事だ。先程までよだれを垂らして気絶していたのに。

まだ、年若い悪魔族なのだろうが恐れを知らなさすぎる。

素早く飛び上がる様に起き上がると距離を置く。

大剣を探して手を背中に回すがそこには何もなく空をスカスカと掴む。

彼の大剣は殴られて飛んで行った時に謁見の間に置いてきているのだ。


「相変わらずうるさいやつじゃのう。

 それといつも言って居るが・・おねぇさんと呼べ!」


「ちっ、剣がねぇじゃねーか! くっそ! だったらステゴロでいくぞ!オラ!」


拳を握り格闘の構えをとる彼は気合を入れる。


「ふぅ、稽古をつけてやるでのう。かかってくるのじゃ」


一つため息をついて掌を上にしてクイクイと挑発するシルヴィア様。


「上等じゃねーか!ロリババア!!」


挑発を返すように叫びながら殴りかかる。

その剛腕から繰り出される拳は当たれば相当なものだが・・・。

当たる寸前に指が2本差しだされて止められていた。

正直な所、あの華奢な体や指だけではとてもじゃないが止められるはずがないのだが・・・。


「ふむ。なかなか良い拳じゃなぁ?

 じゃがただ殴るだけでは芸がないぞ?」


「じゃらくせぇーー!!」


止められた拳を引くと同時に右足を振り頭を蹴り倒すように刈る。

しかし、それは当たる事なく空を切るとすぐに体制を整えるためにバックステップした。


「クッソ! ちょこまかしやがって!」


「図体だけのおぬしよりは、この方が身軽じゃて フフフフ」


リーチの差があるのだからシルヴィア様に不利に思われる格闘戦に余裕の表情で相手をしている。

私が格闘のみでやれば彼に勝てなくはないがきついかもしれないというのに。


「それに戦闘の稽古じゃからなぁ、われが圧勝しても意味がないであろう?」


それからしばらく戦闘が続いたが、勉強になることばかりだった。

評価、ブックマークありがとうございます。

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