21話
今日のお昼休みは週2回の日である。
マサートとヴェルトにはいつもながらすまないと思いつつちょっと嬉しかったりする。
何といっても聖女の生まれ変わりと言われるアクシア王女と話せるのだ。
友達になるのを了承したし、こちらの要求も問題が無かった。
向こうには何かしら意図があったのかもしれないけれどもはっきりとした物は一切ない。
ただ、逢って話すだけだ。
ただし・・・コイツらをまかないといけない。
見張りらしき人物がいるし、何か合図らしきものを送っている人物もいる。
同学年だけかと思ったけれど・・・どうも上級生すら居そうだ。
ただ、これらは僕だけが付け狙われている。
最初は王女関連の暗殺者かと思ったが、あちらにはその気配が全くなかったのだ。
さらに言えば素人くさい。
気配は消さない。声を荒げる。無駄に騒ぐなどプロではないのが丸わかりだ。
今日も一瞬の隙を付いて気配を消し、パンの購入の人込みに紛れていく。
購入事体を終える頃には別人のような雰囲気に毎回変えていて、
そのまま学園食堂の裏手の位置まで行くのだ。
一番目立たない奥の窓の下の地面に腰を下ろし壁に持たれるようにして見上げる。
外と内で食堂には高さの差がある為、窓から相手が来ているかの確認ができない。
相手側からも窓を乗り出して見ない事には見えはしない。
「簡単に見られない事」を考えての場所だ。正直恐れ入る。
そんな窓枠から僅かに見える風に素養ぐような金糸を確認してから
「すまん、遅くなった」
「いえ、そこまでは待っていませんよ?ですが最近遅くなってますよね?」
王族を待たすとはなんぞや~となりそうだがそういう事はない。
高慢でもなければ嫌味でもない。心配されてそうな感じだ。
「ああ、最近どうも俺を付け狙っている奴らが居るらしい」
「だ、大丈夫なんですか?」
「ああ、殺気というよりなんらかの執念を感じるが・・・・
しょせん相手は素人だ。
問題ないが、あんたに逢いに行くのが遅れるのがちょっと問題だな」
「あら、うれしい事言ってくれるわね?
それにしても私たちの秘密の逢瀬が邪魔されてなかなか逢えないとか、
ロミオとジュリエットみたいで面白いわ」
「なんだそりゃ?」
「まぁ私の前世で流行った恋物語って所、敵対する家の男女の禁断の恋的よ」
「ブゥゥゥゥ!」
思わず飲んでいた瓶のミルクを噴き出した。
「ちょまて、誰と誰が恋してんだ!秘密の逢瀬って逢ってもない無いし、
お互い顔もまともに見てないだろうが!」
「あら、意外と初心なのね?
恋物語の一つや二つこの世界にもあるでしょう?」
そう言って面白そうに笑う声が聞こえる。
「そ、そんな事よりこの間の続きをだな・・・」
「露骨な切り替えね。まぁいいわ」
ーーーー顔見てないとか言うけど、私の事見に来てたじゃないの。
小声で言うアクシアの呟きが聞こえてしまうと、急に顔が熱くなる。
何だってんいうだよこれ。
「そうね、じゃこの間言っていた、転移魔法の話からかしら?」
「そうだ、らいとのべるとかいう書物にあったんだろう?
かなり気になる情報だからな」
気を取り直すようにいう。
アクシアが話す異世界で語り継がれる異世界の魔法技術。
一体いくつの世界があるのか分かったものじゃ無いが、
今日の話で聞いているのはこの「転移魔法」・
これは移動をする際に一瞬で行けるというものだ。
魔法が使える世界ではある事が多いと言っていたが、
この世界では魔法はあるが「転移魔法」なるものは無い。
習得できる可能性がある未知の魔法だ。
アクシアの話はこういう知らない事ばかりを教えてくれる。
こっちは逆にバカな友達とやらかした話なんかを中心にしているが、
王室育ちのお姫様にはそれが新鮮だったらしい。
あとは変装用の幻惑魔法を教えて欲しいとか言われている。
口頭で説明してやり、あとは自分の部屋で籠ってやっているらしいが、
「魔眼」がある為、ちゃんと出来ているのか分からない時があるらしい。
護衛にも色々と聞いているような事を言っていた。
魔力の底上げ方法やらも気になったらしく、
使い切って動けなくなる事で失敗した話なんかも聞いた。
こうしていると普通の友達だが、相手はお姫様であることを忘れてはいけない。
身分差なんて超えられやしないんだ。
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